
幸福な気分に包まれた團菊祭の夜の部でした。簡単に感想。
最初が菊之助長男の初お目見得。舞台終盤までなかなか初お目見得にならないんですが、そこにたどり着くまでの舞踊にそれなりの見どころがあって、特に孫の門出を祝おうという平成の菊吉揃っての踊りがよかったですね~。踊り自体というより、二人の風格で魅せるというか。他では、海老蔵・松緑が溌剌としてよかったな~。そして、いよいよ、初お目見得。わたしの観た日は御曹司ご機嫌斜めだったらしくて、センスを投げちゃったり大変だったんですが、吉右衛門が拾ったりして、ほほえましかったですね。そして、やはり、吉右衛門が嬉しそうだった!息子の初お目見得を経験してない人ですから、なおさら、孫の初お目見得を体験できるとは感無量なんでしょう。29年ぶりの團菊祭出演というのにも驚きましたが、立派な娘婿の口上含め、吉右衛門の笑顔が印象に残りました。ま、歌舞伎史に残る一場面かもしれないな。
次が、三人吉三の大川端。菊之助、海老蔵、松緑の三人。もちろん、悪くなかったし、三人とも台詞に重みが加わっているんですが、菊之助のお嬢吉三の「月も朧に白魚の~」の名セリフが、今までと違って、やや実録調で歌わないんですよね。これは岳父吉右衛門の心理主義的芝居の影響かな~と思いましたが、いつもと違うことをやってみたかったのかもしれません・・・。でも、お嬢のこの台詞を気持ちよく歌わせてくれるのは、菊五郎・菊之助親子が双璧なんで、そこは崩さない方がよいんだけどなあ~と個人的には思いました。玉三郎、染五郎、七之助、今年だと中村隼人くんと、お嬢をやった役者は様々ですが、わたしが陶酔感を感じたのは菊五郎、菊之助、十五代目羽左衛門の録音の三者のみ。久々に、通し上演をやる時が来たら、思いっきり歌ってほしいと思いました。
つづいて、松緑の「馬盥」。松緑の初演が2006年11月の新橋演舞場だから、この間10年近くですか、立派な光秀になったな~というのが第一の感想。あのときは小田春永が海老蔵だったんで、若手の舞台という印象が強かったんですが、今回の春永が團蔵だったというのも、よかったんじゃないですかね。もちろん、史実上は明智光秀の方が織田信長より年上なんですが、この舞台では年長の主君にいじめられる配下という対象がくっきりしてたと思います。
吉右衛門の光秀だとベテランの腹芸で見せるという印象ですが、松緑の方はもうちょっと青春の悔恨みたいな若さを感じて、清新でよかったですよ。わたしは残念ながら観たことがないけど、仁左衛門の光秀もこういう感じなのかしら。そういえば、羽左衛門晩年の光秀もベテランの重厚さだったな・・・。
團蔵の春永は、わたしの観たことのある春永のなかでもちょっと異色というか、過剰にクールだったり、暴君だったりしない演じ方で、それでいて怖い印象。富十郎、團十郎、歌六も傑作だったし、海老蔵もクールで悪くなかったんだけど、とにかく、今回の團蔵は誰にも似ていない不思議さがありました。あと、梅枝の桔梗も個人的には哀れでよかったですね~。
で、最後は海老蔵・菊之助の男女道成寺。これは、今月で一番開放感のある伸び伸びとした舞台でした。成田屋と音羽屋の御曹司、海老蔵と菊之助が同い年に生まれたということ、この一事をもってしても、神様は歌舞伎を見捨ててない証明になると思いますが(日本映画は神様に見捨てられてると思います!)、幼い時から共演を重ねているふたりならではの気負わない舞台。ベテラン陣との共演の緊張感、若手公演での座頭の緊張感などとは違う、長くコンビを組んできた役者ならではの流麗さで、華麗さで最後の鐘のくだりまで、するするっと観れてしまった感じ。個人的には、菊之助の恋の手習いですかね~。
というようなわけで、夜の部、満喫しました。
