< 以下の記事は2011年11月1日に書いたものですが、一部修正して再録します。>
沖縄・普天間基地の移設問題はいつまで経っても埒(らち)が明かない。これではあと100年ぐらいかかるのか(笑)。
それはもちろん悪い冗談だが、民主党政権(2011年当時)には本気で解決しようという姿勢が全く見えない。だらだらと先延ばししているだけという感じだ。いわゆる「沖縄利権」とか「基地利権」が邪魔をしているのだろうか。しかし、困っているのは沖縄県民である。いつになったら、国外ないしは県外移設ができるのだろうかと思っているだろう。辺野古への移設などは絶対に無理なのだ。
ここで、普天間問題をおさらいするつもりはない。さんざん言われてきたことだ。したがって、私の意見だけを述べておく。昨年、私は二度にわたって、普天間基地を北マリアナ諸島の「テニアン」へ移せという記事を書いた。これはもちろん、根拠があって言ったことだ。末尾に参考記事をリンクしておくが、アメリカの自治領であるテニアン島は昨年、普天間基地の移設先として名乗りを上げ、非常に熱心に誘致運動を繰り広げたのである。
しかも、テニアンが所属する「北マリアナ連邦」(14の島から成る)は昨年4月、上下両院で誘致決議を全会一致で決めたのである。これを受けて、テニアンのデラクルス市長が来日し、当時の連立与党である社民党の福島党首らと会って、基地の誘致を陳情したのだ。北マリアナ連邦はもちろん、アメリカ政府にもそのような陳情をした。
彼らが普天間の移設先として最適だと強調したのは、(1)東南アジアにおける防衛戦略上、地理的に優位。 (2)自然環境が豊かで近代施設・娯楽施設も提供でき、在沖米海兵隊員や家族の生活に適している。 (3)テニアンは1999年、土地の3分の2をアメリカ国防総省と賃貸契約している。 (4)志願兵の割合が高いなど米軍に対する協力体制ができているなどの点である。とにかく、移設してくれれば大歓迎だとの意思を表明したのだ。
こうした動きは彼らだけではない。日本でも民主党の川内博史議員、社民党の照屋寛徳議員らがテニアンを訪問するなど、テニアンへの移設で積極的に動いたのだ。私もテニアンが最適だと思った。ところが、当時の鳩山首相はこういう動きを知っていながら、最終的に沖縄・辺野古への移設を決め、「国外、最低でも国内移設」という公約を裏切ったのである。
その後の経過は皆さんご存知だろう。公約を破った鳩山は社民党などから突き上げられ、すぐに退陣に追い込まれた。そして、菅政権が誕生したのである。
経過説明が少し長くなったが、私はあの頃、北マリアナが移設先として手を挙げたことを“渡りに船”だと思った。こんな好都合なことはない。鳩山政権は国内の移設先候補にした鹿児島県の徳之島から強い反発を受け、非常に困っていたのだ。そこへ北マリアナが熱心に誘致を陳情してきたのだから、これほど割りに合う話はないではないか。
ところが、鳩山首相は最終的に辺野古と決め、沖縄から猛反発を受け結果的に退陣したのだ。あの頃の鳩山の“哀れな姿”を覚えているだろう。仲井真知事に会うため沖縄を訪問したら、県民からぼろくそに非難された。哀れな最後である。
鳩山政権に何があったかはもう良い。問題はこれからだ。聞くところによると、アメリカ国防総省は議会から予算削減を求められ苦しんでいるという。このため、在沖海兵隊のグアム移転だとか、沖縄基地の経費削減などが浮上しているという。アメリカ軍も苦しい立場に追い込まれているのだ。
そう考えると、普天間基地のテニアン移設は三方一両損でなく、まさに“三方一両得”ではないか! つまり、沖縄や日本政府にとっても良く、財政難のアメリカにとっても好都合のはずだ。民主党政権はもともと、普天間の国外か県外移設を公約していたのだから、テニアンに移れば最良である。また、テニアンにとっても経済活性化、つまり“島興し”になるから大歓迎しているのだ。
あとは政治家の決断である。沖縄の「基地利権」だとか色々あるだろう。また、テニアンに移るとなれば、移設費用をめぐって日米双方が交渉しなければならない。しかし、辺野古へ移っても費用はかかるのだ! どうせ費用がかかるなら、国外へ移ってもらった方が、沖縄県民にとっては万々歳である。
なぜそんなことが分からないのか? そんなに沖縄の「基地利権」は重要なのか? もう話すのが嫌になったが、最後にもう一度だけ言う。鳩山政権時に、普天間基地のテニアン移設も検討されていたのだ。これは私の“妄言”ではない。民主党や社民党の国会議員が実際に動いていたのだ! (2011年11月1日)
テニアン「最適地」・・・http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-161169-storytopic-3.html(琉球新報の記事)
テニアン島・・・http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%83%8B%E3%82%A2%E3%83%B3%E5%B3%B6