切られお富!

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『ハリウッド監督学入門』 中田秀夫 監督

2010-10-15 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
『リング』で知られる映画監督中田秀夫にはホラー映画の他にもうひとつの顔があって、それはドキュメンタリー作家という側面。

赤狩りでハリウッドを追われた映画監督ジョセフ・ロージーのドキュメント『ジョセフ・ロージー 四つの名を持つ男』、にっかつ撮影所時代の師匠でロマンポルノの職人監督小沼勝を追った『サディスティック&マゾヒティック』。そして、今作は自身のハリウッド監督体験を軸にした一本!どれも、映画に対するオタク的な愛を綴った作品だとはいえませんか?というわけで、簡単な感想ですっ。

ハリウッドと日本の映画製作の違いを自身の経験から語っている作品ですが、わたしが面白かったのは、①ハリウッドでは企画がなかなか進まない、②カバレッジ(日本でいう「マルチカメラ撮影」のこと)というハリウッド独特の撮影スタイル、の2点ですね。


①はハリウッドの仕組みが作家主義的なものではなくて、あくまで産業的なものであることを示しているんだけど、要するに投資対象として鍛えられない企画は進まないということなんですよね。

②については、日本流のワンカメ・スタイルで演出してきた彼にとって、当初複数アングル撮影に違和感を覚えたという話から、ハリウッドの撮影監督、編集技師の割り切った見解・・・、そして、日本に帰ってから、カバレッジを部分的に採用してみた監督自身の心境の変化が面白く見れました。

ところで、この映画にはもうひとつの隠れた味があって、それはお茶目なオタク中年中田秀夫の素顔が垣間見れるというところなんですよね。

東大蓮実ゼミ出身のインテリ監督であるはずの彼だけど、なんだか妙にお茶目なイメージが・・・。このあたりを愛せるかどうかが、案外テーマ以外のところで、この映画を気に入るかどうかのリトマス試験紙になっているような・・・。

ま、とにかく、一種の文化論としても楽しめます。

一応、オススメ!


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