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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

身も心も焦がすような純粋な愛ゆえに不倫すら厭わなかった『イングリッシュ・ペイシェント』

2022年03月26日 22時32分16秒 | 映画

【個人的な評価】
「午前十時の映画祭11」で面白かった順位:10/27
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【ジャンル】
ラブストーリー
不倫
戦争

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 マイケル・オンダーチェ『イギリス人の愚者』(1992)

【あらすじ】
1944年、第二次大戦末期のイタリア。
飛行機事故で全身に火傷を負い、
生死をさまよう男が野戦病院に運び込まれた。

看護婦のハナ(ジュリエット・ビノシュ)は部隊を離れ、
廃墟の修道院で男の看護を続けていたが、
記憶を失くしていた男は、
断片的に甦る過去を話し始める。
アルマシー(レイフ・ファインズ)という名のその男は、
サハラ砂漠で地図を作っていたが、
そこでキャサリン(クリスティン・スコット・トーマス)という
人妻と出会い―。

【感想】
「午前十時の映画祭11」にて。
1996年のアメリカ映画。
これでラスト。
有終の美を飾るにふさわしい面白さだった。

レイフ・ファインズやジュリエット・ビノシュなど、
今やベテランとして活躍する役者さんたちも、
公開当時は30代前半〜半ばぐらい。
レイフ・ファインズが、
ケビン・コスナーを思わせるかっこよさで。
ジュリエット・ビノシュが、
つるんとしたゆで卵みたいな美しさで。
クリスティン・スコット・トーマスが、
なんだかキャメロン・ディアスにちょっと似てて。

昔の映画を観ると、
今ではシニア層になりつつある役者さんたちが、
若かりし頃にロマンチック全開の
ラブストーリーなんかをやってる姿を見れるのはエモい。

◆最近目にしない愛欲にまみれた男女の絡み

物語はアルマシーが過去を回想する形で進んでいく。
彼は考古学の調査をしているんだけど、
同僚のジェフリー(コリン・ファース)の妻キャサリンに心奪われちゃう。
最初はアルマシーを拒絶していたキャサリンだけど、
徐々に距離が縮まっていき、ついに一線を超える、、、!

ここがもうすごかった。
アルマシーの欲望が強すぎて、
キャサリンの服破っちゃうから。
で、事が済んだ後に縫うっていう、
ちょっと笑っちゃう展開。
いや、縫うなら普通に脱がせなよって(笑)

その後も2人は事あるごとに逢瀬を重ねるんだけど、
アルマシーのセリフがキザを通り越して
若干気持ち悪いっていう(笑)
「君の味が口の中に残ってる」って。
食べたの?
ねえ食べたの?
いや、これぐらいツッコミどころのあるセリフの方が印象に残るし、
そんな意味わからないことを口にしてしまうほど、
心から相手を欲してるんだなって思うから、
僕は好きだけど。

軍人がクリスマスソングを歌う聖なるときでさえも、
構わず物陰で体を重ねるし、
その直後にキャサリンの夫と対面したりして、
もういつバレるのかっていうスリルもあった(笑)

◆言動が一致しない男

両者共に心から惹かれて合ってはいるんだけど、
アルマシーは最初に寝た後に
「僕は所有したくないしされたくない」という、
割り切った関係を望むようなことを言うんだよ。
なのに、途中から所有欲が出てきちゃって、
「これ以上関係は続けられないから別れましょう」
と言うキャサリンに、
「イヤだ。君は僕のものだ」
って駄々をこねるから子供かって(笑)
人の心は移り変わるとはいえ、
言ってることとやってることが矛盾してて、
ここも笑っちゃうところ。

◆歳を取らないウィレム・デフォー

今年に入って、
『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2021)と
『ナイトメア・アリー』(2021)の2作品で見たウィレム・デフォー。
今から25年以上も前の本作にも出てるんだけど、
見た目がまったく変わってないのよ。
時を止めてるのかってぐらい変化がほぼない。
しかも演技力も相変わらずすごいから、
この人の安定したハイクオリティなアウトプットには
本当に驚かされる。

◆そんなわけで

不倫してまでお互いに相手を求めまくるほどの
気持ちの強さをビンビン感じるラブストーリー。
アルマシーのエピソードが強すぎて、
ハナのエピソードがやや弱いのが気になるけど、
クリスティン・スコット・トーマスとジュリエット・ビノシュの
体当たり演技はぜひ観て欲しい。

 

いつか来るそのときのために。『妻、小学生になる。』

2022年03月26日 00時27分35秒 | ドラマ
【個人的な評価】
2022年冬ドラマで面白かった順位:3/8
 ストーリー:★★★★☆
キャラクター:★★★☆☆
    映像:★★★☆☆
    音楽:★★★☆☆

