日本アカデミー賞の大量受賞に加えて、米国アカデミー賞の外国映画賞受賞で国内大フィーバー中の『おくりびと』。映画自体の感想は以前書いているので、今回の現象について、ちょっとだけ雑感を・・・。
アカデミー賞で「おくりびと」に外国映画賞、日本映画初(トムソンロイター) - goo ニュース
・以前書いた『おくりびと』の感想。
① わたしのこの作品の評価を簡単に言ってしまえば、「地味だけど、ちょっといい映画」ということですかね~。
なので、何冠も達成した日本アカデミー賞くらいから「ええぇ~」って印象になり、米国アカデミー賞にいたっては、「今年は不作の年だったのかな~」と思ってしまった。
といっても、『おくりびと』をバカにしたいんじゃなくて、「いい映画だけど、名作ってほどでもないんだよな~」というのが率直な印象なんですよ。
というわけで、メディアのこの大盛りあがりを見るにつけ、観ていってるのかな~と思わずにはいられない・・・、そんな気分ですよ。いつものことだけど。
② 「邦画の底力」みたいなマスコミの表現法も、マスコミ人士が映画を知らないことを象徴してるんだと思いますね。
この映画自体は、見るからにコンパクトな予算で地味に作られているし、邦画の製作状況自体は景気の後退もあって、よくはない。
洋画が弱いので相対的に邦画のシェアが上がっているというのが正しい捉え方なんじゃないですかね~。
③ 松竹の株価が上がっているそうですが、株式取引の大衆化って、軽薄化だなあ~とつくづく・・・。
でも、松竹さん、よかったね!
④ 「映画芸術」という雑誌が選ぶ今年のワースト映画1位が、なんと『おくりびと』!
なんかこの雑誌らしくていいし、キネ旬の1位が『おくりびと』だから、批評のバランスとしては健全な感じがしますよね。
わたしも、この映画の後半が「おくりびと」の話でなく「親子物」になってしまったところに、多少物足りなさを感じなくもない。
というわけで、「傑作」ではないけど「佳作」という評価だなあ~。だから、褒め過ぎはちょっと気持ち悪い・・・。
⑤ 外国映画賞受賞という評価って、冷静に考えれば「エキゾチック・ジャパン」的なものって感じもしなくはない。(外国人はキモノが好きだからね~。)
だから、「邦画の底力」はないよ、繰り返すようだけど!
⑥ 欧米の遺体処理方法として「エンバーミング」というのがありますよね~。
ただ、土葬文化を前提としているし、宗教感覚も違うから「おくりびと」とおなじではないですよね~。
因みに、青山真治監督の映画で『エンバーミング』というのが昔あったんだけど、とんでもない駄作でした。映画館で見ていて倒れそうになりましたもの・・・。
★ ★ ★
とりあえず、以上。
アカデミー賞で「おくりびと」に外国映画賞、日本映画初(トムソンロイター) - goo ニュース
・以前書いた『おくりびと』の感想。
① わたしのこの作品の評価を簡単に言ってしまえば、「地味だけど、ちょっといい映画」ということですかね~。
なので、何冠も達成した日本アカデミー賞くらいから「ええぇ~」って印象になり、米国アカデミー賞にいたっては、「今年は不作の年だったのかな~」と思ってしまった。
といっても、『おくりびと』をバカにしたいんじゃなくて、「いい映画だけど、名作ってほどでもないんだよな~」というのが率直な印象なんですよ。
というわけで、メディアのこの大盛りあがりを見るにつけ、観ていってるのかな~と思わずにはいられない・・・、そんな気分ですよ。いつものことだけど。
② 「邦画の底力」みたいなマスコミの表現法も、マスコミ人士が映画を知らないことを象徴してるんだと思いますね。
この映画自体は、見るからにコンパクトな予算で地味に作られているし、邦画の製作状況自体は景気の後退もあって、よくはない。
洋画が弱いので相対的に邦画のシェアが上がっているというのが正しい捉え方なんじゃないですかね~。
③ 松竹の株価が上がっているそうですが、株式取引の大衆化って、軽薄化だなあ~とつくづく・・・。
でも、松竹さん、よかったね!
