去年の記事らしいんだけど、元セックス・ピストルズのジョン・ライドンが映画にもなった伝説のカップル、シド&ナンシーについて語った。
☆ ☆ ☆
「ジョン・ライドン、シドとナンシーの関係について語る」
>元セックス・ピストルズのジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)が、自伝『ROTTEN: No Irish, No Blacks, No Dogs』の中で、妻ノラとの関係やセックス・ピストルズのバンド・メイト、シド・ヴィシャスのことを率直に語っている。ライドンは、ドラッグが引き起こした友人の悲劇の死をいまでも悲しく思っているという。
ライドンは、自分に誘いをかけてきたナンシー・スプランゲンをシドに押し付けたと告白している。「彼女には本当にうんざりだった。だから、シドに押し付けたんだ。その瞬間から彼らは終わった」ライドンをはじめ他のバンド・メイト(ドラマーのポール・クック、ギタリストのスティーブ・ジョーンズ)はバンドに悪影響を及ぼす彼女を避けていたが、シドだけはライドンが一番恐れていた“ボロボロのジャンキー・ロックンローラー”になってしまったという。彼は、当時、シドにヘロインを止めさせようと最善をつくしたと語っている。「ナンシーはシドを死に向かわせていた。俺はどれだけ、シドにドラッグを止めさせようとしていたことか。でも、あの女は自爆攻撃だった」
シドとナンシーといえば、ロックンロールの歴史の中で最も有名なカップル。'78年、ナンシーがNYのホテルで死亡しているのが発見され、シドは彼女の殺害容疑で逮捕された。しかし彼はその4ヵ月後、保釈中にヘロインの過剰摂取で死亡した。21歳だった。
一方、セックス・ピストルズ後のライドン(48歳)は、不動産売買で億万長者に。最近英国では、人気テレビ番組『I'm A Celebrity...Get Me Out Of Here』に出演し、エンターテイナーとして再評価されている。(Ako Suzuki, London 2004-02-09 バークス)
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じつはちょっとパンクスだった過去(?)もあるわたしとしては、・・・って感じの記事でした。(もっともわたしが好きだったのは、スージー&ザ・バンシーズのスージー・スーなんだけど…。)
がっかりした理由は、個人的にあんまりシンパシーを抱いていないロック界のバカップル・シド&ナンシーのことよりも、ナンシーを「自爆攻撃」と言ってのけたジョン・ライドンの近況の方。
「不動産売買で億万長者に。最近英国では、人気テレビ番組『I'm A Celebrity...Get Me Out Of Here』に出演し、エンターテイナーとして再評価されている。」ってくだりを読むと、なんだか陣内孝則みたいで、とても悲しい感じがするのはわたしだけでしょうか?
まあ、「グリーンデイはパンクじゃない」発言はいいとして、金持ちの癖にシャム69と殴り合いしてどうすんだって感じも…。
ロックに幻想を持ちゃあいけないってことなんでしょうね、これは…。
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「ジョン・ライドン、シドとナンシーの関係について語る」
>元セックス・ピストルズのジョン・ライドン(ジョニー・ロットン)が、自伝『ROTTEN: No Irish, No Blacks, No Dogs』の中で、妻ノラとの関係やセックス・ピストルズのバンド・メイト、シド・ヴィシャスのことを率直に語っている。ライドンは、ドラッグが引き起こした友人の悲劇の死をいまでも悲しく思っているという。
ライドンは、自分に誘いをかけてきたナンシー・スプランゲンをシドに押し付けたと告白している。「彼女には本当にうんざりだった。だから、シドに押し付けたんだ。その瞬間から彼らは終わった」ライドンをはじめ他のバンド・メイト(ドラマーのポール・クック、ギタリストのスティーブ・ジョーンズ)はバンドに悪影響を及ぼす彼女を避けていたが、シドだけはライドンが一番恐れていた“ボロボロのジャンキー・ロックンローラー”になってしまったという。彼は、当時、シドにヘロインを止めさせようと最善をつくしたと語っている。「ナンシーはシドを死に向かわせていた。俺はどれだけ、シドにドラッグを止めさせようとしていたことか。でも、あの女は自爆攻撃だった」
シドとナンシーといえば、ロックンロールの歴史の中で最も有名なカップル。'78年、ナンシーがNYのホテルで死亡しているのが発見され、シドは彼女の殺害容疑で逮捕された。しかし彼はその4ヵ月後、保釈中にヘロインの過剰摂取で死亡した。21歳だった。
一方、セックス・ピストルズ後のライドン(48歳)は、不動産売買で億万長者に。最近英国では、人気テレビ番組『I'm A Celebrity...Get Me Out Of Here』に出演し、エンターテイナーとして再評価されている。(Ako Suzuki, London 2004-02-09 バークス)
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じつはちょっとパンクスだった過去(?)もあるわたしとしては、・・・って感じの記事でした。(もっともわたしが好きだったのは、スージー&ザ・バンシーズのスージー・スーなんだけど…。)
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他人に好かれようとか一切考えていない
怒りたかったら怒るし殴りたかったら殴るし、暴れたくなったら暴れる
そんで金が欲しくなったら稼ぐ
最高すぎる
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ただ、わたしのジョン・ライドン観はちょっと違いますけどね。
わたしが思うジョン・ライドンは、頭がよくて、じつはインテリで、ビジネスマンで、人が期待していることをわかって行動する頭脳犯です。だから、破滅型とは対極にいるタイプなんじゃないですか。なので、シド&ナンシーと違って、長生きして、人生を楽しんでいる。そこが最高だと思いますけど。
2004年のThe Sun の記事「不動産売買で億万長者に」はその後、本人によって悪ふざけだったと否定されています(The Sunday Times Magazine 18th April, 2004. “He was not a love rat. He was not even, as he himself had wickedly told The Sun, a property developer.” http://www.johnlydon.com/times04.html)。
その頃の彼は億万長者とは程とおく、ヴァージンと交わした過酷な契約とPILのアルバム売上不振によって、レコード会社への借金返済に追われていました。『I'm A Celebrity...Get Me Out Of Here』は落ち目の芸能人や消えた一発屋を集めてジャングルで生活させ、そこでかつてのセレブが右往左往する様を笑って楽しむ下品な番組ですが、借金返済の為に出演し、そこで見事なお笑いのセンスを発揮して人気者になりました。そんな情けない元セレブが「不動産売買でじつはおれは億万長者なんだぜ」と言ったところで冗談に決まってるだろうと本人は思ったかもしれません。でも「頭がよくて、じつはインテリ(同意。彼は本当に賢い)」である彼の言うことをThe Sun の記者は真に受けたんですね。ぼくも最近までそう信じていましたよ。
もう一点。誤解されがちなセックス・ピストルズの1996年の再結成も、ぼくは同じ文脈で考えています。ジョン・ライドンはヴァージンからピストルズ名義のニューアルバムを1枚出したら(PILの)借金をチャラにしてやってもいいと持ちかけられながら、現在に至るまでピストルズの新譜製作を拒否し続けています。今の彼にとって時代を映すリアルな音楽はPILでしかやれないのです。ですのであの再結成時にも、古い曲をライブ演奏しただけで新曲は一切発表していません。再結成の理由は「俺達には共通の目的ができた、それは金だ!」でした。当時、ジョン・ライドンが「あの男の内側には、なんかとてつもなくイイもんが脈打ってるんだ(THE DIG No.53)」と評したオリジナル・メンバーのポール・クックが生活苦に喘いでいました。かつての仲間を、プライドを傷つけることなく窮地から救うために、ライヴで稼ぐ(しかし新曲は提供しない)、というギリギリの判断が下されたものと思います。
最後に、これは自伝に詳しいのですが、ジョン・ライドンはシドにナンシーと別れるよう再三忠告しただけではなく、全米ツアーのバスの中で「ピストルズを辞めて、ふたりで新バンドを始めようぜ」と誘い、出来上がったばかりのPILの曲Religion の草稿を見せています。彼なりに、真剣にシドを助けようとしていたのです。シドにとって不幸だったのは、ナンシーだけでなくシドの実の母親もやはり重度の薬中で、ふたりの女がシドを煽てあげて、金づるとしてセックス’ピストルズに縛りつけようとしたことですね。
そんなわけで、ぼくはジョン・ライドンはかなり知と情のバランスの取れた人だと思っています。あんまりがっかりしないで下さい。20年ぶりの新生PILのアルバム、すごくいいですよ。
本当に素敵なコメントありがとうございます!
頂いたコメントを読んで、ウソ偽りなく素直に感動してしまいました!詳細かつロック愛のあるご説明、素晴らしいです。
じつはわたしも、この記事を書いたあと、ジョン・ライドンの「不動産売買で億万長者」が大ウソだったことを知り、あっけにとられたひとりです。でも、昔の記事を更新するのが億劫で放置していたところ、意外にも「人気記事」になっていたんですね~。
で、記事では「がっかり」なんて書きましたけど、わたしも実はジョン・ライドンの人を喰ったっところとセンスが大好きです。部屋のCD棚に飾っているうちの一枚は、PILのファーストアルバムですしね。あのジャケットの表情、カッコ良いですから!
(ちなみに他は、パティ・スミスの「ホーセズ」とキング・クリムゾンの「クリムゾンキングの宮殿」!)
しかし、つくづく思ったのは、イギリスだけじゃないんでしょうけど、男女限らず、ろくでなしジャンキーの呪縛って凄いなってこと。エイミー・ワインハウスのダメ旦那とか、思い出してしまいました。
というわけで、今後ともご贔屓に。よろしくお願いいたします!
PS:PILの新譜、わたしも聴いてますよ。期待してないで聴いたら、予想外に良くて、いっとき繰り返し聞いてました。今日は頂いたコメントに触発されて、「メタルボックス」と「フラワーズ・オブ・ロマンス」聴いてます。だいぶ近所迷惑かもしれませんが・・・。
パティ・スミスは、いいですね。駄作が一枚も無い驚嘆すべきキャリアで、彼女のダークサイドも含めて本当に全アルバムが好きなんですが、とくに Wave のFrederick からDancing Barefoot を続けて聴くと、とっても幸福な気持ちになります。偉大な才能をもった彼女が(だからこそ才能に呪われているとも言えるんですが)、もう音楽やめてもいいわ、って思えるぐらいハッピーだった特別な時期の透きとおった空気を感じます(この空気感はトッド・ラングレンのアレンジが効いているのかな)。
実はロックだけじゃなく、落語と映画と読書の趣味が何かとかぶっていて、数年前から切られお富さんのコンテンツにすっかり魅了されてきました。ですのでまた折に触れ、コメントさせていただきたく思っています。こちらこそよろしくお願い申し上げます。最近サボっていてほとんど更新してないのですが、アマゾンのレヴューを何本か書いています。もしよろしかったら『This is PiL 伝説をぶっとばせ(初回限定盤)(DVD付) 』の投稿者「桃次郎」辺りから、覗いてみてください。それでは。
コメントありがとうございます。ご返事が大幅に遅れまして・・・。
amazonのレビュー、いくつか読ませていただきました。『This is PiL 伝説をぶっとばせ(初回限定盤)(DVD付) 』の「現代社会が抱えている最大の問題~」のくだりは深く同意です。
あと、映画『戦争のはらわた』!わたしも数ある戦争映画のなかで屈指の名作だと思います。
というわけで、ではまた!