VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

La Rochelle-11 『マイカーの無い街!』を行く

2008年09月24日 | France2008
さて、今日は12時過ぎにはTGVに乗ってパリ、CDG空港へ向かわなければならないので
市役所での取材を終え(1時間半位、話込んだ・・・)、街中へ『車の無い日』カーフリーデーの様子を見学に。

小雨が降り出し、ベニスのような風景に。 水曜日の午前中だという事もあって、レストラン街のメインストリートには人も疎ら。
 
おっ、パリにも居た、このタイプの自転車オジサン(左)。バス・タクシー・電気自動車はOK。
                     右は昨日の夕方、同じストリートで撮影した様子。
 
市の中心部およそ1km四方を、AM7:00~PM7:00の間、車を入れないZoneとする。
その出入口道路となるポイントでは、警察やボランティア(主に市の職員や大手会社員)が
許可する車が来た時にゲートを開け閉めする。市の外周部にある駐車場と中心部を結ぶシャトルバスは電気自動車(右)。
 Park+Rideシステム
市の業務用自動車は殆ど電気自動車というEV先進都市(左)。ガソリン車は迂回路に誘導される。
  
12箇所のゲートが設置されている他、その外周は緩衝エリアで運転手への事前ガイドをしている。
  
私達は市役所のセバスチャン氏が、市のレンタル電気自動車『LICELEC』に乗せてくれるというので Let's Go!
市内7ヶ所に55台の電気自動車が24時間自動レンタルシステムで稼動している。 登録者は400人。
 セバスチャンのカード
外から窓のシールにカードをかざすと、ドアのロックが開く。 
  
運転席の横で暗証番号を入れる、とエンジンON! ECOドライブ・モードのセバスチャン。 小雨の中を自転車で走る親子。
  
「実は電気自動車での問題点なんだ・・」と教えてくれたのは、電気自動車はガソリン車のようにエンジン音がしない為
後ろに車が来ている事に、歩行者や自転車が直前まで気付かないという事。 でも決してクラクションは鳴らさない。
車の無い、静けさを取り戻すのが、カーフリーデーや街づくりの趣旨だから。 丁度、下校時になって歩行者がたくさん。
 
朝、ジョギングした公園道だ! 車で閉鎖エリアの内外を回ってもらった。 
 
ゲートのボランティアも職場仲間なのか、ご陽気に楽しみながら過ごしている感じ。
 
La Rochelleのカーフリーデーは、1997年「La journee sans ma Voiture(マイカーの無い日)」以来11年目になり
イベントの要素(マルシェ開催、BBQランチ、自転車イベント、マラソン、ローラースケートイベント・・・)があるものの
日本の歩行者天国とは違って、環境型まちづくりのプロセスとして市民が受入れ、車の無い日が板に付いているように見えた。

結果、市民の車に乗る機会は日常でも減っているという。
ただ、La Rochelle市は人口が増加しているので、車の台数自体はまだ減るフェーズに無いようだ。

その人口増加は、60年台に82,000人→80年代には72,000人にまで減ったのち
20年前に大学を誘致(フランスで最後に新設された)、大手メーカーの誘致などとともに
環境政策やモビリティ政策が、この街の魅力となってパリからリタイア層が移住する人気の街になり
現在人口80,000人まで回復し増加中という成果である。

私のパリの知人がたまたまセカンドハウスをLa Rochelle市内に持っていた事を
「なんで、こんな小さな街に偶然?」と驚いたが、その理由が良く分かった滞在であった。

海を眺めながら、古い街並みでゆっくり過ごす。文化イベントや豊富な海の幸などお食事も美味しい。
‘豊かな住生活’という日本住宅政策が抱える命題に、ひとつの回答事例を実感できた旅だった。


当日、日本に帰る私は、お楽しみイベントは見学せずに、アパートから駅まで電気自動車で送ってもらい
パリ・モンパルナス行きのTGVに乗った。(左、仏は改札機ゲートが無いので改札を忘れずに!)
  
地下鉄から乗り換え、何とここRER鉄道でも、スト! 電車は運行されているが運賃を取らず、親切に案内してくれた。空港まで無料乗車!
    モノレールでターミナル1へ
いつも車で送ってもらうので、電車でCGD空港へ行ったのは初めて。
空港にはNicoleのご主人、Gillesも来てくれて、いつものターミナル1にあるレストランで食事。(オススメでは無いが、ここしか無い!)
  
最後もデザートしっかり! こんなに食べて来たのに、実は帰国後、気が付いたら体重が2㎏減ってた。取材頑張りすぎたかな?

