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Netflixが又吉「火花」を映像化

2015-08-28 23:25:40 | アメリカの夜(映画日記)
どうなるんですかね。でも、そもそも映像化して面白い作品なのかどうか・・・。

①多くの人が勘違いしていると思うんだけど、「Netflixが映像化」というのは、「Netflixがお金を出す」という意味で、日本の制作会社が下請けで制作するということでしょう。だから、Netflixであろうが東宝だろうがテレビ局であろうが、たいして中身は変わりません。ただ、Netflixは国際的なプラットフォームだから、あまりにローカルな内容だと出資者として口出しするであろうということと、今は日本における映像配信戦争のとば口だから、かなりの先行投資をしているであろうということ。洋画の興収伸び悩みを背景に外資が邦画に出資するパターンに似ているけど、これだって、日本人の嗜好が特殊なのか、あまり成功しているとはいえないので、Netflix経営陣の思惑通りにいくのかどうか、かなり怪しいのでは・・・。

②「火花」って、映像にしたら、面白いんですかね。ひなびた画しか出てこないでしょ。それに、最後の神谷のくだりなんか、グロいですから。というか、わたしは観たくないなあ~。あと、海外の人が見て面白いとは思えない。スコセッシの『キング・オブ・コメディ』みたいな、変な普遍性には到達してないと思いますよ。

③「そもそも」ばかりいっているんですが、いよいよ9月から本格戦争に入る日本を舞台にした映像配信戦争、そもそもどうなるんでしょうか。NetflixやAmazonの低価格設定などをみるにつけ思うのは、日本人はもはや映像に興味ないんじゃないかということ。you tubeとか地上波みたいな無料のモノがベースの上に、そもそもの関心がなくなっている。映画やテレビの企画を考えてみても、旧来的な、人気者を連れてきて映像作品を作ればファンくらいはみるんじゃないかというイージーな発想はここのところ敗北しているでしょう(たとえば、AKBやExileのドラマ。脚本がひどかったというのもありますが・・・。)。というか、より正確にいうなら、ドラマや映画である必然性がなくなっているんですよね。映画館でも、下手な映画よりライブビューイングの方が集客がいいんですから。ということで、多額の先行投資が水泡に帰さなけばいいけど・・・。

④配信というボーダーレスなプラットフォームに関していうと、今の日本人にはボーダーレスなストーリーを紡ぎだす力が不足していると思いますよ。新人クリエイターのテーマって、たいてい中高生の話でしょ。制服フェチというかね。ニューヨークでも西海岸でも、ヨーロッパでも、果ては近年のアジアでも、大学の映像学科の生徒が作る世界は、もうちょっと大人の鑑賞耐えるようなテーマが選ばれていますよ。ま、これは、若い人だけというより、大人も悪いのかもしれない。芸能界がからむと、そっちの方向に行くということ。そう考えると、戦後の日本映画の映画祭席巻現象は、当時の映画作家たちに物語を紡ぐ能力があったということなんでしょう。ま、確かに、黒澤も溝口も果ては大島渚くらいまで、肉食な感じがしますからね。

⑤最近めっきり映画の話題が減っているのは、近作に関心が向かないことに加えて、映画自体が以前にもましてマイナージャンル化してきたなあ~と思えるから。若い人が小難しい映画を頑張って観るみたいな文化(たとえばベルイマンの映画とか)が、フランス映画社消滅が象徴的だけど、なくなってしまったと感じています。だから、神保町とかシネマヴェーラみたいなマニアックなところの特集を話題にするくらいしか、打つ手がなくなってきた。とはいいながら、自分の嗜好性で今後も突っ走り続けますけどね~。

というわけで、「火花」を餌に愚痴を書きまくってしまったなぁ~(笑)。

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