切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『西郷隆盛』 芥川龍之介 著

2016-05-30 23:59:59 | 超読書日記
芥川というと、初期にせよ晩年の作品にせよ、深刻なものがよく取り上げられるでしょ。でも、芥川の元気だったころの良さって、皮肉屋のユーモアみたいな部分なんですよね。で、オチは単純ながら、語り口とひとを喰った演出術で最高なのが、この『西郷隆盛』。わたしは、1分間しっかり笑いました!ということで、ご興味のある方はどうぞ!

歴史に対する懐疑とか、芥川流の理屈で考えるのもよいんだけど、この作品とか、歌舞伎や能の「俊寛」をおちょくった芥川版「俊寛」など、健康な時代の芥川のひとを喰った感じって、内田百なんかに負けてないですね。

大正6年の発表だから、当時は明治維新の生々しさは消えて、伝説の巨人西郷の残像だけが、世間に漂っていたのでは?生粋の江戸っ子・芥川ならではの皮肉も交じっているんでしょうが、この小説ではナポレオンでも描くように西郷を描いているって、わたしは思うな~。

(ちなみに、「ナポレオンと田虫」を書いた横光利一らの新感覚派って、大正13年の関東大震災以後に、注目を浴び始める。)

というようなわけで、文庫本でも青空文庫でも、気軽に読めますので、暇つぶしにどうぞ!

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