矢嶋武弘・Takehiroの部屋

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カネ、カネ、カネの中国社会

2024年11月13日 11時19分38秒 | 政治・外交・防衛

<2011年10月30日付の朝日新聞記事を要約した文章を、改めて復刻します。>

 4日前の朝日新聞(2011年10月30日付)に、中国社会について興味深い記事が載っていたので、ぜひ紹介したいと思う。まだ読んでいない人にとってはきっと参考になるだろう。
 中国は一言で云えば「金まみれ」の社会である。まず驚いたのが、「教師の職もカネ次第」というタイトルの中身だった。これは中国東北地方に住む30代の高校教師Aの話だが、数年前に教師採用の責任者になった。そして数人の男女を面接したら、ある男性から「絶対採用してほしい」との連絡があったので飲食店で会うと、1万元(約12万円)や高級酒、高級タバコの入った封筒を渡されたという。これは教師の初任給の4~5カ月分に当たるそうだ。
 また、他の女性は「お望みなら何でもします」と言ってきたので、彼女とは“一夜”を共にし、5千元(約6万円)を受け取った。他の受験者の方が優秀だったが、Aはこの2人の採用を決めたという。以上の話を聞いただけでも唖然とするが、全てがそんな感じなのだ。
 スペースの関係で、朝日新聞の記事を要約する形になるがお許し願いたい。Aはかつて日本に留学した後、希望に燃えて帰国した。きっと、青雲の志があったのだろう。そして、臨んだ教師採用試験は手応えがあったのだが、大学の友人から「5万元(約60万円)で話をつけてあげる」と言われたという。それを断ると、採用通知は来なかった。
 以後、Aはようやく教師の職に就いたが、教育現場も全て「カネ次第」ということを知る。そのうち自分も“金まみれ”になり、教え子が大学進学目前になると、父母から次々に高額の金品を貰うようになる。その子たちには丁寧に教えるが、他の生徒は放ったらかしにした。さすがに良心がとがめたが、教員の友人に相談したら、「みんなやっている。やっと(君も)大人になったね」と諭されたというのだ。
 こういう話を聞いただけでも、中国の教育現場がいかに腐敗堕落しているかが分かる。これに比べれば、まだ日本の方がマシかと思えるほどだ。こういう「金まみれ」の体質は中国社会の隅々に行き渡っており、「全てはカネとコネ次第」というムードが社会全体を覆っているそうだ。

さすがに中国共産党も危機感を強め取り締まりに乗り出しているが、どこまで効果を挙げられるだろうか。こういう話を聞くと、中国ほど「資本主義」の体質を持っている国は他にないと思う。カネが全ての「拝金主義」社会なのだ。
 他にもいろいろ記事があったが、要約して紹介しよう。 数カ月前だったか、汚職まみれの副市長2人が“死刑”になったという報道があったが、そのうちの1人が杭州市の元副市長Bだ。Bは恵まれない家庭に育ったものの短大を卒業した。その後、中学教師になったが、25歳である“公職”に抜擢された。初めは真面目な役人だったのだろうが、やがて昇進するにつれて「金まみれ」の社会に感化されていく。
 「自分と大して能力が変わらない人たちがどんどん豊かになるなんて、不公平だ」と思ったという。そして、役人の権限を最大限活用し、土地開発の利権に手を染めるようになった。また、他の幹部とも人事や利権で密接に絡み合い、かばい合うようになった。そして、さらに地位が上がるにつれ汚職の規模が膨らみ、1995年からの15年間で、2億元(約24億円)もの賄賂を受け取ったという。
 日本とは貨幣価値や物価が違うと思うから、24億円とは物凄い賄賂だ! Bは死刑になる前に「初心を忘れ、カネに勝る物はないと思うようになった」と話したという。中国では特に、昔から「袖の下」つまり賄賂の歴史が名高い。小説や物語でよく聞く話だ。今の中国もそうだという噂は聞いていたが、これほどまでに腐敗堕落した役人も珍しい。いったん金まみれになると、とどまる所を知らなくなるのか。

最後に、報道する記者たちも腐敗の例外ではないそうだ。ある記者は地方都市で起きた立ち退き問題の取材を始めたが、これを嗅ぎつけた地元当局者が「記事は書かないで」と説得、第三者を通じて“口止め料”を渡してきたため、この記者は取材を止めたという。
 こういう例はいくらでもあるそうで、逆に「記者」に成りすまし、当局から多額の金をせしめた男たちもいるそうだ(失笑)。中国では記者会見に来た記者に、紅包(ホンパオ)というご祝儀を配ることが多く、記者側も受け取るのに抵抗感は少ないという。こうなると、ろくな記事しか書けないのは目に見えているだろう。
 とにかく、中国全体が「カネ、カネ、カネ」の社会なのだ。いくら改革・開放路線が成功したとはいえ、これではどんな社会、どんな国になっていくか見当もつかない。中国共産党も腐敗防止に躍起になっている。しかし、もともと賄賂体質の国だ。中国は恐るべき“資本主義”国家になっていくのだろうか・・・
 以上、朝日新聞の記事を要約する形で紹介させてもらった。(2011年11月3日)

北京の繁華街・王府井(ワンフーチン)


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