【ジャンル】
ヒューマンドラマ
ホームドラマ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・漫画
 村田椰融『妻、小学生になる。』(2018-)

【あらすじ】
新島圭介(堤真一)は、
10年前に最愛の妻・貴恵(石田ゆり子)を亡くしてから、
妻のいない残りの人生を“余生”だと思って生きている元愛妻家。
まったく生気が感じられないため、
周囲からは陰鬱な男に見られている。

たった1人の家族である
娘の麻衣(蒔田彩珠)の幸せを誰よりも願っているものの、
生活費を稼ぐ以外何もしてやれていないことが心苦しく、
コミュニケーションすらうまく取れていない。
2人の時間は、
10年間止まってしまっていたのだ。

そんなある日、
ランドセルを背負った見知らぬ女の子(毎田暖乃)が
この親子を訪れる。

「私は10年前に他界したあなたの妻よ」

そう言う彼女の姿は小学生。
しかし、話を聞くうちに、
どうやら本当に妻の生まれ変わりのようだとわかる。

元愛妻家の男と、
妻(外見は小学生)、
そして大人になりきれない娘の、
ちょっと変わった3人による家族再生の物語が始まる!


【感想】
失くしたもの(死者)と向き合うことで、
未来を見つめていく感動ドラマだった。
正直、要素としてはそれほど珍しい話でもない。
『地獄先生ぬ~べ~』や『学校の怪談2』(1996)でも
同じようなエピソードはあったので。
ただ、できることならぜひ実現したい設定だなと
改めて思える話だったかな。

◆失ったものに目を向けて家族再生へと繋げる展開

この物語の一番の肝は、
第9話のラストで圭介が言った
「これからは、失くしたものじゃなく、
 ママがくれたものを見つめて生きていかないか」
というセリフに集約されるんじゃないかな。
前に誰かが言ってたけど、
「人生は集めたものじゃなくて、与えたもので決まる」と。
貴恵が与えてくれたものを胸に、
前を向いて歩いていくってのが、
このドラマの一番のメッセージだよね。

大切な人を失った悲しみは、
基本晴れることはないと思ってる。
自分だって、
6年前に亡くなった祖母のことを思い出しては、
いまだに涙が出るときもあるし。
そのたびに、「もっとああしておけば」
と後悔の念に苛まれる。
どんなに幸せな人生を送ったとしても、
残された人は多くの場合、
そうやって後悔することはあるんじゃないかな。

このドラマの新島家もまさにそうで、
10年前に事故で貴恵が亡くなって以来、
圭介も麻衣も生きる気力を失っていた。
貴恵は万理華の体を借りて蘇るものの、
いつかは返さないといけないから、
圭介たちはある意味2度、
大切な人を失うようなものなんだよね。

でも、2回目の貴恵との生活を通じて気づく。
いつまでも貴恵にばかり頼ってはいられないと。
死者を想う気持ちは大切だけど、
ただ想うだけでは過去から抜け出せないのといっしょ。
生きている人は未来に向かって進む必要があるのに、
その歩みを止めてしまっていることになるから。

果たしてそれが、
死者が残された人たちに願うことだろうか。
圭介も麻衣も、
前を向いて歩くことができるようになったのは、
貴恵と奇跡のような時間を過ごしたおかげ。
ただ、彼らが現実の世界の住人と違うのは、
死んだ人の言葉を直に聞けたこと。
自分が何をすべきか、
道標になってくれる存在がいたのは大きい。
自分も死んだばーちゃんで再現したい(笑)

あと、貴恵が成仏するときは、
あらかじめお別れを言ってくれるのはいいよね。
普通は死って突然やってくるから。
だからこそ、まわりの人は大切にしなくちゃいけないんだけど。
いつか来るそのときのために。

◆天才子役現れる

貴恵の魂が乗り移った万理華を演じた
毎田暖乃の演技はすごかった。
3ヶ月間、自分の母親のような年齢の役を演じ続けたのだから。
ドラマや映画でたまにすごい子役いるなって思うときはあるけど、
どれもスポットが多い。
今回は1クール演じ続けたからね、
なんというかもう本当にすごいなって。

◆そんなわけで

実は泣けはしなかったんだよね。。。
妻を亡くすという実感が湧かなくて
とはいえ、亡くした人との関わりを通じて、
未来を向けるようになるいい話だった。
もしこれが妻じゃなくて祖母だったら、
自分の経験もあって号泣してたかもしれない。