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<訃報> 映画監督 市川崑

2008-02-14 02:46:39 | アメリカの夜(映画日記)
まあ、大往生でしょう。九十過ぎまで映画が撮れたんだから。ご冥福をお祈り致します。

・映画監督の市川崑さん死去

正直なところ、晩節を汚したとまではいわないけど、晩年は凡作を連発した市川崑。

この人がクリエイティブだったのは奥さんの和田夏十が生きてた頃までだというのは、衆目の一致するところでしょう。

おそらく、和田夏十が生きていたら、「やめなさい」という企画ばっかりだったのではないですか?

でも、一方で、恵まれた製作条件で映画を撮り続けられた監督でもあるわけですよね。

比較でいうなら、独立プロで苦労して、同じく九十歳代まで映画を撮っている新藤兼人とはまったく違う、商業映画の監督としての一生だったともいえます。

まあ、面倒な話はともかく、傑作連発だった大映時代と金田一シリーズ前後くらいまでが再見に値するんじゃないかな~。

何度も書いているんで気が引けるけど、わたしが一番好きなのは、オムニバス映画『女経』のなかの一篇「物を高く売りつける女」。

この作品の切れ味は、同じくオムニバス映画である近作『ユメ十夜』の一篇とは比較にならないものがあります。

あとは月並みだけど、『私は二歳』、『ぼんち』、『鍵』、『おとうと』。個人的には『満員電車』なんかもいいですけどね。

それと、不謹慎ながら、この機会に、なかなか観ることのできない『鹿鳴館』や『幸福』といったあたりが観てみたいなあ~。

ついでに思い出したんだけど、岩井俊二の『市川崑物語』は意外といい作品でした。ちゃんと、岩井俊二の作家性も出ていたしね。(もっとも、太宰治の小説を読んでいるような、深みのないセンチメンタリズムではあるんだけど・・・。)

最後に、語るに堕ちる話をひとつ。日テレのニュース番組で、この訃報のニュースをやってたんだけど、村尾信尚が『東京オリンピック』を印象深い作品に上げていたのに対し、小林麻央が真顔で『八つ墓村』といっているのには笑いました。

確かに、市川崑は『八つ墓村』を撮ってはいるけれど、一般的に有名なのは野村芳太郎監督、萩原健一主演の映画の方で、市川崑版なんて市川崑ファンでもあんまり評価してないでしょう。(というより、観ている人少ないでしょう?)

本気で言ってたのか、テキトー発言なのか知らないけど、タレントキャスターってダメだなって思ったなあ~。もっとも、滅多に見ませんけどね~。

<過去に書いた市川崑関連記事>
・「犬神家の一族」市川監督&石坂で復活
・GWは、市川崑の金田一シリーズ観てました!
・賞という名の墓標、市川崑の場合。
・船場吉兆と「細雪」
・オリンピックに興味のないわたし。

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