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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

車が何台あっても足りないぐらい次々廃車になっていくマイケル・ベイ節炸裂の『アンビュランス』

2022年03月25日 18時11分16秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:26/48
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★★★
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
アクション
カーチェイス

【原作・過去作、元になった出来事】
・映画
 『アンビュランス』(2005)

【あらすじ】
アメリカ、ロサンゼルス。
ウィル(ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世)は、
妻の手術のために23万1,000ドルが必要となる。

その費用を借りるため、
ウィルは養子縁組の兄弟であり、
犯罪者のダニー(ジェイク・ギレンホール)に連絡を取る。
そこでダニーは3,200万ドルの銀行強盗に参加することを依頼。
犯罪に手を貸すことに躊躇するウィルだったが、
背に腹は代えられず、
渋々承諾。

しかし、強盗に参加するも失敗に終わり、
あろうことか彼らは逃走用に救急車を奪い、
人質として救急救命士と瀕死の警察官を乗せて逃走することに…。

【感想】
正直、ツッコミどころはありまくりだったんだけど、
さすがハリウッドの"破壊王"の異名を持つマイケル・ベイ監督。
見せ方がうまかった。
圧倒的な破壊映像で乗り切ってるのが相変わらずすごい(笑)
2005年の『25ミニッツ』という
デンマーク映画のリメイクらしいんだけど、
そのオリジナル版の作品は見つけられず。

◆王道の中にあるちょっと変わった設定

この映画、設定がなかなか面白い。
銀行強盗からの逃走ってのはよくある話だけど、
逃走車が救急車で、
そこには救急救命士と
ウィルが撃って瀕死の警察官が乗ってるっていう。
さっさと近くの病院に
ポーンと降ろしちゃえばよかったのではと思いつつ、
何時間も逃走が続く状態。
捕まるわけにはいかないので、
病院にも行けず、
救急車内でやれる範囲内での治療を行う
なかなかの無理ゲー映画。

しかも、逃げてるからスピードも速くて、
車内メッチャ揺れてて。
そんな状態の中で、
AEDによる心肺蘇生や、
ウィルからの輸血など、
その場しのぎの治療しかしてないのに、
最後の方、
警察官がちょっと元気になってて笑っちゃった(笑)
普通だったら死んでるような。。。

◆ゴミのように廃車になっていく車たち

マイケル・ベイ監督と言えば、
とにかくスピード感溢れる展開や大興奮のド派手アクションがウリ。
『ザ・ロック』(1996)や『アルマゲドン』(1998)、
『パールハーバー』(2001)といった単品作品から、
『バッドボーイズ』シリーズや
『ミュータント・タートルズ』シリーズ、
『トランスフォーマー』シリーズなども手掛けている。
個人的には、どんな監督でも当たり外れはあるから、
特定の監督のファンってことはないんだけど、
マイケル・ベイ監督のアクションだけは本当に大好きで。
この映画でもそれは如何なく発揮されていた。

常識離れしたハンドルさばきで
逃げ惑う救急車に翻弄され、
激突したり横転したりで
次々とスクラップになっていくパトカーたち。
「普通に追いかけるだけでそんなんなる?!」
って言いたくなるけど、
面白いほどにぶっ壊れていくシーンはスカッとする。
さらに、今回はドローンでの空撮も多用されていて、
特に高いところからの急転直下のカメラワークは迫力あった!
これはもう邦画では絶対に観られない、
ハリウッドならではのアクションだね。

◆どうやったらかっこよく映るかがわかってる撮り方

本作の主人公はウィルとダニーの2人で、
救命救急士のキャム(エイザ・ゴンザレス)は
準主役みたいな立ち位置。
なのに、ラストで胸を張って歩くキャムの姿、
完全に主役だったね。
スローモーションにして
「これまでのトラブル、全部あたしが片を付けました」
と言わんばかりのドヤ感。
「あれ、この人が主役だったっけ?」
って思わせる見せ方がうまかった(笑)

◆クライマックスが長すぎる

ひとつ難点を上げるとするならば、
クライマックスの長さ。
開始後30分経ったところから逃走劇が始まるんだけど、
それが残り90分近くも続くのよ。
さすがに大迫力のカーチェイスも、
そんなに続くとだれてくる。
だから、途中ちょっと飽きちゃった(笑)
何でもかんでも長くやればいいってもんじゃないな
ってのは強く感じたところ。