最初が菊之助長男の初お目見得。舞台終盤までなかなか初お目見得にならないんですが、そこにたどり着くまでの舞踊にそれなりの見どころがあって、特に孫の門出を祝おうという平成の菊吉揃っての踊りがよかったですね~。踊り自体というより、二人の風格で魅せるというか。他では、海老蔵・松緑が溌剌としてよかったな~。そして、いよいよ、初お目見得。わたしの観た日は御曹司ご機嫌斜めだったらしくて、センスを投げちゃったり大変だったんですが、吉右衛門が拾ったりして、ほほえましかったですね。そして、やはり、吉右衛門が嬉しそうだった!息子の初お目見得を経験してない人ですから、なおさら、孫の初お目見得を体験できるとは感無量なんでしょう。29年ぶりの團菊祭出演というのにも驚きましたが、立派な娘婿の口上含め、吉右衛門の笑顔が印象に残りました。ま、歌舞伎史に残る一場面かもしれないな。
次が、三人吉三の大川端。菊之助、海老蔵、松緑の三人。もちろん、悪くなかったし、三人とも台詞に重みが加わっているんですが、菊之助のお嬢吉三の「月も朧に白魚の~」の名セリフが、今までと違って、やや実録調で歌わないんですよね。これは岳父吉右衛門の心理主義的芝居の影響かな~と思いましたが、いつもと違うことをやってみたかったのかもしれません・・・。でも、お嬢のこの台詞を気持ちよく歌わせてくれるのは、菊五郎・菊之助親子が双璧なんで、そこは崩さない方がよいんだけどなあ~と個人的には思いました。玉三郎、染五郎、七之助、今年だと中村隼人くんと、お嬢をやった役者は様々ですが、わたしが陶酔感を感じたのは菊五郎、菊之助、十五代目羽左衛門の録音の三者のみ。久々に、通し上演をやる時が来たら、思いっきり歌ってほしいと思いました。
つづいて、松緑の「馬盥」。松緑の初演が2006年11月の新橋演舞場だから、この間10年近くですか、立派な光秀になったな~というのが第一の感想。あのときは小田春永が海老蔵だったんで、若手の舞台という印象が強かったんですが、今回の春永が團蔵だったというのも、よかったんじゃないですかね。もちろん、史実上は明智光秀の方が織田信長より年上なんですが、この舞台では年長の主君にいじめられる配下という対象がくっきりしてたと思います。
吉右衛門の光秀だとベテランの腹芸で見せるという印象ですが、松緑の方はもうちょっと青春の悔恨みたいな若さを感じて、清新でよかったですよ。わたしは残念ながら観たことがないけど、仁左衛門の光秀もこういう感じなのかしら。そういえば、羽左衛門晩年の光秀もベテランの重厚さだったな・・・。
團蔵の春永は、わたしの観たことのある春永のなかでもちょっと異色というか、過剰にクールだったり、暴君だったりしない演じ方で、それでいて怖い印象。富十郎、團十郎、歌六も傑作だったし、海老蔵もクールで悪くなかったんだけど、とにかく、今回の團蔵は誰にも似ていない不思議さがありました。あと、梅枝の桔梗も個人的には哀れでよかったですね~。
で、最後は海老蔵・菊之助の男女道成寺。これは、今月で一番開放感のある伸び伸びとした舞台でした。成田屋と音羽屋の御曹司、海老蔵と菊之助が同い年に生まれたということ、この一事をもってしても、神様は歌舞伎を見捨ててない証明になると思いますが(日本映画は神様に見捨てられてると思います!)、幼い時から共演を重ねているふたりならではの気負わない舞台。ベテラン陣との共演の緊張感、若手公演での座頭の緊張感などとは違う、長くコンビを組んできた役者ならではの流麗さで、華麗さで最後の鐘のくだりまで、するするっと観れてしまった感じ。個人的には、菊之助の恋の手習いですかね~。
というようなわけで、夜の部、満喫しました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます