切られお富!

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NHK・BS「ムラヴィンスキーの肖像」

2006-09-19 00:56:37 | カメレオンのための音楽
先日、BSで指揮者ムラヴィンスキーを扱ったドキュメント番組「ムラヴィンスキーの肖像」を放送していたんだけど、面白かったなあ~。しかし、貴族的と称される旧ソ連のこの指揮者が、じつは本当に貴族の出で、終生自国の体制に疑問を抱いていたというのは、なかなか歴史の皮肉ですよね。

革命が起きるまで裕福な貴族の家庭に育ち音楽学んでいたムラヴィンスキーが、革命によって貧乏な生活に転落。父親はショックで革命後早く死に、母親と貧しい生活を送っていたとは、この番組ではじめて知りました。

革命で財産を奪われた経験から、「荷物は増やすな」と言っていたとは何だか凄い話だと思います。

個人的には、ムラヴィンスキーというと、わたしもご多分に漏れず、チャイコの後期交響曲のCDとかショスタコの交響曲のCD(特にタコ8とタコ10)を聴いていたくらいですけれど、彼のベト4もクライバーより快速な感じで結構好きですね。

「悲愴」なんかは、チェリビダッケだとジワーっとくる感じだし、バーンスタインだとやけに退廃的な感じがしましたが、ムラヴィンスキーだと、暗がりでヘッドファンで聴いていると背中から切られそうな気がしてくる鋭さを感じたりします。

番組では、チャイコの幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」の演奏風景が流れたのですが、この曲も改めて聴いてみたいとは思いました。

ムラヴィンスキーは、三度結婚して子供はいなかったそうですが、それ故にか、体制にも言いたい事をはっきり言っていて、恐いもの知らずだったようです。(といっても、冷静な計算はあったのでしょうが。)

確かに、有名指揮者だから亡命先はあまたあったでしょうが、社会主義圏のオケでの独裁的な立場を、貴族的な姿勢故にか選んだというのは、社会主義って何だったんだろうということを考えさせられますね。

それと、印象に残ったのは、たくさんの書き込みをした譜面で完璧なリハーサルをやったブルックナーのコンサートを、「リハーサル以上の演奏が本番では出来ない」ということで、キャンセルしたという話。資本主義圏でもクライバーは平気でそういうことをしたかも知れないけれど、ちょっと今ではできないことなんじゃないですかね。(わたしは小者だから、似たようなシュチュエーションに立たされても絶対出来ないな~。)

ただ、ムラヴィンスキーのブルックナーって聴いたことがないので興味は湧いてきましたけれど・・・。(番組中ではブル9が流れていたような気がする。)

そんなわけで、感化されやすいわたしはしばらくムラヴィン特集になりそうです。

・ムラヴィンスキー(ウィキペディア)
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