切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『日本という国』 小熊英二 著

2006-05-06 17:49:03 | 超読書日記
久々に名著かな、これは。しりあがり寿の『真夜中の弥次さん喜多さん』の装丁でもお馴染み、祖父江慎デザインの「よりみちパンセ」シリーズの一冊。<中学生以上向け>と銘打っているだけあって、すべての漢字にルビが振ってあってわかりやすく書かれているんだけど、内容は重くて極めて重要。米軍基地移転経費問題なんかを考える意味でも、示唆に富んでいるんじゃないかな。

著者の小熊英二といえば、『<民主>と<愛国>――戦後日本ナショナリズムと公共性』など、分厚くて高い(!)本ばかり書いている人というイメージだったけど、今回の本は、シンプル且つ鋭い切り口で、短いしすぐ読めてしまいました。

内容は、「日本という国」について、<明治期の教育問題>と<戦後のアメリカとの関係>の二点から読み解いていくというもの。

特に、前半の教育問題から日本という国家を読み解いていく鮮やかさは、そういう切り口もあったんだと思わせる新鮮なもの。また、後半はアメリカの思惑に振り回されながらアジアとの関係をつくってきた戦後日本の矛盾を突いたもので、対韓、対中関係や憲法9条問題を外交問題として捉える視点が興味深い。

個人的には、以下にあげる著者の知り合いのインド人の言葉がいいとこ突いてると正直思った。

「(米兵の小学生レイプ事件のような)国辱ものの事件がおきたときに、日本刀をもって米軍基地に斬り込みに行くような右翼は、日本にはいないのか。そこまでしないとしても、ナショナリストならそういうときに、米軍基地への抗議運動の先頭に立つべきじゃないか」

最近では、ホリエモンの保釈で右翼の街宣車が六本木ヒルズに登場、「堀江! 出てきて謝罪しろ!!」といってるそうですが、これはナショナリストというよりブラック・マネー問題なんでしょうね?

そんなわけで、話がそれましたが、良書、オススメです。

日本という国

理論社

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