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福助が歌右衛門襲名へ!

2013-09-03 22:53:08 | かぶき讃(トピックス)
遠からずあるだろうなあ~とは思ったけど、ついに来ましたか。新しい歌舞伎座ができれば、六代目歌右衛門襲名時(戦後の歌舞伎座再開場)にならってあるだろうとは思ったけど、これは大変な重圧でしょうね~。しかし、真っ向勝負の本格芸でこの大名跡を全うして欲しい!ということで、大いに期待しておりますよ、成駒屋!

中村福助さん、歌右衛門襲名へ 名跡が13年ぶり復活(産経新聞) - goo ニュース

このブログでは、今は亡き勘三郎とその義理の弟・福助について、随分批判的なことを書いてきたものです。特に、勘三郎が歌舞伎ビギナー向けにやっていたドタバタ喜劇みたいな芝居や、そこに付き合って、女形だてらに男の地声を出したりしていた福助は、わたしの大の苦手だった!

でも、晩年の勘三郎が「仮名手本忠臣蔵」の判官や「勧進帳」の富樫で魅せた落ち着いた芸は素晴らしかったし、近年の福助の南北物(「櫻姫東文章」、「女清玄」、「かさね」など)や「関の扉」みたいな舞踊は貫録十分なもので、わたしですら文句はない!

要するに、 かつての勘三郎や若い頃の福助がやっていたような役割は次世代に引き継がれ、古典に回帰する年頃になったということなんでしょう。そういう意味で勘三郎の死は残念でしたけど、福助・橋之助兄弟にとっては逆に大きな転機になりそうな予感はしますね~。

で、新・歌右衛門に期待する演目としては、「娘道成寺」は当然としても、個人的には「先代萩」と「合邦」が観たいところです。

というのも、正直いって、以前に比べれば容色の衰えを感じなくもない近年の福助では、赤姫役よりもう少し年増の役が観てみたいんですよ。もちろん、「十種香」の八重垣姫みたいな赤姫役も襲名でやるんでしょうが、むしろ、合邦あたりで落ち着いた淫靡さが出るんじゃないでしょうかね?

あと、新歌右衛門に特に期待したいのは舞踊で、これは六代目とは際立った違いになりそうな点。足の不自由だった六代目歌右衛門とは違い、腰の入った踊りを見せる人ですから、「将門」なんか、歌右衛門、雀右衛門とは違った舞台をみせてくれそう!

ということで、演目の発表を楽しみにしております。

PS:中川右介さんの『歌舞伎 家と血と藝』に書いてあった予測、この件についてはハズレちゃった感じですね、大きなお世話ですけど。あと、六代目歌右衛門襲名の時に三島由紀夫が書いた有名な文章『六世中村歌右衛門序説』みたいな文章を書く作家って現れないのかしら?ま、いないよね!

嗜み no.17(2013 Wint 特集:変身を愉しむ 中村福助VS関容子・歌舞伎女形をどう演じ
クリエーター情報なし
文藝春秋企画出版部
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