毎年恒例の「わたしが選ぶ歌舞伎ベストアクト」ですけど、歌舞伎ファンにとってはいろいろあった2023年でした。では、早速わたしが独断と偏見で選ぶベストアクト。
まずは以下に、2023年の印象に残った舞台を…
1月 弁天娘(勘九郎)、十六夜清心(幸四郎、七之助)以上、歌舞伎座、
遠山桜天保日記(菊五郎、左團次)国立劇場
SANEMORI(宮舘涼太)新橋演舞場
2月 亀山の仇討(仁左衛門、雀右衛門)、船弁慶(鷹之資)、三人吉三(松緑、七之助、愛之助)以上、歌舞伎座
3月 天川屋義平(芝翫)、髑髏尼(玉三郎)、廓文章(鴈治郎、玉三郎、愛之助)、以上、歌舞伎座
一條大蔵卿(又五郎)国立劇場
4月 切られ与三郎(仁左衛門、玉三郎)、連獅子(松緑、左近)、新・陰陽師(寿猿)以上、歌舞伎座
絵本合法(又五郎、歌昇) 明治座
5月 音菊眞秀若武者(眞秀、菊五郎)、髪結新三(権十郎)、以上、歌舞伎座
魚屋宗五郎(藤川矢之輔)前進座 国立劇場
不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―(猿之助、壱太郎)、 御贔屓繫馬(猿之助、米吉)以上、明治座
6月 すし屋(仁左衛門)、傾城反魂香(中車、壱太郎)、以上、歌舞伎座
7月 め組の喧嘩(雀右衛門、團十郎)、菊宴月白浪(中車)、静の法楽舞(ぼたん・新之助)以上、歌舞伎座
引窓(芝翫)国立劇場
8月 裸道中(獅童、彌十郎)、新水滸伝(笑三郎、隼人)、新門辰五郎(勘太郎)以上、歌舞伎座
9月 一本刀土俵入(雀右衛門、勘九郎(代演))、連獅子(菊之助、丑之助)、金閣寺(福助、歌六、児太郎、米吉)
車引(又五郎、歌昇、種之助、鷹之資、歌六)以上、歌舞伎座
妹背山女庭訓 山の段(時蔵、松緑、梅枝、尾上右近)国立劇場
10月 天竺徳兵衛(松緑)、角力場(巳之助、獅童)、文七元結物語(孝太郎、獅童、寺島しのぶ)以上、歌舞伎座
妹背山女庭訓(梅枝)国立劇場
11月 松浦の太鼓(仁左衛門)、鎌倉三代記(梅枝)、吉原雀(歌昇)、マハーバーラタ戦記(芝のぶ)以上、歌舞伎座
12月 今昔響宴千本桜(獅童、初音ミク)、天守物語(玉三郎)、爪王(勘九郎、七之助)、俵星玄蕃(松緑)以上、歌舞伎座
●わたしの選ぶベストアクト2023
①一本刀土俵入(勘九郎※代演、雀右衛門)
②切られ与三郎(仁左衛門、玉三郎)
③亀山の仇討(仁左衛門)
すし屋(仁左衛門)
松浦の太鼓(仁左衛門)
④妹背山女庭訓 山の段(時蔵、松緑)
⑤ 静の法楽舞(ぼたん・新之助)
次点 魚屋宗五郎(藤川矢之輔)、一條大蔵卿(又五郎)、金閣寺(福助、歌六、児太郎、米吉)、
御贔屓繫馬(猿之助、米吉)、SANEMORI(宮舘涼太)、遠山桜天保日記(菊五郎、左團次)
2023年の歌舞伎を一言でいうと、「わたしにとってはつらい年」でした。
もちろん猿之助ショックは相当つらいですが、この記事を書きながらも、選ぶ演目、役者に正直困った。こんなことは初めてです。
一応、断っておくと、2023年に上演された新作歌舞伎はあらかた観ていません。わたしは典型的な守旧派歌舞伎ファンなので、FF歌舞伎、刀剣乱舞、ルパン歌舞伎は観ていませんが、観た人の意見はおおむね好評のようなので、それなりのクオリティの仕上がりなんだとは思います。
でも、こってりとした味わいの古典と新作が両立してこその歌舞伎という思いもあって、そういう意味では少々物足りない一年でした。おまけに国立劇場も閉場して、益々この影響が強まるかも…。コロナで苦しい時期に歌舞伎を続けた松竹には敬意を表しつつ、何にも考えていない官僚と政治家による国立劇場の閉場は憤りしかないですね~。こういうときに声を上げないから、学者や評論家も信用できないんだな~。
ま、そんなことはともかく、芝居に話を戻すと、古典で素晴らしい成果を上げ続けたのが大ベテランの仁左衛門一択みたいな状況はちょっとまずいですよね。今回挙げた以外にも、御園座の四谷怪談や南座の七段目もやっているわけなんで、齢80に近い名優にまあ頼りすぎ。
本当は、玉三郎を筆頭に、時蔵、雀右衛門で、毎月女形の大役を代わりばんこに上演してるくらいの状況になってほしいです。そして、2024年は玉三郎の合邦が是非見たい!
