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六月歌舞伎座 第二部を観てきた!(「信康」「勢獅子」)6/4観劇

2022-06-04 23:59:59 | かぶき讃(劇評)
いま話題の染五郎主演「信康」、観てきました。簡単に感想。

まず、脇を固めている役者が上手い人ばかり(鴈治郎、錦之助、魁春ほか)のなか、高校を中退したばかりの18歳(!)染五郎がどんな芝居をするのかと思ったら、これが堂々たる力強い芝居で感心しました。

涼しい美少年イメージしかなかったので、こんなに腰の座った芝居をする人だっけと思ってしまったくらいです。父親の幸四郎にはない力感みたいなものが、この人にはあったんだな〜という印象。今までの納涼歌舞伎の芝居でもこういう感じは見せてなかった気がするので、芝居一本、いよいよ本気出してきたのかな〜と。

正直それほど好きでもなかったわたしですが、なんだか今後に期待ですね。このブログも、「高麗屋には辛い」と言われてきましたが(笑)、ちょっとか風向きが変わるかも。

脇では、魁春の築山殿が、この人にしては久々にエモーショナルな傑作で、対する嫁の徳姫、莟玉もこの人にしては色っぽくて粘っこい芝居。これも染五郎の熱演が引き出したと言っては言い過ぎなのかな?

白鸚の家康は、いつものこの人らしく、出てきた瞬間から大泣きな感じだけど、この芝居としては合ってなくはない。貫禄もある。でも、他の役者ならもっと抑えた父親像にするかもしれませんね。で、最初にも書いた通り、鴈治郎&錦之助コンビの家来が上手い!若い主役を盛り上げようという部分と、若殿愛に燃える(萌える)家来の部分が交差して、名演の類かな。

というわけで、予想外に満喫しました。三場通して、効果音の使い方にも注目。

次は、「勢獅子」。

雀右衛門、扇雀、梅玉、松緑と手だれ揃いの中、個人的には雀右衛門の芸者が、特に秀逸でした。少々痩せたのか、口元から顎のラインと、顎を引いた所作の感じが、歳をとってからもアダっぽかった先代四代目雀右衛門を彷彿とさせました。この人にこういう感想を持ったことがなかったので、特に印象的。

以上、簡単ですが、感想でした。


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