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<訃報> 映画美術監督 間野重雄

2012-08-27 20:56:15 | アメリカの夜(映画日記)
大映東京撮影所を代表する美術監督で、山本薩夫監督の『白い巨塔』や増村保造監督の『盲獣』、『大地の子守唄』などで知られる間野重雄さんが亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りいたします。

「映画は大映」でおなじみ(?)永田雅一社長の映画会社大映といえば、黒澤明の『羅生門』や溝口健二の『雨月物語』等の国際映画祭受賞作を生み出し、市川雷蔵や勝新太郎らのスターを輩出したことでも有名。

当時大映には、大映京都と大映東京という二つの撮影所があって、大映京都は内藤昭、西岡善信、両美術監督の本が出ている一方、大映東京の方は書籍に恵まれていないのがとても残念に思えます。

その大映東京撮影所の代表的な美術監督が間野さんだったわけですが、大映東京の若きエース増村保造監督とは、ベルトリッチが『ラスト・エンペラー』の参考にしたという溝口健二監督の『楊貴妃』の現場で、助監督と美術助手という立場で知り合ったとのことでした。

その後、大映時代から大映倒産以後も、増村保造監督作品や山本薩夫監督の代表作の美術を担当。他では、先年亡くなった市川準監督の作品も多く担当しています。

さて、個人的には、『盲獣』の巨大な裸女のトルソーのセットが印象的。他では…、『白い巨塔』や『ああ、野麦峠』など一連の山本薩夫作品の濃~い人間ドラマを支えた重厚なセット。雪に発砲スチロールを効果的に使った最初の作品といわれる『氷点』。作家三島由紀夫の自作自演作で能舞台を模した『憂國』。増村監督の大映時代最後の作品『遊び』。大映倒産後の増村作品の代表作『大地の子守唄』、『音楽』、『曽根崎心中』。三村晴彦監督の隠れた傑作でシリーズ第一作を上回る出来の『瀬戸内少年野球団 最後の楽園』。市川準監督のノスタルジックな『トキワ荘の青春』。桃井かおりが市川準監督と組むことで新生面を見せた『東京夜曲』の渋いセット…。

まだまだ語りつくせないのですが、是非とも再発見されるべき、アーティストでありアルチザンでした。どこか都内の名画座で追悼特集やって頂きたいものです。

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