毎年恒例の「わたしが選ぶ歌舞伎ベストアクト」ですけど、 2024年は忙しくて見逃した芝居も多いし、なんか低調だった印象が・・・と思って振り返ったら、いい芝居たくさんあったじゃん!というわけで、早速わたしが独断と偏見で選ぶベストアクト。
まずは以下に、2024年の印象に残った舞台を…
1月
道成寺(壱太郎)、鶴亀(福助)、荒川十太夫(松緑、中車)、対面(彌十郎)以上、歌舞伎座、
葛の葉(梅枝)国立劇場
俊寛(團十郎、廣松)新橋演舞場
十種香(米吉)、源氏店(隼人、米吉、松也)、熊谷(歌昇、巳之助)、魚屋宗五郎(松也)
2月
連獅子(勘九郎、長三郎)、籠釣瓶(勘九郎、七之助)、野崎村(彌十郎、東蔵)以上、歌舞伎座
3月
寺子屋(菊之助、愛之助)、傾城道成寺(雀右衛門)御浜御殿綱豊卿(仁左衛門、幸四郎)
喜撰(梅枝)、伊勢音頭(魁春、雀右衛門、愛之助、又五郎)以上、歌舞伎座
ヤマトタケル(團子、米吉、壽猿)新橋演舞場
4月
引窓(松緑、梅玉)、お染久松、神田祭(仁左衛門、玉三郎)、夏祭(愛之助、歌六)以上、歌舞伎座
5月
先代萩(菊之助、雀右衛門、歌六)、四千両(松緑、梅玉)、毛抜(男女蔵)、湯殿の長兵衛(團十郎)以上、歌舞伎座
6月
三笠山御殿(時蔵、万屋&播磨屋一門)、山姥(萬寿)、魚屋宗五郎(獅童)以上、歌舞伎座
7月
星合十三團(團十郎)、裏表太功記 杉の森の段(幸四郎、染五郎)以上、歌舞伎座
8月
鵜の殿様(幸四郎、染五郎)、髪結新三(勘九郎、七之助)、以上、歌舞伎座
9月
勧進帳(菊之助、幸四郎)、合邦(歌六、菊之助)、空海(雀右衛門)、吉野川(玉三郎、松緑)以上、歌舞伎座
夏祭(彦三郎、亀蔵)国立劇場
10月
婦系図(玉三郎、仁左衛門)、六条御息所(玉三郎、染五郎)、権三と助十(時蔵、歌六、吉之丞)俊寛(吉之丞)以上、歌舞伎座
11月
三人吉三(左近、歌昇、亀蔵)以上、歌舞伎座
一本刀土俵入(勘九郎、七之助、喜多村禄郎)、絹川村閑居(勘九郎、巳之助、米吉)、お染の七役(七之助)明治座
12月
加賀鳶(勘九郎)、雪月花(勘九郎、長三郎)、あらしのよるに(獅童、菊之助、米吉)天守物語(玉三郎、團子、獅童)以上、歌舞伎座
●わたしの選ぶベストアクト2024
①髪結新三(勘九郎、七之助)
②一本刀土俵入(勘九郎、七之助、喜多村禄郎)
籠釣瓶(勘九郎、七之助)
③三笠山御殿(時蔵、万屋&播磨屋一門)
婦系図(玉三郎、仁左衛門)
絹川村閑居(勘九郎、巳之助、米吉)
④天守物語(玉三郎、團子、獅童)
夏祭(彦三郎、亀蔵)
⑤ ヤマトタケル(團子、米吉、壽猿)
次点 葛の葉(梅枝)、湯殿の長兵衛(團十郎)、勧進帳(菊之助、幸四郎)
熊谷(歌昇、巳之助)、魚屋宗五郎(松也)
他のところにも書いたのですが、2024年はとにかく忙しくて、結構話題になった新作歌舞伎の数々も観に行けず、完全に守旧派の感想って感じになってます。ただ、あんまり、今の新作歌舞伎の方向性好きじゃないんですよね。でも、無視できない動きにはなっていくと思います。
で、そんな2024年に、古典で大輪の華を咲かせたのは、中村勘九郎だったと思います。
前後の世代、平成の三之助(團十郎、菊之助、松緑)や幸四郎に比べて何がいいかって、台詞で酔わせてくれるところ。吉右衛門亡き後の歌舞伎の味、渋さを体現してくれる存在になると思いますよ。時代物、世話物とも成果を出している点からして、おじいさんの十七代目勘三郎のような役者になるんじゃないかな~。2025年も目が離せません。
また、女形で、古典で輝いたのは、梅枝改め六代目中村時蔵。年明けから『葛の葉』がよかったし、襲名の舞台もよかった。六代目歌右衛門を贔屓にしていた三島由紀夫が生きてたら、たぶん絶賛の一文を書いたんでしょうね~。
一方、2024年は若手台頭の年だったという感じもしますね。2024年までの浅草歌舞伎メンバーに加えて、その下の世代も存在が大きくなってきた。中でも團子は急速に成長したと思いました。『ヤマトタケル』から『天守物語』まで、立派に成果を出している。
