切られお富!

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『20世紀少年』&『21世紀少年』 浦沢直樹 著

2008-03-01 06:33:33 | 超読書日記
普段電車ではマンガを読まないことにしているわたしが、自分の決まり事を破って、ここのところせっせと電車で読み続けたのが浦沢直樹の『20世紀少年』。ようやく、最後の『21世紀少年』下巻まで読み終えたので感想です。

読むきっかけになったのは、製作費60億円で三部作になるという映画化のニュース。

・「20世紀少年」豪華キャスト揃え、60億円実写映画化!
・実写映画化「20世紀少年」が世界進出

もちろん、「製作費60億」は眉唾な宣伝数字だけど、かなりの多額な予算で製作されることには変わりないので、「それほどのマンガなのか?」って思ったんですよ。

それと、近所のTSUTAYAで借りられたというのも大きいです。なにしろ『20世紀少年』全22巻に『21世紀少年』上下巻で合計24冊。マンガ喫茶に行く時間はないし、さすがに買う気は起きませんからねえ~。

というわけで、本題に入りますが、ストーリーの説明は長くなるのであえてやりません。

簡単に言うなら、60~70年代(少年時代)の強烈なノスタルジーと80年代のバブル期、2000年前後の世相と近未来である2015年、それぞれの時間が交差するストーリーで、オウム真理教を思わせる「ともだち」と呼ばれる宗教団体とそれに抵抗する人々を描いているってことになるでしょうか。

で、ざっくり、読み終えた直後の読後感を書きますが、後半失速したなあ~というのが偽らざる感想。

確かに力作だし、読みごたえはあるのですが、スリリングだったのは前半まで。後半は前半の面白さにひきづられて、何とか読んだという感じでしたね、わたしは。

前半が面白かったのは、悪役である宗教集団「ともだち」の<悪>がエグかったからで、後半の失速は<悪>が薄まって、センチメンタルなストーリーに変わっていってしまったからではないですかね?

後半、もともとの悪役キャラが薄まっていくにつれ、新たな悪役キャラ女性をフューチャーしようとしたりしていましたが、結局尻切れトンボに終わり、わたしは最終巻って全然納得がいきませんでした。

8年にも渡る連載は浦沢直樹を消耗させたに違いありませんが、少年時代への憧憬や音楽への愛情など、作者にとっては思い入れのある作品ではあるのでしょう。

でも、伏線の落とし前がつかず、無理矢理、強制終了的に辻褄を合わせた終わり方になってしまって、書き手も読み手も納得いかなかったと思うなあ~。

ただ、この作品には「ともだち」をはじめとして、魅力的なイメージが詰まっているため、破綻はあっても嫌いになれない作品ではあります。

さて、映画のほうですが、監督は『ケイゾク』なんかの堤幸彦、主演唐沢寿明で、豊川悦司、常盤貴子共演だそうですが、どうなんですかね?

わたしの印象では、この原作で映画三本はさすがにキツイ。

とても話が続かないんじゃないかって思いますね。特に、後半のストーリーはもうひとつ魅力的ではないので、三本目がかなり問題になると思います。(東宝関係者はちゃんとマンガを読んだのかな?)

それと、率直に言えば、わたしはこのマンガの主人公ケンジにあまり魅力を感じないので、主人公中心だとたんなる冒険映画で終わる可能性はあります。

とにかく、「ともだち」の<悪>をどう魅力的に描くか。この点がぶれるとつまらなくなりそうだなあ~。

脚本も書くという浦沢直樹に注目かな?

8月1本目が公開でしたっけ?

・映画『20世紀少年』公式HP

20世紀少年―本格科学冒険漫画 (1)
浦沢 直樹
小学館

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