切られお富!

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『「アフリカの女王」とわたし』 キャサリン・ヘップバーン著

2015-11-29 23:59:59 | アメリカの夜(映画日記)
ここのところいよいよ寒くなって来たんで、温かいところの話でも読もうかと思い、手に取ったんですが、よいです。あらためてケイティ(彼女の愛称)のファンになります。ということで、アフリカに思いを寄せて、ハンフリー・ボガード&ローレン・バコール夫妻に愛を込めて、是非ご一読を!おすすめ!

この本は、ハンフリー・ボガードがアカデミー主演男優賞を取った映画『アフリカの女王』の製作裏話をキャサリン・ヘップバーンが綴ったものなのですが、とにかく歯切れがよくて率直そのもの。時間がたってからの回想だということもあるんでしょうが、やはり彼女の人柄全開なんでしょう、歯に衣着せぬ感じがじつに痛快。

象射ちに夢中でやる気があるのかないのかわからない監督のジョン・ヒューストン、忙しくたち働くプロデューサーのサム・スピーゲル。おしどり夫婦姿が眩しいボギー&ベティ(ボガード、バコール夫妻の愛称)。そして、未知の体験を求めるチャレンジングな女性ケイティ本人。

わたしは大判のハードカバーで読んだのですが、まず写真が素晴らしくて、充分旅行気分に浸れます。また、俳優陣の貴重な写真や撮影風景が、映画を観た人には興味深く思えることでしょう。

で、わたしが面白かったのは、とにかく下の話が多いこと。彼女の父親と姉が泌尿器科の医師だという話は初めて知りましたが、失敗も含めて、随分あけすけに書いているところがかえって好感を持ちました。なにしろ、アカデミー賞最優秀女優賞・最多獲得女優が、ここまで書くかというくらいに下の話を書く!

また、関係者への好意も不満も思う存分書いていて、巷間いわれてきた彼女の人柄がよ~くわかる一冊になっています。

で、この本を読む人に是非お勧めしたいのは、以下の三点。

①事前に映画『アフリカの女王』を観ること
②事後でよいので、クリント・イーストウッドがジョン・ヒューストン監督を演じ、『アフリカの女王』の撮影裏話を映画化した『ホワイトハンター・ブラックハート』を観ること。
③できれば、ジョン・ヒューストン監督の自伝『王になろうとした男』の『アフリカの女王』に関するくだりを読むこと。

特に、③を実践すると、本書でケイティが不満を漏らした脚本の遅れの真の原因がよ~くわかります。そして、若干ジョン・ヒューストンに同情します。

で、本書の白眉と言えるのは、ジョン・ヒューストン監督がケイティに話した演技のアドバイスに関するくだり。ジョン・ヒューストンって問題大ありの人物なのに、なぜか名優たちから全幅の信頼を得ている理由がこのあたりでなんとなく納得できます。できれば、ジョン・ヒューストン自身の弁明も③で参考にしていただくとよいんですが・・・。

ということで、寒い季節にあえてアフリカ!何日か楽しい日々を過ごすことができました。しかし、アフリカ旅行には行ってみたいような、行きたくないような・・・。

「アフリカの女王」とわたし (文春文庫)
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文藝春秋


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ワーナー・ホーム・ビデオ


王になろうとした男
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清流出版
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