切られお富!

歌舞伎から時事ネタまで、世知辛い世の中に毒を撒き散らす!

『シガテラ』①古谷実 講談社

2004-12-23 09:11:15 | 超読書日記
たまたま、近所のブックオフで1巻目だけ売っていたんで、話の種にと思い買って読んでみたら、ビックリ。まだ、1巻だけなのに滅茶苦茶引き込まれた。とにかく感じたのは、古谷実は何か正確に「コト」を掴んでいるってこと。

古谷実というと、私は有名な「稲中卓球部」は読んだことがなくて、宮台真司と宮崎哲弥が大絶賛していた「ヒミズ」を読んだ事があったくらい。「ヒミズ」の方は性急な結末がなじめず、文芸誌の新人賞みたいなマンガだなあと思えて、あまり面白くなかったのですが、「シガテラ」は違いますね。大傑作の期待大!

ここに描かれる高校生活は、何か既視感のある風景と力関係の円環。とにかく、表情豊かな描写のデブ、ブスの描かれ方がリアルで容赦なく、こんなことは元気の良かった初期の村上龍以来なんじゃないかと思えてくる。

また、学校以外の場所に閉塞感の密やかな突破口を見出したい気分なんて、うまいなあ…。しかも、あと少しのところで、すり抜けてく感じも含めて。私が昔ウンザリして距離感保っていた「学校」っていうのが、絵の隙間隙間から体感的にヒンヤリ伝わってくる感じ。("熱く”は伝わんないからリアルなんだけど。)

タイトルの「シガテラ」が、「神経系に障害を起こすシガトキシンを有する魚による、熱帯地方の中毒症」の事だとはネット上で知りましたが、何気ない日常が暗闇へと繋がっている予感は、「ヒミズ」と共通するモノで、どんなカタストロフが待っているのか?、とても気になる。

たんなる幸福な恋愛マンガじゃ終わりそうにない雰囲気がプンプン匂ってくる第一巻。さっそく、続きを買いに本屋に行かなくては!

PS:しかし、せっかくの休日に私は何をしてるのやら…。



再PS:②~⑤の感想も書きました。よかったらどうぞ!

シガテラ②~⑤
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