憂生’s/白蛇

あれやこれやと・・・

依存・・・終  憂生中事実

2022-09-10 14:01:54 | 依存・・・  憂生中事実

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 憂生が決断したことは、正直を言うと、

いちかばちかの賭けだったとおもう。

そして、なぜか、それが、解決の糸口になると、

しんじていた。

それは、今までの憂生を自分が信じていたといっていいかもしれない。

決めると、覚悟した。

どっちが先だろう。

覚悟してから決めた。

か。

おそらく、誰も理解しないだろうし、

孤立無援になるだろうし、

多くの人間からもののしられるだろう。

けれど、なぜか、失敗するという思いはなかった。

失敗するかもしれない賭けをするわけにはいかない。

人一人の命がかかっているのだから。

 

憂生が彼に何を言ったか、細かいところは

今はもう覚えていない。

ただ、社会復帰しろ。

と、言ったことと

最後に、お前は社会に戻るように努力しろ。

憂生は、物書きとして、ずっと、ものを書き続ける。

と、いった。

それから、彼の不調がはじまった。

おそらく、ネット世界と現実というふたつの世界認識は彼になかった。

とまどいと、混乱の中にいたのだろう。

そして、

おそらくだと思うが

彼は自分でかけた呪縛にからまった。

 

ネットがなければ、死ぬ。

それは、自分の世界がなくなるのだから、

地球がなくなれば自分も死ぬというのに

同義だったろう。

 

不調のさなか、

サークル会員にアンケートをとっていた。

死後の世界はあるか?

幽霊はいるか?

 

彼はあるいは、自分が

死んでいるとでも、かんがえたのかもしれない。

 

そして、ある日、

家族?かだれかが、彼のホームページの記事に

緊急入院になった。

と、彼の様子をしらせ

しばらく、サークル活動を休むとかかれていた。

 

そして、すぐ、憂生のもとに女医がやってきた。

 

ー貴方は人の心に土足でふみこんでくる

もう、二度とかかわりたくないー

 

と、つげると、もう二度とあらわれなかった。

 


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憂生の驕りだといわれれば、それまでだと思う。

彼は帰ってこず、

サークルの部員もぽつぽつとやめはじめていた。

 

そこにやってきたのが、

透視能力者だった。

ー憂生、言うまいかと思ったけど、告げておくー

と、前置きして、

ー彼は首をつったんだ。

さいわい、家族の発見が早くて

一命とりとめたんだけどー

憂生は、なにも答えず、話をきいていた。

ー病院のベッドで、泣き出して

死ぬのは怖い・・怖かった・・と

わんわん、泣いたそうだー

不遜と思ってくれていい。

良かったとおもった。

それは、生きていたいという自我をとりもどし

本当の自分をとりもどすきっかけになる。

あとは、

奥さんが彼を支え、

青年の言うとおり、

抱きしめていく。

そうすれば、必ず治る。

そして、憂生は完璧に孤立無援になるなとおもった。

女医のいうように、

人の心に土足で入り込み

しなせかけた。

どうなじられ、どうののしられてもしかたがないこと。

不遜と驕りのかたまりが

人の命を天秤にかけたのが、事実だ。

すると、透視能力者がいった。

ー憂生、おまえは本当に馬鹿だ。

自分のことをこれっぽっちもかばおうとせずー

どういったか、はっきりおもいだせないが

ようは、透視能力者は憂生の思いをわかっていた。

まあ、

多少、救われた。

 

けれど、自分こそが自分を責めていただろう。

憂生の相方にAKIRAってのがいる。

もう長い間、連絡をとってないから

別の人間の・・漫画家か?小説家か?の相方やってるか、

プロにでもなってるか

さっぱりわからないけど。

そのAKIRAに連絡をいれた。

とたんに叱られた。

ー憂生まで死のうなんて、考えるなよ。

そいつは、死にたいから死のうとしたんだ。

憂生のせいじゃないー

そうかもしれない。

誰かのせいにして・・・

憂生のせいにしておけば、

悔しい思いもなにもかも

憂生のせいにしておけば、

あっさり、逃げようとした弱さをなじりたくなる思いや悲しみを

本人にぶつけずにすむだろう。

そういうふうに、かんがえておけばいいかもしれない。

 

そして、1年くらいたったろうか・・。

突然、彼が足跡にコメントをかいてきた。

ー俺、社会復帰したぜー

まともに、口をききたくないふうだった

最後の会話を思うと、ずいぶんかわった。

だけど、

それも、憂生にはどうでもいい。

憂生は憂生で自分の決め事をまもるだけしか、

彼に誠意をみせるすべはない。

ー書いてるよー

ーああ・・がんばれよー

ーああ、おまえもなー

そう答えたけど、どこかで、嘘のようなきがした。

また、ねじこまれたら、怖いとでもおもったのか、

防御線をはったかもと・・・。

でも、それもどっちでもいい。

彼があいかわらずだろうが、

正常にもどっていようが

それをうけとめるのは、女房さんだ。

 

憂生は、約束どおり、ものを書いていく。






それから、彼がどうなったか、しらない。

ただ、風の噂で

女医がいろいろ深い事情をかかえている女性と

ひどく、やりあってるのをきいた。

相手は

突然、娘さんが自殺されて

その原因さえ思い当たらず

悲観にくれていた。

(憂生がみた当初)

 

それをみていて、

当時の憂生は知人たちとはなしあっていた。

そこから、何を学ぶか。

憂生の結論だけいう。

親子の信頼関係を持て。

いざとなったとき、親がどうにでもしてたすけてくれる。

はなしができる、頼られる親になれ。

普段から、子供にむかって

なによりも大事なのは、お前の命だとはっきりつげておけ。

どんなに話しにくいことでも話しなさい。

親はたとえ、子供が極悪人になっても

絶対みすてたりしない。

などなど・・・

そんなふうに、子供を亡くされた方のことから

とても、大切なメッセージをうけとっていた。

 

だから・・・。

精神科の女医ともあろうものが・・ともおもった。

そんな心の傷を持っているもの相手に・・・

 

もっと、深いわけがあるのかもしれないが・・。

 

そして、また、だいぶたってから

その女医が自殺したらしく

弟みたいなのが、でてきて

先の子供を亡くされた方とのなじりあいをいうのか

貴方の心無いことばに姉が傷つき

精神的にだめになって

そのせいで・・

とか、かいていたようにおもう。

 

たしかに、

へこみやくぼみのないものはどこにも

ひっかからない。

女医もそうなのだろう。

そういう学ぶべき筋のところにがりがりとひっかかる。

結局、彼との遭遇もそうだったのだろう。

 

そして、また、憂生も後年

かれらとのかかわりから学んだもののおかげで、

一人の人間を救いだせた。

とくに、

「愛してくれる人がだきしめてくれたら、どんな精神病でもなおる」

その言葉にささえられた。

 

憂生もまた、

鉤をもっている人間だったとは

そのときはきがつかなかった。

 

だが、そういうかたがたから多くのことをまなんだというか

そこに

必死で向き合っていたからこそだと思う。

あの時、このとき、

知っったことじゃあないよとやり

彼の行動にのってしまったのをだまされた、利用されたと

考えていたら

もっと、深淵を覗くこともなく

憂生の身近な人間への対処もできなかったかもしれない。

 

AKIRAが憂生にくれた言葉で、

しめくくりにする。

ー人生に起きる物事にいっさいの無駄はないー

そのとおりだったとおもう。



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