④ 「映画芸術」という雑誌が選ぶ今年のワースト映画1位が、なんと『おくりびと』!
なんかこの雑誌らしくていいし、キネ旬の1位が『おくりびと』だから、批評のバランスとしては健全な感じがしますよね。
わたしも、この映画の後半が「おくりびと」の話でなく「親子物」になってしまったところに、多少物足りなさを感じなくもない。
というわけで、「傑作」ではないけど「佳作」という評価だなあ~。だから、褒め過ぎはちょっと気持ち悪い・・・。
⑤ 外国映画賞受賞という評価って、冷静に考えれば「エキゾチック・ジャパン」的なものって感じもしなくはない。(外国人はキモノが好きだからね~。)
だから、「邦画の底力」はないよ、繰り返すようだけど!
⑥ 欧米の遺体処理方法として「エンバーミング」というのがありますよね~。
ただ、土葬文化を前提としているし、宗教感覚も違うから「おくりびと」とおなじではないですよね~。
因みに、青山真治監督の映画で『エンバーミング』というのが昔あったんだけど、とんでもない駄作でした。映画館で見ていて倒れそうになりましたもの・・・。
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とりあえず、以上。
まあ、それ以前にネタ切れというのもあるのでしょうが…。
ただし、問題なのは日本や韓国などのコンテンツの著作権をハリウッドが買い占めようとしていること。(アジアのコンテンツ市場は欧米の原作権より割安感がありますから。)
日本の出版社や映画会社が、ハリウッド・ビジネスにいいようにやられないといいのですが…。
因みに、『エンタテインメントの罠』なんて本がありますので、ご参考にどうぞ。
http://www.amazon.co.jp/%E6%96%B0%E7%B7%A8-%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%86%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AE%E7%BD%A0%E2%80%95%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E6%98%A0%E7%94%BB%E3%83%BB%E9%9F%B3%E6%A5%BD%E3%83%BB%E6%BC%94%E5%8A%87%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%81%A8%E5%A5%91%E7%B4%84%E3%83%9E%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%83%AB-%E7%A6%8F%E4%BA%95-%E5%81%A5%E7%AD%96/dp/4883992845/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1246550042&sr=1-1
>pfaelzerweinさま
お久しぶりです。
この映画は「お葬式」と違って、良くも悪くも生真面目な映画です。
なので、一時期精神分析に凝っていた伊丹監督のようなスノッブなところは皆無です。
ただ、シンプルゆえに日本人の死生観に近い映画だともいえるのかなあ~。ヨーロッパでの評価が気になるところです。
>しんいちろうさま
わたしが作品論以上に気になってしまったのは、マスコミの取り上げ方です。
滝田監督の両親にインタビューする感覚って、<海外の評価→国家的な名誉→家族の誉れ>ってイメージなんですよね、きっと。
なんだか天皇制的家父長制の残滓という感じもしたし、訪米した麻生太郎が「最初に招かれたのはアジア人としても名誉なことだ」というような発言をした民族的奴隷根性(?)にも通じるような…。
何で作品論、作家論じゃなくて、「お父さん、おめでとうございます」なんですかね?
やっぱり、文化レベル低いな、この国!と思ってしまいましたよ。
お富さんもお書きになってましたけど、この映画、とても良くは出来てるけど、底の浅さも感じる部分もありました。もっとテーマに深く突っ込んで描くやり方もあったと思います。このテーマには不可欠かと思われるセックスシーンも巧妙に避けていたり。(伊丹十三の「お葬式」にも、「たんぽぽ」にも、とても下世話なセックスシーンがありました。)
ただ、私はあえてそういうことは避けて、きれいごとに済ませた点にむしろ感心しましたが、性格の悪い荒井晴彦などは、たしかに文句も言いたくなるだろうなあ。私はこの映画は「買い」ですが、映画芸術がワーストに選んだというのも、なんとなく頷ける気がします。
あれは大変面白く評判も良かったですが、これは欧州ではどうでしょうかね。今回のインド映画の方も個人的には今一つ興味が湧かないのです。
参考になりました。