切られお富!

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「遭難」と椎名林檎インタビュー

2004-10-28 04:23:01 | カメレオンのための音楽
ロッキング・オン・ジャパン(以下ROJ)の椎名林檎インタビューと東京事変公式HPのインタビューを読んでナルホドと思うところがあったので書きます。

ROJのインタビューでわかったのは、三枚目のアルバム「加爾基 精液 栗ノ花」に対する林檎ちゃん自身の位置づけ。このあまりに<極私的>なアルバムでリスナーも振るい分けられたし、林檎ちゃんも吹っ切れたということ。そのことを象徴しているのが、「(東京事変のメンバーには、)アングラな世界な人間がいない。逆に私が実は一番アングラかもしれない。」という発言。

(でも、ROっていつから持って回ったインタビューばかりするようになったんだろう?以前は熱烈支持しているミュージシャンに対しても、鋭く切り込んで、一触即発の緊張感があったような気がするんだけど。)

一方、東京事変のHPの方。正直言ってこちらの方が発見の多いインタビューだ。
「群青日和」について、「私の書けなくなっちゃった世界」という発言は、自分を客観的に見ていて凄いなと思う。この辺に東京事変というバンドを作った本音があるのかなという気がする。「遭難」がこのバンドのために初めて書いた曲であることや、「心」が自分の誕生日のために一日で書いた曲で、過去の曲「すべりだい」に近いという発言。(でもホント一日って凄くないですか?)

私の結論としては、この人の自分自身に対する冷めた視点というのか客観的な視点というモノがいつもながらに凄いなあと思う。特に若い女性ミュージシャンの場合、あられもない自己表出で、大して個性的でもない自分を短期間にすべてを出し切ってしまいがちだが、この人は表現としての自分、受け手に求められている自分に対する絶妙なバランス感覚を持っていると思う。決して<単純激情型>ミュージシャンではない!

最後に「群青日和」の歌詞に関する発言、「(自分たちの世代の)我こそが当事者って言い合って生きている関係が少なくて寂しいっていう気持ちを歌ったものなんです。」。

そう、横断歩道の前で信号待ちをしてるとき、ふっと今日が何曜日だったかを思い出すような稀薄感。それを突き破ってくれるのって、人との触れ合いや、もっと言ってしまえば、人の造り出した表現に触れるってことじゃないか。東京事変がモヤモヤっとした"今”を覚醒させてくれるような音を掻き鳴らしてくれることを期待しよう!

PS:「一人で立って、一人でものを考えて、毎日真面目に生きてるよっていう歌がないと認めてくれ ないっていう思いから、世紀末の頃は頑張って、そういう曲を書いてたつもりなんですけど、それは私の中では重圧だったりして。でも、そういうプロセスは 踏まえたわけだから、これからは“あなたのことが好きだよ”っていう歌ばっかりを歌いたいな、と。今はそういう心境です」という林檎ちゃんのHP上の発言。

でも林檎ちゃんの<毎日真面目に生きてるよっていう歌>の感じも、私は好きなんだけどなあ…。

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1 コメント

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Unknown (猫太郎)
2004-10-28 11:51:57
日本のメディアとか、ファンとか、大多数がブームという波に揺られてるだけという状況で、かなりのブランクを作ったと思いますが、これからの活動に影響は無さそうですね。「椎名林檎」というスタイルよりも「東京事変」のほうが自身のバランス感覚に無駄な負荷をかけずに済みそう。

デビューシングルのつまらなさと、アルバムの出来は違いましたね。
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