切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『センセイの鞄』 川上弘美 著

2012-04-22 03:47:44 | 超読書日記
「買ったっきり読んでなかったシリーズ」読破月間ということで、いろいろ読んでいるんですが、これは積読期間が長かった!谷崎潤一郎賞受賞時の帯つきハードカバーだから、なんと2001年から積んだままだった!でも、それにはそれなりの理由があってこうなっていたんですけどね~。というわけで、簡単な感想です!

アラフォー女子と30くらい歳の離れたセンセイ(実際、ヒロインの高校時代の国語の先生だったりする)との淡い恋を描いた小説。

以前、ドラマにもなっていて、小泉今日子と柄本明が出てたんですよね。でも、わたしはこれも録画したっきり観てないんだけど…。

さて、感想なんですが、わたしは全然のれなかった。

まず、第一に文章が好きじゃない。わたしがこの本を積んだままにした原因にもなっているんだけど、こういうシンプル&ほのぼのって感じの文章がわたしには歯ごたえがなくて駄目なんですよね。以前手に取った『蛇を踏む』とか『溺レる』もやっぱりのれなくて、この本にも手が遠のいたくらいですから。ま、映画にたとえるなら荻上直子監督の映画にテイストは近いかもしれないけど(『かもめ食堂』とか『めがね』の監督ネ。)。これって、ひょっとすると、この作者が理系のひとだってことに原因があるかもしれないですね。寺田寅彦のエッセイみたいなさっぱり感があるから。ちなみにわたしは文系帰宅部ドロドロ粘着質系ですけど(↓)!。

第二に、センセイのキャラがハリボテみたいで、全然リアルじゃない。たぶん、ヒロイン=作者の理想像を投影した「センセイ」というキャラなんだろうけど、わたしの知る、わたしの業界のセンセイたちはこんな淡白なキャラではないですよ。ギラギラしてたり、世代特有の身勝手さがあったりして、実物としての「センセイ」を全然イメージできなかった。そういう意味では、オタク男子の空想的萌えキャラ少女みたいな気持ち悪さがわたしにはありました。要するに、食べ物の趣味があったり、話を聞いてくれたり、なんだか都合の良いオヤジすぎるんですよね。これって、ドラえもんみたいなキャラであって、恋愛じゃないじゃないというか、サ~。

ま、「老人の恋」といえば谷崎大先生の『鍵』とか『瘋癲老人日記』みたいな小説があるから、谷崎賞ってことなのかもしれないけど…。

それと、川上弘美が影響を受けているという内田百(黒澤明の遺作『まあだだよ』に出てくるオジイサンね。)だけど、もうちょっとひねりがあるというか、食えないジジイだから面白いひとでしょ。川上弘美の小説って、百のひねくれ度は継承してないところがあって、やっぱり癒しっぽくなってる気がしないでもない。

ただ、最後はちょっとよかったですけどね~。

ということで、「先生」ネタ小説ってジャンルがあるんだか、ないんだかだけど、漱石の『こころ』とか島田雅彦の『彼岸先生』なんか手に取りたくなりました。(ちなみに、寺田寅彦も内田百も夏目漱石の弟子です。)

でも、女性読者にはこの本評判いいんですよね~。わたしはちょっと…だけど。

ということで、まただいぶ敵を作ったかな?

センセイの鞄
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めがね(3枚組) [DVD]
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蛇を踏む (文春文庫)
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文藝春秋


寺田寅彦随筆集 (第1巻) (岩波文庫)
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まあだだよ [DVD]
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東京日記 他六篇 (岩波文庫)
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岩波書店


鍵・瘋癲老人日記 (新潮文庫)
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こころ (新潮文庫)
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新潮社


彼岸先生 (新潮文庫)
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新潮社
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