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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

タイで起きた洞窟遭難事故の救出劇に息を吞むドキュメンタリー『THE RESCUE 奇跡を起こした者たち』

2022年03月03日 23時07分48秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:14/37
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ドキュメンタリー

【原作・過去作、元になった出来事】
・事故
 タムルアン洞窟の遭難事故(2018)

【あらすじ】
2018年6月23日、
サッカーチーム「ムーパ(イノシシ)」に所属する少年12人が、
サッカーの練習後、
コーチ同行のもとタイ北部チェンライ県の
タムルアン洞窟探検に入った。
しかし、その日は豪雨により洞窟が浸水し、
出入り口が塞がれてしまった。
少年たちは帰宅できなくなり、
不審に思った家族から行方不明と報告され、
捜索作業が始まった。

少年たちは洞窟の入り口から
約5km入った場所に取り残されていることが確認されたが、
洞窟内は増水し、
救助は不可能と思われた。
タイ海軍特殊部隊や米軍特殊部隊に加えて、
各国から応援が入り数千人が集まったが、
洞窟ダイビングは死のリスクが高く、
特殊技能が必要であるため、
少年たちの救出活動は進まない。

そこで世界各地から集められたのは、
民間の洞窟ダイバーたちだった。
彼らを中心にした決死の救出作戦が始まる―。

【感想】
これ、2020年にも『THE CAVE サッカー少年救出までの18日間』
という映画が公開されているけど、内容は同じ。
ドキュメンタリーな分、
本作の方がリアリティはある。

◆時間との勝負による緊迫感

洞窟内に閉じ込められた少年たちとコーチ。
当時は雨季に入っており、
大雨で洞窟内に大量の水が入り込んだ結果、
水位が上昇して洞窟内は冠水。
誰もが生存は絶望的だと思ったんだよね。

タイ内でも特殊部隊やボランティアなど
5000人が救助活動にあたるも、
洞窟内潜水には特別なスキルが必要。
そのため、海外から洞窟ダイバーを招集。
そんなダイバーいるんだって思ったけど。

幸いにも、事故発生から10日で全員の生存を確認。
ところが、洞窟内は酸素が15%(18%以下だと生命活動に支障が出るらしい)で、
またいつ大雨が降ってくるかわからない。
一刻も早く全員を助け出す必要があり、
現場には緊迫した空気が流れていた。

◆洞窟ダイバーという特殊ジョブ

あとで調べてわかったんだけど、
洞窟内での潜水ってものすごく危険らしい。
まず緊急時に浮上できずに、
出入口まで戻らないといけない。
このとき、十分な酸素が残されてないとアウト。
しかも、中が迷路のようになっているから、
道に迷ったら命の危険さえある。
でも、真っ暗な水中を進んで行くのは、
まるで宇宙を遊泳しているかのようでとても神秘的だそうだ。

あと、自分のことで恐縮なんだけど、
この洞窟ダイバーたちがみんな自分と似ている部分があって、
ものすごく親近感が湧いた(笑)
何人かにインタビューしてたんだけど、
全員揃ってチームプレーや団体競技が苦手で、
対立することが好きじゃないっていう。
僕も小さい頃からの経験でまったく同じことを感じたから、
潜水ダイバー向いてるかもと思ったり(笑)

◆祈るタイの人たち

これは宗教的な意味合いが強いんだけど、
とにかく祈るのよ、タイの人。
ナンノンの女神を祀って、
僧侶も呼んだりして。
宗教を否定するわけじゃないけど、
これが救助活動に何か役に立っているかというと、
多分そんなことはない。
祈って助かるなら誰も苦労はしないって言いたいところだけど、
現地の人はそれを信じているし、
精神的に安定するならいいとは思うけど。
まさに、「神様、どうか子供たちをお助けください」
っていう神頼み。

◆子供たちを眠らせて運ぶという賭け

出入口にたどり着くには
2時間以上の潜水が必要。
子供たちがパニックになって暴れたら、
さすがに潜水ダイバーといえども対処しきれない。
そこで考え出されたのが、
麻酔で眠らせて運ぶという手法。
ウェットスーツとマスク、
酸素ボンベをつけた後に、
唾液を抑える薬(唾液で窒息することもあるとか)や
心拍数を安定させるための抗不安薬、
そして麻酔を投与。
子供たちが眠ったら移動開始。
途中、呼吸が乱れたり、
止まったりする子もいたけれど、
結果的に全員無事に生還できた。

ただ、救出ダイバーがひとり、
物資を届けた帰りに酸素不足となり、
亡くなってしまったのが悔やまれる。
まだ37歳の若さだったのに。

◆そんなわけで

前代未聞の救出劇ということで、
不謹慎かもしれないけど、
とても興味深く観れる映画だった。
1人の殉職者を出してしまったものの、
子供たちが全員無事で何より。