新聞報道もされたが、この問題、スト決行なども含め、カネボウの一件以来の大問題へと発展しつつある。
詳細は発見の同好会さんの二つの記事に譲りますが、問題の焦点は、今まで日活を食い物にしてきたナムコ経営の問題(第一、ナムコが経営参画してからろくな映画が作られていない。)とUSENの企業体質の問題(有利子負債や良からぬ噂など)に絞られてきている。
一見華やかな、IT企業の青年社長の企業買収劇に見えたこの話が違う様相を見せつつあるだけに、今後の成り行きに注目せざる負えないだろう。
日活の労組がUSENへの株式譲渡に反対 (読売新聞) - goo ニュース
【発見の同好会さんの記事】
・風雲急「日活映画」
「日活闘争」緊急告知
【私の記事】
日活株、USENが買収へ
【龍司さんの記事】
日活の労組 USENへの株式譲渡に反対
詳細は発見の同好会さんの二つの記事に譲りますが、問題の焦点は、今まで日活を食い物にしてきたナムコ経営の問題(第一、ナムコが経営参画してからろくな映画が作られていない。)とUSENの企業体質の問題(有利子負債や良からぬ噂など)に絞られてきている。
一見華やかな、IT企業の青年社長の企業買収劇に見えたこの話が違う様相を見せつつあるだけに、今後の成り行きに注目せざる負えないだろう。
日活の労組がUSENへの株式譲渡に反対 (読売新聞) - goo ニュース
【発見の同好会さんの記事】
・風雲急「日活映画」
「日活闘争」緊急告知
【私の記事】
日活株、USENが買収へ
【龍司さんの記事】
日活の労組 USENへの株式譲渡に反対
日活労組やそれを支持している組合員は、日活映画のコンテンツがUSENに取られそうだから、自分達の食い扶持がなくなりそうだから反対するというのでは、情けないです。もし、自分達のほうがコンテンツ商売をうまく出来るというのであれば、資本の論理で対抗してMBO(Managing Buy Out)掛けるべきでしょう。
また、この人達にいま現在でスピルバーグが腰を抜かすような映画を撮ってやるというような意気込みがあるのであれば、日活を飛び出して映画ファンドを作って投資家を募るべきでしょう。それでこそ本当に映画人と言えるのでしょう。
花王のカネボウ買収は労組の反対で頓挫してしまいましたが、今頃花王はカネボウなんか買収しなくて良かったと胸をなでおろしていることでしょう。カネボウが花王に買収されていたら、今よりはましだったでしょう。労組が経営能力もないのに口を挟んで、良かったことなど一つもありません。
ただ、私は具体的な行動のフローチャートとして納得できないことには賛成しない主義なので、幾つか疑問点があります。
まず、MBOというの私も思いつきませんでしたが、GW前を狙った寝耳に水の「株売却検討」の発表を受けて労組が対抗しようとした場合、MBOという時間のかかりそうな手段は果たして実行可能なのか疑問が残ります。
また、そもそも非上場株である日活株をめぐってMBOを掛けるということは、ナムコもしくはUSENから株を買うことになるわけでしょ?これでは、経営責任を追及しているナムコサイドや経営状態が不安視してされているUSENの利益になるばかりだと思いますが?
むしろ、この件で興味深い法的論点は以下の点。
一度、団体交渉上で否定した株式譲渡を強行するのは労組法上では「空団交」にあたるということ。(つまり、違法だということ。)
また、ナムコ・日活の両社の代表権を有している人間が、商法上の株式譲渡制限解除の議決に参加するとすると、商法にいう取締役による利益相反行為になるのではないかということ。(そもそも、多額の有利子負債をかかえる企業への株譲渡を取締役が承認すれば、そのこと自体が利益相反行為として、他の株主や従業員から訴えられうるとは思うが。)
それと、映画会社や映像製作会社という存在は、映画製作だけをやっているわけではなくて、劇場経営や洋画の配給、衛星放送事業、キャラクターの権利ビジネス、旧作のDVD販売など業務が多岐に渡っているわけで、その柱に版権の問題がある。ましてや、衛星事業とBB事業は競合するジャンルなわけで、「日活映画のコンテンツがUSENに取られそうだから、自分達の食い扶持がなくなりそうだから反対するというのでは、情けないです。」という発想は私にはよくわからない。映画の著作権というのは、いってみれば製造業の特許みたいなものですからね。
また、映画界に詳しい人ならご存知のことですが、日活を飛び出して映画を作っている人はたくさんいます。これは、日活が70年代以降もスタッフ養成を続けていた会社だったからで、だからこそ撮影所も健在なわけです。つまり、飛び出すのも映画人なら、育った場所を守るのも映画人だという気がしますが?
最後に、わたしは村上ファンドの村上氏の提唱する「物言う株主」という考え方に賛同するものですが、「物言う従業員」というのも重要だと考えます。現場の最前線にいるのは従業員なわけですから。富士通の社長のように「業績が悪いのは働かない社員が悪い」などとマスコミに公言する経営者を見るにつけ、「経営者の経営能力を信頼できるか」という問題が、株主および従業員に求められる時代が来ていると思います。(もっとも、駄目経営者に限って筆頭株主ということもありますが。)