「石油の『埋蔵量』は誰が決めるのか?――エネルギー情報学入門――」(岩瀬 昇著 文藝春秋新書)を読んだ。
40年程前には石油の埋蔵量はあと30年位といわれていた。その30年はとうの昔に過ぎている。今では50年強になっているようだ。埋蔵量とは「技術的に回収可能な資源量」のうち通常方法で経済的な採掘が可能なものをいうらしい。
現在、経済性がないと判断して開発しなかった油田、ガス田の価値水準が上がり、最新の技術を利用して開発や生産しているところも多くあり、埋蔵量が増えている現状があるそうだ。また、回収率が向上し、当初の確認埋蔵量以上の生産を実現しているケースもあり、回収率が2割から4割に改善されると埋蔵量は2倍になる、とのこと。であるから、数百年は大丈夫なのだろうか。
地下資源のない日本には極めて大事である発想。それは石油や石炭、天然ガスに続く「第5の燃料という名の『効率』」である。エネルギー効率では、スイスやドイツに続いて上位にあるようだが、「発送電ロス」「輸送ロス」を少なくする効率化を進めると、首位を達成することも可能になるらしい。技術革新が更に求められている。
私たちが「家庭」で使っているエネルギーは、電気を中心にしてたったの14.2%しかないそうだ。節電、省エネの対象としているエネルギー量はほんの一部である。
一次エネルギーは、石油、天然ガス、石炭、原子力、水力、太陽光や風力などの再生可能エネルギー。私たちが描くエネルギー像は、電気などの二次エネルギーである。しかも、再生エネルギーの期待は高まっているが、電力用としての役割のみで、全ては賄えないのである。石油は化学製品等の原料、石炭は鉄鋼製品生産に欠かせない。だから石油と石炭は代替不能といわれている。
一次エネルギーの長期的確保は、国家の安全保障問題と直結するそうだ。
他にもたくさん情報が満載、目からうろこか落ちることばかりでした。