切られお富!

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最も優れた映画脚本、1位に「カサブランカ」?

2006-04-10 02:04:19 | アメリカの夜(映画日記)
「カサブランカ」がそんなにたいした映画かという問題はさておき、わたしが気になったのは、この作品の脚本を担当したハワード・コッチが赤狩りでハリウッドを追われ、亡命したヨーロッパでは変名で活動した人物だということ。だから、「カサブランカ」の脚本が歴代一位だって話はなかなか皮肉なんだけど、こういうことって新聞記事にはどうして載らないのかな?

映画全般 「カサブランカ」最優秀脚本に選出 - goo ニュース

あんまり取り上げたくない本なんだけど、『闘争のエチカ』という本のなかで、蓮實重彦が自分の弟子・四方田犬彦の「『カサブランカ』は対独プロパガンダ映画」という発言を批判して、「『カサブランカ』を製作したワーナーブラザーズは亡命者と共産党員の巣窟であって、大戦への参戦を暗に促したこの手の映画は、ハリウッドに隠れていた左翼系知識人による、政府及び国民へのプロパガンダがこめられていた」と語っていたのを思い出してしまった。

監督のマイケル・カーチスがハンガリー移民なのは有名だし、最近たまたま自伝を読んだ、作家アゴタ・クリストフもハンガリーからの難民だったというわけで、「昔懐かしい名画の話題」なんてトピックスでしかこの件を扱えないメディアって、オリコンがよくやってるくだらないアンケートと変わんないよなあ~っていうのがわたしの感想ですね。

因みに、「市民ケーン」の脚本のハーマン・マンキーウィッツと「イブの総て」のジョゼフ・L・マンキーウィッツって兄弟だから、二人で上位にいるっていうのもなかなか立派ではありますね。(この人たちってポーランド系なんでしたっけ?)

カサブランカ

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