もちろん、中堅層でも、團十郎、菊之助を筆頭に、松也、中村屋兄弟など、気を吐いているとはいえ、やはり新作&古典の両方に充実度があったのは、個人的には松緑と獅童だったかなと思います。また、猿之助不在の穴を埋めた中車は立派でしたよ。
記憶に残る舞台という意味では、幸四郎の代演だった勘九郎の舞台を1位に挙げるのは反則っぽいですが、わたしの観た日の駒形茂兵衛の名セリフが素晴らし過ぎて、吉右衛門の不在を埋めてくれる可能性があるのはこの人だと確信しましたよ。地方公演もいいけど、今年はもっと歌舞伎座に出てください!
最後に、敢闘賞について触れておくと、宮舘くんの舞台は凄かった!死ぬ気でやってるくらいの気合が伝わってきて、また歌舞伎に出てほしいですね。また、芝のぶのインド歌舞伎の悪女も凄かった!今までの役のイメージとは全然違っていた事に加え、今まで溜めていた力を一気に出したという印象で、今後の活躍に期待です。團子は、突然こういう立場になって、澤瀉屋代々の運命は改めて凄いな~と思いつつ、大きく育ってほしいですね~。
以上、2023年の歌舞伎の感想でした!
●2023年MVP
①片岡仁左衛門
②尾上松緑
③中村獅童
④市川中車
●2023年敢闘賞
宮舘涼太、中村芝のぶ、市川團子
【去年の記事】
まずは以下に、2023年の印象に残った舞台を…
1月 弁天娘(勘九郎)、十六夜清心(幸四郎、七之助)以上、歌舞伎座、
遠山桜天保日記(菊五郎、左團次)国立劇場
SANEMORI(宮舘涼太)新橋演舞場
2月 亀山の仇討(仁左衛門、雀右衛門)、船弁慶(鷹之資)、三人吉三(松緑、七之助、愛之助)以上、歌舞伎座
3月 天川屋義平(芝翫)、髑髏尼(玉三郎)、廓文章(鴈治郎、玉三郎、愛之助)、以上、歌舞伎座
一條大蔵卿(又五郎)国立劇場
4月 切られ与三郎(仁左衛門、玉三郎)、連獅子(松緑、左近)、新・陰陽師(寿猿)以上、歌舞伎座
絵本合法(又五郎、歌昇) 明治座
5月 音菊眞秀若武者(眞秀、菊五郎)、髪結新三(権十郎)、以上、歌舞伎座
魚屋宗五郎(藤川矢之輔)前進座 国立劇場
不死鳥よ 波濤を越えて―平家物語異聞―(猿之助、壱太郎)、 御贔屓繫馬(猿之助、米吉)以上、明治座
6月 すし屋(仁左衛門)、傾城反魂香(中車、壱太郎)、以上、歌舞伎座
7月 め組の喧嘩(雀右衛門、團十郎)、菊宴月白浪(中車)、静の法楽舞(ぼたん・新之助)以上、歌舞伎座
引窓(芝翫)国立劇場
8月 裸道中(獅童、彌十郎)、新水滸伝(笑三郎、隼人)、新門辰五郎(勘太郎)以上、歌舞伎座
9月 一本刀土俵入(雀右衛門、勘九郎(代演))、連獅子(菊之助、丑之助)、金閣寺(福助、歌六、児太郎、米吉)
車引(又五郎、歌昇、種之助、鷹之資、歌六)以上、歌舞伎座
妹背山女庭訓 山の段(時蔵、松緑、梅枝、尾上右近)国立劇場
10月 天竺徳兵衛(松緑)、角力場(巳之助、獅童)、文七元結物語(孝太郎、獅童、寺島しのぶ)以上、歌舞伎座
妹背山女庭訓(梅枝)国立劇場
11月 松浦の太鼓(仁左衛門)、鎌倉三代記(梅枝)、吉原雀(歌昇)、マハーバーラタ戦記(芝のぶ)以上、歌舞伎座
12月 今昔響宴千本桜(獅童、初音ミク)、天守物語(玉三郎)、爪王(勘九郎、七之助)、俵星玄蕃(松緑)以上、歌舞伎座
●わたしの選ぶベストアクト2023
①一本刀土俵入(勘九郎※代演、雀右衛門)
②切られ与三郎(仁左衛門、玉三郎)
③亀山の仇討(仁左衛門)
すし屋(仁左衛門)
松浦の太鼓(仁左衛門)
