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これは、ポランスキーの来歴に興味のあるひと、必見ですね。わたしなんか、知らない話がいくつも出てきて、今まで疑問に思ってきたことのいくつかが氷解しました。しかし、つくづく数奇な運命の人だなあ~、この監督は!ということで、ポランスキーの作品というより、人生を追っかけたドキュメンタリー映画です!
「ポーランド人の映画監督ロマン・ポランスキー」と紹介されがちなこの人だけど、生まれはパリだったってあたりから意外性ありました。3歳の時にポーランドのクラフツに親子で引っ越してから、このひとの多難な人生が始まるんですが、妊娠中だった母親がドイツ兵に連行されて殺されているんですよね。これが、のちに妊娠中の夫人シャロン・テートが殺されてしまう事件とつながっているようで怖いです。
で、戦後、ポーランドで子役として活躍し、本人も俳優を目指していたものの、俳優学校に入れずに映画学校に入ったというのは運命のいたずらなんでしょうか。ポランスキーの演出術が、「自分で演じてみせる」ものだというのは、この辺のキャリアから来ているんでしょうね(ちなみに、アンジェ・ワイダ監督の名作『世代』に出演していることでも有名。)。
で、このドキュメンタリー映画に関していうと、①ユダヤ人としてのナチス政権下のホロコースト体験、②妻のシャロン・テートとの出会いから彼女がチャールズ・マンソンのカルト教団に惨殺された事件に関する話、③アメリカでの少女淫行為事件でアメリカを脱出した経緯、の三つのエピソード、なかでも三つめの問題を中心に映画が構成されています。というか、ポランスキーの友人が、彼を擁護するために作った映画といっていいでしょう。
個人的に、興味深かったのは二点。
まず、シャロン・テートの襲われた原因が、ポランスキーの自宅がもともとテリー・メルチャーの家で、テリー・メルチャーに犯人が恨みを持っていたためだというのは意外性がありました。つまり、とばっちりで殺されてしまったってことですね。なお、テリー・メルチャーって、ドリス・デイの息子で、「ミスター・タンブリンマン」なんかで知られるザ・バーズのプロデューサーだった人です。
二点目は、淫行事件のアメリカ出国が、アメリカ司法の悪意を避けるためで、仕方がなかったというくだり。もちろん、ポランスキーサイドの言い分ではあるんですが、当時の被害者少女もいまやメディアに出てきて、司法当局を批判しているというのは、わたしも初めて知りました。
なので、2009年9月、チューリッヒ映画祭の「生涯功労賞」授与式に出席するためスイスに滞在中、過去の淫行容疑に関連してスイス司法当局に身柄を拘束され、アメリカが身柄引き渡しを要求した一件は問題大ありだったってことですね。(なお、スイスはこれを拒否、2010年7月12日にポランスキー釈放を決定。)
というようなわけで、ちょっと語り尽くせないんですが、興味深い情報に満ちたドキュメンタリーでした。できたら、この作品とは別に、純粋にポランスキー作品に焦点を当てたドキュメンタリーも観てみたいですね。作家としても、一級の職人ですから。なお、わたしが好きな作品は、月並みながら『反撥』と『ローズマリーの赤ちゃん』です。ま、『フランティック』に出てくる今の奥さんもよいけどね。
「ポーランド人の映画監督ロマン・ポランスキー」と紹介されがちなこの人だけど、生まれはパリだったってあたりから意外性ありました。3歳の時にポーランドのクラフツに親子で引っ越してから、このひとの多難な人生が始まるんですが、妊娠中だった母親がドイツ兵に連行されて殺されているんですよね。これが、のちに妊娠中の夫人シャロン・テートが殺されてしまう事件とつながっているようで怖いです。
で、戦後、ポーランドで子役として活躍し、本人も俳優を目指していたものの、俳優学校に入れずに映画学校に入ったというのは運命のいたずらなんでしょうか。ポランスキーの演出術が、「自分で演じてみせる」ものだというのは、この辺のキャリアから来ているんでしょうね(ちなみに、アンジェ・ワイダ監督の名作『世代』に出演していることでも有名。)。
で、このドキュメンタリー映画に関していうと、①ユダヤ人としてのナチス政権下のホロコースト体験、②妻のシャロン・テートとの出会いから彼女がチャールズ・マンソンのカルト教団に惨殺された事件に関する話、③アメリカでの少女淫行為事件でアメリカを脱出した経緯、の三つのエピソード、なかでも三つめの問題を中心に映画が構成されています。というか、ポランスキーの友人が、彼を擁護するために作った映画といっていいでしょう。
個人的に、興味深かったのは二点。
まず、シャロン・テートの襲われた原因が、ポランスキーの自宅がもともとテリー・メルチャーの家で、テリー・メルチャーに犯人が恨みを持っていたためだというのは意外性がありました。つまり、とばっちりで殺されてしまったってことですね。なお、テリー・メルチャーって、ドリス・デイの息子で、「ミスター・タンブリンマン」なんかで知られるザ・バーズのプロデューサーだった人です。
二点目は、淫行事件のアメリカ出国が、アメリカ司法の悪意を避けるためで、仕方がなかったというくだり。もちろん、ポランスキーサイドの言い分ではあるんですが、当時の被害者少女もいまやメディアに出てきて、司法当局を批判しているというのは、わたしも初めて知りました。
なので、2009年9月、チューリッヒ映画祭の「生涯功労賞」授与式に出席するためスイスに滞在中、過去の淫行容疑に関連してスイス司法当局に身柄を拘束され、アメリカが身柄引き渡しを要求した一件は問題大ありだったってことですね。(なお、スイスはこれを拒否、2010年7月12日にポランスキー釈放を決定。)
というようなわけで、ちょっと語り尽くせないんですが、興味深い情報に満ちたドキュメンタリーでした。できたら、この作品とは別に、純粋にポランスキー作品に焦点を当てたドキュメンタリーも観てみたいですね。作家としても、一級の職人ですから。なお、わたしが好きな作品は、月並みながら『反撥』と『ローズマリーの赤ちゃん』です。ま、『フランティック』に出てくる今の奥さんもよいけどね。
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