矢嶋武弘・Takehiroの部屋

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『されど われらが日々ー』

2024年11月23日 14時41分15秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど

<以下の文を復刻します。>

『されど われらが日々ー』 題名からして郷愁・ノスタルジーを感じさせてくれる。ご存知、柴田翔(しょう)さんの芥川賞受賞の小説だが、1964年の作品だからもう半世紀以上がたつ。何回も読んだが、読むたびに新たな感慨が湧く。こういう作品を名作と言うのだろうか。
最近、また読んだ。いつも泣けてくるが、今回は不思議に涙が出なかった。頭が悪いのでディテールを忘れていることが多い。頭が悪いということは、新たな発見があるから良いことなのか(笑)。また、いくつか発見があった。
主人公のフィアンセ・節子が婚約を破棄し、田舎の学校の英語教師として再出発するところは、いつもながら胸を打つ。いつも感動するところだが、今回は登場する若い女性の“ふしだら”な行状が多いことに気がついた。昭和20年代から30年代にかけてそうだったろうか。アプレ・ゲール(戦争の後という意味)と呼ばれた世代だから、そうだったかもしれない。個人差があるが、「性の解放」に積極的だったようだ。
日本共産党の極左軍事路線の破綻が、若い人達に深刻な影響を与えたことは間違いない。私より一世代前だが、挫折・転向が非常に多い。共産党の無謬性という左翼の神話が崩れる時、若い人達は大いに悩むものだ。真剣に生きれば生きるほど、挫折も大きくなり悩みも深刻だ。
あの頃の苦悩の方がより“アナログ的”だったろうか。推し量るのが難しかったようだ。今は何もかも“デジタル的”だから、推し量るのはたやすい。しかし、苦悩を克服できるかどうかは昔も今もそう変わらない。デジタル的に計量化、数量化しても少しも自殺は減らないではないか。苦悩といった感情を計量化、数量化しても意味がない。自殺は減るよりも、むしろ増えているのだ!
話が逸れてしまったが、誰でも『されど われらが日々ー』を持っている。そして、私達は懐かしむためか癒されるためか知らないが、それらの日々に時々戻る。そして思い直したり、元気を取り戻したりして生きていくのだ。 されど われらが日々よ・・・


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8 コメント

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読書の楽しみ (k_em2005)
2013-10-28 12:51:49
はじめまして。

私は、積読派です。蔵書はかなりの数にのぼります。しかし、読み終わった本は本の一握りです。

「されど われらが日々---」も名前だけは知っていました。しかし、読んではいません(買っても読まないためにあまり買わないようにしています)。

機会があれば読んでみようと思います。ありがとうございました。
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されど われらが日々 (矢嶋武弘)
2013-10-28 15:06:11
k_em2005さん、私も最近はほとんど本を読んでいません。ひとつには、目が悪くなって読みづらくなったことです。年は取りたくないものですね(笑)。
「されど われらが日々---」は1950年代の青春の日々です。私にとっても少し古い時代ですが、読み応えのある小説だと思います。
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メール欄が見当たりませんので、こちらから失礼します。 (琵琶玲玖)
2013-10-28 17:17:26
メール欄が見当たりませんので、こちらから失礼します。

●祝新BNW通信800号達成
12支部(ブロック)制、新規約策定!
http://blogs.yahoo.co.jp/biwalakeseven/12135723.html

2011年8月15日、再発足した新BNW通信は、2年と2カ月余を経て、遂に、800号に達しました。この間基本的には1日も欠けることなく投稿を続けられた会員各位、特にその中から優れた記事を選び出し、今日のお勧め記事として新BNW通信を紹介していただいた、モニター各位に深く感謝いたします。

原点に帰り9名で再発足した新BNW通信の会員は、当初目標とした、日本国憲法の条数に見合った103名をはるかに突破し、200名に近づいています。

 更に安全、安心で、自由なブログライフが楽しめるとの評判が広がり、入会希望者も相次いでいます。

この機会に、かねてから懸案であった、支部(ブロック)制を採用することとし、11月1日より発足させます。

更に、未整備であった、新BNW通信規約も整備致します。
記念の800号の記事と、規約案を提示致しましたので、ご覧ください。




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了解しました。 (矢嶋武弘)
2013-10-29 18:21:02
琵琶さん、了解しました。こちらで結構です。
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懐かしい作品です。 (りんご)
2015-02-08 16:15:08
高校3年生の折に読んで惹かれた作品です。
詳細は忘れたが~妊娠をドイツ語で{良き希望にある状態}?。公孫樹の木の一本ごとにキスを交わしたという
フレーズが衝撃的でした。東大の構内でしょうね。
、「たかが何々されど何々」はこの作品から流行ったような気が致します。翔という名前にも惹かれた田舎娘でした。著者は大学教授になられましたね。
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感動の小説 (矢嶋武弘)
2015-02-08 17:13:35
この小説は何度か読みましたが、読むたびに何か新しいものを発見するようです。こういうのを名作と言うのでしょうか。
細部については忘れましたが、今でもすぐ傍にあるのでまた読んでみます。 
われわれの代の少し先輩の小説ですが、読むたびに感動を新たにします。
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Unknown (おキヨ)
2020-06-28 12:58:49
”されど 我らが日々・・・題名だけはうっすら記憶しています。
当時は好みの作家が綺羅星のごとくいて、彼らの作品を読むのて手一杯・・・というのは嘘ではありませんが、実を言えば、青春真っただ中を謳歌するので手一杯。。。読書の時間はかなり削られていた時代でした(-_-;)
1964年・・・なんという懐かしい時代だったことか。
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されど われらが日々・・・ (矢嶋武弘)
2020-06-29 09:29:02
小説の題名は無数にありますが、これほど好きな題名は他にほとんどありません。
「されど われらが日々・・・」 これほど郷愁、ノスタルジーを呼び起こす題名はありませんね。
学生時代、青春時代は痛い、苦しいなどの思い出が多いのですが、去ってみればなつかしいものです。
おそらくいつか、この小説はまた読み直すことになるでしょう。
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