④妹背山女庭訓 山の段(時蔵、松緑)
⑤ 静の法楽舞(ぼたん・新之助)
次点 魚屋宗五郎(藤川矢之輔)、一條大蔵卿(又五郎)、金閣寺(福助、歌六、児太郎、米吉)、
御贔屓繫馬(猿之助、米吉)、SANEMORI(宮舘涼太)、遠山桜天保日記(菊五郎、左團次)
2023年の歌舞伎を一言でいうと、「わたしにとってはつらい年」でした。
もちろん猿之助ショックは相当つらいですが、この記事を書きながらも、選ぶ演目、役者に正直困った。こんなことは初めてです。
一応、断っておくと、2023年に上演された新作歌舞伎はあらかた観ていません。わたしは典型的な守旧派歌舞伎ファンなので、FF歌舞伎、刀剣乱舞、ルパン歌舞伎は観ていませんが、観た人の意見はおおむね好評のようなので、それなりのクオリティの仕上がりなんだとは思います。
でも、こってりとした味わいの古典と新作が両立してこその歌舞伎という思いもあって、そういう意味では少々物足りない一年でした。おまけに国立劇場も閉場して、益々この影響が強まるかも…。コロナで苦しい時期に歌舞伎を続けた松竹には敬意を表しつつ、何にも考えていない官僚と政治家による国立劇場の閉場は憤りしかないですね~。こういうときに声を上げないから、学者や評論家も信用できないんだな~。
ま、そんなことはともかく、芝居に話を戻すと、古典で素晴らしい成果を上げ続けたのが大ベテランの仁左衛門一択みたいな状況はちょっとまずいですよね。今回挙げた以外にも、御園座の四谷怪談や南座の七段目もやっているわけなんで、齢80に近い名優にまあ頼りすぎ。
本当は、玉三郎を筆頭に、時蔵、雀右衛門で、毎月女形の大役を代わりばんこに上演してるくらいの状況になってほしいです。そして、2024年は玉三郎の合邦が是非見たい!
もちろん、中堅層でも、團十郎、菊之助を筆頭に、松也、中村屋兄弟など、気を吐いているとはいえ、やはり新作&古典の両方に充実度があったのは、個人的には松緑と獅童だったかなと思います。また、猿之助不在の穴を埋めた中車は立派でしたよ。
記憶に残る舞台という意味では、幸四郎の代演だった勘九郎の舞台を1位に挙げるのは反則っぽいですが、わたしの観た日の駒形茂兵衛の名セリフが素晴らし過ぎて、吉右衛門の不在を埋めてくれる可能性があるのはこの人だと確信しましたよ。地方公演もいいけど、今年はもっと歌舞伎座に出てください!
最後に、敢闘賞について触れておくと、宮舘くんの舞台は凄かった!死ぬ気でやってるくらいの気合が伝わってきて、また歌舞伎に出てほしいですね。また、芝のぶのインド歌舞伎の悪女も凄かった!今までの役のイメージとは全然違っていた事に加え、今まで溜めていた力を一気に出したという印象で、今後の活躍に期待です。團子は、突然こういう立場になって、澤瀉屋代々の運命は改めて凄いな~と思いつつ、大きく育ってほしいですね~。
以上、2023年の歌舞伎の感想でした!
●2023年MVP
①片岡仁左衛門
②尾上松緑
③中村獅童
④市川中車
●2023年敢闘賞
宮舘涼太、中村芝のぶ、市川團子
【去年の記事】
わたしが選ぶ2022年歌舞伎ベストアクト毎年恒例の「わたしが選ぶ歌舞伎ベストアクト」ですけど、振り返ってみれば、幾多の名演があった2022年の最後をさらって行ったのは、思わぬ新鋭(!)でした。では、早速わたしが独断と偏見で選ぶベストアクト。
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