切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『時をかける少女』 細田守 監督

2008-08-28 05:42:45 | アメリカの夜(映画日記)
前から人に勧められていて、ついに見ました。傑作です。軽~く、原田知世の実写映画を超えている!

まず、断っておかなければならないのは、この作品は原作からも実写映画からもかなり内容を変えています。なので、「あの話?」みたいにおもっているひとは、まったくの新作だと思って見てください。それで充分。

これから見る人の興を削ぐことはしたくないので、ストーリーには踏み込みませんが、高校生の二人の男の子と一人の女の子の関係。これを、三人がキャッチボールするシーンを使って巧みに表現しています。

これって、『キッズ・リターン』(北野武監督)に出てくる男の子たちの自転車二人乗りのシーン、淀川長治が大絶賛したあの青春の不安定さを描いた見事なカットにも通じる、見事な表現法なんじゃないですかね?

そして、何より、台詞の使い方がいまの映画という感じで、宮藤官九郎の脚本の台詞よりさらにシンプルかつぶっきらぼうでよい!

また、引いた画が多くて、ちょっと乾いた(というより“無関心”っぽかったりもする・・・)演出も、これまたよい!(「よい!」ニ連発だ!!)

(あえて実写映画の監督でいうなら、黒沢清、青山真治あたりの空気感にちょっと通じるか・・・。)

というわけで、巨匠・宮崎駿、高畑勲世代とも、ちょっと理屈っぽい押井守、大友克洋、今敏らの世代とも、オタクっぽい庵野秀明とも違う、新世代・同時代のクリエーターですよ、このひと。

だから、この人の新作が見たいって素直に思える作品でした。(あんまり、言葉になってないな~。)

最後の方、ぐっと胸を突かれます。


PS:うまく文章に仕切れなったので、三点だけ補足。

①アマゾンのレビューで、声優の台詞が棒読みだっていう批判があったんだけど、ちょっと的外れなんじゃないですかね?要するに、アニメ声じゃない声を狙ってやっているわけで、引き画が多いことも含めて、キャラクター映画にしない工夫だと思うんですよ。あとは好みの問題なんじゃないかな?

②音楽について。「ゴルドベルグ変奏曲」の使い方が自然でいいんですよね。「エヴァ」なんんかだと、音楽の使い方も狙ってる感じだけど、この映画の場合は、とってもさりげない。芝居に溶け込んだ選曲だったんだと思うなあ~、わたしは。

③「時をかけること」(タイムリープ)を、いかにも今の高校生っぽい詰まんないことに使いまくるくだり。ちょっと好きです。高校生に限らず、人間なんてたいていこんなものですよ、きっと。

時をかける少女 通常版

角川エンタテインメント

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 八月納涼歌舞伎 第二部 (... | トップ | 『コマンダンテ』 オリバー... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

アメリカの夜(映画日記)」カテゴリの最新記事