ANAカウンターで「お荷物は一つですか?」と日本語で話しかけられ面食らった・・・帰りの機内食はシャンパンで、Au revoir
 

(やっとフランスBlogが終わった・・・ハァ、疲れた)

La Rochelle-10 新レンタル自転車と市のモビリティ政策

2008年09月24日 | France2008
“車の無い日”カーフリーデーの市街地は、車道を歩いてドンドン進み(時々、バスや電気自動車も走るのだが)
市役所へアポイント予定時間に間に合った。  昨日まで無かったフラワーアレンジメントが市庁舎中庭に出現。
  
La Rochelleのモビリティ政策を伺う取材に応じて下さったのは、
市の責任者であるDenis LEROY氏(左)と、Transport & Mobility(交通政策)担当のSebastien DAVY氏。
英会話をベースに時折、仏語で熱く語られるとSebastienが通訳
LEROY氏のお役職は、Conseiller Municipal Delegue : Conseiller General。知事の片腕らしい。
に加えて Vice-President de La Communaute D'Agglomeration というLa Rochelleを含む広域圏の副代表でもある。

1997年『Une journée sans voiture』(車の無い日)を始めたキッカケが、猛暑で死人が出た夏に温暖化対策として
車に乗らない試みがメディアで取り沙汰され、当時のMichel CREPEAU市長が市民に「賛成・反対」の投票を投げかけ実施に至ったと言う。
(後にフランス初の環境大臣になったCREPEAU市長のリーダーシップが、La Rochelleを環境交通先進年に導いたのだ)

マイカーの市街地での終日規制には当然、市民から不安の声も大きかったが、
興味深かったのは、1ヶ月前からの広報、コールセンターを3週間前から設置し市民の不安や質問に対応した事。
その結果[80%が不安]と答えていたにも関わらず、実施後は[不安が‘誇り’に]変わっていたと言う。

車を閉め出す事によって得た市民の実感による結果・・・騒音の無い街がどれほどストレスが無いものか、
そこから聞こえてくる今までと違うサウンドを感じ、Quality of Lifeを実感するのだと。
数値的にも空気の違いは、市中心部で大きな効果として上がったようだ。

マイカーの代替手段として、バス・タクシー(市内無料)・レンタル電気自動車&自転車・電気ボートなどを年々充実させて行った。

ただ印象に残った言葉は[convince]納得させる、必要なのはtechnologyではなく[pedagogy]教育・模範的なもの。
「モビリティ政策は、人のbehaviorを変える事なんだ」と言うお話だった。

その点は、むやみに道路を一方通行にして自転車道を拡充したりするのではなく
道路を共有する“シェア・スペース”の手法を強調され、「何かを犠牲にするのでは続かない」という姿勢が発展の鍵であるという話に通じていた。

政策を実行する為の企業税や住宅税、グループハウジングなどの住宅政策についてもお話を伺い
ECO・ディストリクトとして邁進しているLa Rochelle地域圏のビジョンを
最後に「未来は人間中心のプロジェクトであるように」というCREPEAU本元市長の言葉で表現して下さった。

お話の後、新世代のYellow Bikeが中庭に展示されているのを見学した。
ParisのVelibとの違いは、電源が太陽光発電になっている所。「Flex Bike」という仏メーカー。

操作パネルも小さくて簡単そう(ICカード対応)。55ステーション、350台が整備される計画。5台/100mの間隔。

そしてここでもギアはSHIMANO! 「yelo」は全ての公共交通共通のカードとして発行される。
 

市役所の前の広場では、電動アシスト自転車の展示販売をやっていた。
 
こちらは道端で見かけた、素敵な皮の荷物用Bag。こういうのがフランスっぽい!


自転車と電気自動車を中心とした交通政策では、世界でも先進都市のLa Rochelle。
同じ話を何度も取材されているであろう市の方々。その上、かなり偉いお役職なのに皆さん非常に親切でフランクに語って下さった。
私は習得したことを、少しでも形にして皆さんに恩返ししなければ・・・という気持ちにさせられた。

La Rochelle-9 カーフリーデー、マルシェへGo

2008年09月24日 | France2008
EUの環境対策として世界2000都市以上で実施されている「European Mobility Week」の前身は、
このLa Rochelleが1997年に実施した「La journee sans ma Voiture」(マイカーの無い日)。

今は【en Ville sans ma voiture!】(マイカーの無い街で!)というキャッチフレーズで、学校が全・半休の水曜日の今日
バス・タクシーなど公共交通と電気自動車以外の車を、終日中心市街地に入れないイベントが実施された。
公共交通はタクシーもボートも自転車も無料、封鎖される市中心エリアの外周にある駐車場も無料。
外周エリアで車を駐車し公共交通に乗り換える。近郊の観光地への電車まで割引価格と公共交通サービスは充実。

7:00~19:00の間、車を使えないので自転車通勤・通学が多い。パーキングには今日はお休みの車が並ぶ。
街を走っている車(中)は電気自動車、市の業務用車はほとんど電気自動車というEV先進都市のLa Rochelle。
  
さて、カーフリーデーの目的は‘車の無い街で、街の良さを再発見し、楽しむこと’。
昨日と違う空気感の街を歩きながら、まずは早朝から開催されているMarche(市場)へ行ってみた。
新鮮な野菜やチーズ、パンが芸術的に並べられた、フランスの青空市場。
   
 
屋外だけでなく、古い建物を利用したアーケード内にも店が並ぶ。
    
特産のオイスターに、沢山の種類の塩
 
新鮮な魚も逗子に負けない種類の多さ! 切り身でも売ってる。
 
お肉やハムもデコレーション。 お惣菜ではテリーヌが美味しそう!
 

何事にもアートを感じさせる国、フランス。マルシェで豊かな農業大国を実感していると
市役所でのアポイントの時間が迫ってきた! 急いで市役所へ向かう・・・歩いて回れる距離に主要施設がある街の良さである。