ライバル(?)染五郎も、玉三郎との共演もあったし、今年から浅草歌舞伎登場と、新之助時代の團十郎を思わせるギラギラ感があって、この先楽しみです。
グッと若い世代だと、尾上左近に注目しています。彼は、お父さん(松緑)と違って兼ねる役者(立役・女形両方やる役者)になっていくのかな~と期待しています。女形のときは今どきの小顔女子みたいだし、立役のときは、おじいさんの初世辰之助みたいな切れを感じる。この人は自分の将来のロールモデルをどこに置いているのかが気になりますね。尾上右近とか菊之助なのかな~。
ベテランだと、どの舞台でも渋い存在感を示した人間国宝中村歌六を外すわけにはいきません。観劇後の自分のXを見直してたら、登場回数多かった!いまいちな芝居でも、この人の脇役老け役だけは良かったみたいなことがままあった。播磨屋一門にとって大事な存在です。
最後に、仁左衛門&玉三郎。いつでも、この二人は凄いけど、東京での公演ということに絞れば、今年は玉三郎が気を吐いた気がします。特に、2024年後半の「吉野川」、「婦系図」、「六条御息所」、「天守物語」と、独壇場の芸としか言いようがないですね。
最後に、敢闘賞について触れておくと、実力者の彦三郎に、夏祭浪花鑑の団七の役が回ってくるってことが嬉しかったし、舞台も実際素晴らしいものでした。今後は團菊祭や国立劇場公演で大きな役をやってほしいです。喜多村禄郎は、明治座の舞台を観て、改めてこの人は歌舞伎の人だと思いました。もっと歌舞伎に出てほしいですね~。そして、壽猿さん、いつまでもお元気で!
以上、2024年の歌舞伎の感想でした!
●2024年MVP
①中村勘九郎
②中村梅枝
③中村歌六
④坂東玉三郎
●2024年敢闘賞
坂東彦三郎 喜多村禄郎 市川團子 市川壽猿
【去年の記事】
まずは以下に、2024年の印象に残った舞台を…
1月
道成寺(壱太郎)、鶴亀(福助)、荒川十太夫(松緑、中車)、対面(彌十郎)以上、歌舞伎座、
葛の葉(梅枝)国立劇場
俊寛(團十郎、廣松)新橋演舞場
十種香(米吉)、源氏店(隼人、米吉、松也)、熊谷(歌昇、巳之助)、魚屋宗五郎(松也)
2月
連獅子(勘九郎、長三郎)、籠釣瓶(勘九郎、七之助)、野崎村(彌十郎、東蔵)以上、歌舞伎座
3月
寺子屋(菊之助、愛之助)、傾城道成寺(雀右衛門)御浜御殿綱豊卿(仁左衛門、幸四郎)
喜撰(梅枝)、伊勢音頭(魁春、雀右衛門、愛之助、又五郎)以上、歌舞伎座
ヤマトタケル(團子、米吉、壽猿)新橋演舞場
4月
引窓(松緑、梅玉)、お染久松、神田祭(仁左衛門、玉三郎)、夏祭(愛之助、歌六)以上、歌舞伎座
5月
先代萩(菊之助、雀右衛門、歌六)、四千両(松緑、梅玉)、毛抜(男女蔵)、湯殿の長兵衛(團十郎)以上、歌舞伎座
6月
三笠山御殿(時蔵、万屋&播磨屋一門)、山姥(萬寿)、魚屋宗五郎(獅童)以上、歌舞伎座
7月
星合十三團(團十郎)、裏表太功記 杉の森の段(幸四郎、染五郎)以上、歌舞伎座
8月
鵜の殿様(幸四郎、染五郎)、髪結新三(勘九郎、七之助)、以上、歌舞伎座
9月
勧進帳(菊之助、幸四郎)、合邦(歌六、菊之助)、空海(雀右衛門)、吉野川(玉三郎、松緑)以上、歌舞伎座
夏祭(彦三郎、亀蔵)国立劇場
10月
婦系図(玉三郎、仁左衛門)、六条御息所(玉三郎、染五郎)、権三と助十(時蔵、歌六、吉之丞)俊寛(吉之丞)以上、歌舞伎座
11月
三人吉三(左近、歌昇、亀蔵)以上、歌舞伎座
一本刀土俵入(勘九郎、七之助、喜多村禄郎)、絹川村閑居(勘九郎、巳之助、米吉)、お染の七役(七之助)明治座
12月
加賀鳶(勘九郎)、雪月花(勘九郎、長三郎)、あらしのよるに(獅童、菊之助、米吉)天守物語(玉三郎、團子、獅童)以上、歌舞伎座
●わたしの選ぶベストアクト2024
①髪結新三(勘九郎、七之助)
②一本刀土俵入(勘九郎、七之助、喜多村禄郎)
籠釣瓶(勘九郎、七之助)
③三笠山御殿(時蔵、万屋&播磨屋一門)
婦系図(玉三郎、仁左衛門)
絹川村閑居(勘九郎、巳之助、米吉)
④天守物語(玉三郎、團子、獅童)
夏祭(彦三郎、亀蔵)
⑤ ヤマトタケル(團子、米吉、壽猿)
次点 葛の葉(梅枝)、湯殿の長兵衛(團十郎)、勧進帳(菊之助、幸四郎)
熊谷(歌昇、巳之助)、魚屋宗五郎(松也)
他のところにも書いたのですが、2024年はとにかく忙しくて、結構話題になった新作歌舞伎の数々も観に行けず、完全に守旧派の感想って感じになってます。ただ、あんまり、今の新作歌舞伎の方向性好きじゃないんですよね。でも、無視できない動きにはなっていくと思います。
で、そんな2024年に、古典で大輪の華を咲かせたのは、中村勘九郎だったと思います。
前後の世代、平成の三之助(團十郎、菊之助、松緑)や幸四郎に比べて何がいいかって、台詞で酔わせてくれるところ。吉右衛門亡き後の歌舞伎の味、渋さを体現してくれる存在になると思いますよ。時代物、世話物とも成果を出している点からして、おじいさんの十七代目勘三郎のような役者になるんじゃないかな~。2025年も目が離せません。
また、女形で、古典で輝いたのは、梅枝改め六代目中村時蔵。年明けから『葛の葉』がよかったし、襲名の舞台もよかった。六代目歌右衛門を贔屓にしていた三島由紀夫が生きてたら、たぶん絶賛の一文を書いたんでしょうね~。
一方、2024年は若手台頭の年だったという感じもしますね。2024年までの浅草歌舞伎メンバーに加えて、その下の世代も存在が大きくなってきた。中でも團子は急速に成長したと思いました。『ヤマトタケル』から『天守物語』まで、立派に成果を出している。
ライバル(?)染五郎も、玉三郎との共演もあったし、今年から浅草歌舞伎登場と、新之助時代の團十郎を思わせるギラギラ感があって、この先楽しみです。
グッと若い世代だと、尾上左近に注目しています。彼は、お父さん(松緑)と違って兼ねる役者(立役・女形両方やる役者)になっていくのかな~と期待しています。女形のときは今どきの小顔女子みたいだし、立役のときは、おじいさんの初世辰之助みたいな切れを感じる。この人は自分の将来のロールモデルをどこに置いているのかが気になりますね。尾上右近とか菊之助なのかな~。
ベテランだと、どの舞台でも渋い存在感を示した人間国宝中村歌六を外すわけにはいきません。観劇後の自分のXを見直してたら、登場回数多かった!いまいちな芝居でも、この人の脇役老け役だけは良かったみたいなことがままあった。播磨屋一門にとって大事な存在です。
最後に、仁左衛門&玉三郎。いつでも、この二人は凄いけど、東京での公演ということに絞れば、今年は玉三郎が気を吐いた気がします。特に、2024年後半の「吉野川」、「婦系図」、「六条御息所」、「天守物語」と、独壇場の芸としか言いようがないですね。
最後に、敢闘賞について触れておくと、実力者の彦三郎に、夏祭浪花鑑の団七の役が回ってくるってことが嬉しかったし、舞台も実際素晴らしいものでした。今後は團菊祭や国立劇場公演で大きな役をやってほしいです。喜多村禄郎は、明治座の舞台を観て、改めてこの人は歌舞伎の人だと思いました。もっと歌舞伎に出てほしいですね~。そして、壽猿さん、いつまでもお元気で!
以上、2024年の歌舞伎の感想でした!
●2024年MVP
①中村勘九郎
②中村梅枝
③中村歌六
④坂東玉三郎
●2024年敢闘賞
坂東彦三郎 喜多村禄郎 市川團子 市川壽猿
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わたしが選ぶ2023年歌舞伎ベストアクト毎年恒例の「わたしが選ぶ歌舞伎ベストアクト」ですけど、歌舞伎ファンにとってはいろいろあった2023年でした。では、早速わたしが独断と偏見で選ぶベストアクト。まずは以下に、......
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