◆そんなわけで

ツッコミどころはあるものの、
それをカバーするぐらいのド派手な映像は圧巻。
これはやっぱり映画館で観てこそだよなって思う。
ストーリー性やキャラクター背景はあっさり目だけど、
迫力を求めるなら観てみてもいいかも。


ギレルモ監督にしては珍しい作風の現実的なサイコスリラー『ナイトメア・アリー』

2022年03月25日 12時46分38秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:25/47
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
サイコスリラー

【原作・過去作、元になった出来事】
・小説
 ウィリアム・リンゼイ・グレシャム『ナイトメア・アリー 悪夢小路』(1946)

・映画
 『悪魔の往く町』(1947)

【あらすじ】
ショービジネスでの成功を夢見る野心溢れる
青年スタン(ブラッドリー・クーパー)がたどり着いたのは、
人間か獣か正体不明な生き物を出し物にする怪しげなカーニバルの一座。

そこで読唇術の技を身につけたスタンは、
人を惹きつける才能と天性のカリスマ性を武器に
トップの興行師(ショーマン)となるが、
その先には想像もつかない闇が待ち受けていた。

【感想】
ギレルモ・デル・トロ監督最新作の
サイコスリラー映画。
予告だけだとイマイチどんな話かわからなかったけど、
人生のアクセルを踏み込みすぎた
スタンの栄光と末路を描いた内容。

ちなみに、原作小説は未読。
また、1947年版の映画も
配信およびDVDレンタルがなかったので未鑑賞。

◆ファンタジー要素が一切ない意外性

ギレルモ監督が『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017)で
アカデミー作品賞、監督賞を受賞したのは記憶に新しい。
それに代表されるように、
彼の作品ってファンタジーや特撮っぽい作品が多いんだよ。
『ヘルボーイ』シリーズや『ホビット』シリーズ、
『パシフィック・リム』シリーズなど。
さらに、日本の特撮やアニメ、
マンガにも詳しいようで。

そんな彼が手掛ける映画なので、
てっきりダークファンタジーかなと思っていたんだけど、
これがまた全然違ってね。
カーニバルを舞台に、
ショービズで成功しようと夢見るスタンの
栄枯盛衰を描いたサイコスリラー。
半魚人や巨大ロボットといった空想的なものは一切なく、
現実的な路線。
これはけっこう意外でした。

◆人生のアクセルの踏みどころの難しさ

この映画では、
暗い過去を抱えながらも、
パフォーマーとしての成功を夢見る
スタンの生き様が面白いポイント。
公式サイトのあらすじでは"青年"ってなってるけど、
演じたブラッドリー・クーパーは47歳だから、
青年って表現は適格じゃないと思うけど(笑)
透視術?を学び、持ち前の"華"を武器に、
トップにまで登りつめる彼だけど、
その先をどうしていくかっていうのが非常に興味深かった。

もちろん、あそこまでの地位になったら、
さらにその上を目指したくなるのはわかる。
わかるけど、彼はそこで手を出してはいけない領域に入っちゃった。
そこでキーパーソンとなったのが、
リリス博士(ケイト・ブランシェット)。
彼女は心理学者だけど、
人の心に漬け込み、
精神を揺さぶるという点においては、
スタンと同様の能力を有する存在と言えるだろうね。

その出会いから、
思いも寄らない方向へと物語が進んで行く。
途中、引き返せるチャンスはいくつかあったのに、
スタンは自身の過去におけるトラウマもあってか、
どんどんアクセル踏んじゃう。
「あそこで冷静になっていれば」って思うんだけど、
人生においてどこでアクセルを踏むべきか
っていうのは難しいなと思った。

◆圧倒的な存在感のケイト・ブランシェット

後半から登場するリリス博士。
彼女を演じたケイト・ブランシェットがさ、
これがもう本作のダークな世界観にバチハマりしてるんだよ!
"妖美"っていう言葉、
彼女のためにあるんじゃないかってぐらい、
ミステリアスでエロくて美しい。
後半の主人公は彼女なんじゃないかって思うほどの存在感。
生まれ変わったら、
ケイト・ブランシェットになりたい。

◆そんなわけで

これまでのギレルモ監督の作品とは打って変わって、
現実的な路線っていう意外性ある映画。
スタンの栄光と衰退の移り変わりを観るのも楽しいけど、
個人的にはケイト・ブランシェットの美しさだけでも
観る価値がある作品だと思った。