2014年3月14日(2)
青森を発車した「あけぼの」。6分遅れで奥羽線を進む。
何やら上野の13番線はすでに入場規制される程の混雑だとか。何も見えず身動きもとれず…何てことにならないといいけど。
それに比べたら、青森も人は多かったけど、何か東北の温みを感じる出発だった。
そして、駅のみならず沿道からも手を振って下さる方の多いこと。
ラストランを実感する。
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18時36分、新青森到着。
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「ありがとう 寝台特急あけぼの 2014年3月15日 JR東日本ダイヤ改正」と書かれた駅員さんの横断幕。青森駅で掲げられていたものと同じ。
この日の為にわざわざ作って下さったのか。駅員さんに手を振り返し新青森を後にする。
そして車内放送開始。いつもの停車駅・到着時刻案内に続いたのは「あけぼの」の歴史。
【「あけぼの号」は1970年10月1日に青森-上野間を奥羽線・東北線経由で運行開始され、最盛期には毎日3往復運行されました。
現在は奥羽線・羽越線・信越線・上越線・高崎線・東北線周りで運行され、
1日1往復、片道約12時間30分かけて運行しています。
東北新幹線八戸まで延長となった2002年12月以降は、首都圏と東北地方を結ぶ唯一の定期夜行列車として運行しています。
皆様ご存知のように「寝台特急あけぼの号」は本日をもって運行を終えます。
ビジネスや旅行、就職、進学、出稼ぎなど、皆様の人生の節目節目でご利用頂きました。
これまでのご利用に感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
終点上野まで安全第一で運転してまいります。
皆様「ブルートレイン寝台特急あけぼの号」の旅を、どうぞお楽しみ下さい。】
また涙腺が緩む。
車掌さんも感極まっておられるのか、あえて声のトーンを下げて平静を保ってるように聞こえる。
車内放送で「ブルートレイン」という言葉を聞いたのは初めてじゃないか。車掌さんもきっとブルトレを廃止になんかしたくないはず。
列車は弘前に到着。自分の個室とホームが反対側なので見えないけど、多分ここもすごい人。
弘前の沿道からも、寒い中多くのお見送り。
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大鰐温泉。弘南鉄道と並走。珍しい光景。
次の碇ヶ関。山奥の小さな駅ながら、そこに待っていたのは…。
地元のご婦人方中心に盛大な横断幕と踊り。皆さん全員笑顔で手を振って…。
これは涙腺直撃!また涙が。すっかり見入って写真撮るのも忘れた。
自分も手を振り返す。最初は照れくさかった手振りも、ここ碇ヶ関で恥ずかしくなくなった。
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次は大館。到着時は駅員さん総出でお出迎え。
「ハチ公物語」が流れると、また耐え切れずに涙。こんなに泣くの何十年振りだ?
大館発車後の車掌さんの声も、ちょっと泣いてらっしゃるように聞こえる。
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続いて鷹ノ巣。「あけぼの」が遅れていたせいか、内陸線と同時に発車。これも珍しい光景。
それにしても、どの駅でも多くの温かいお見送り。何か北国の方々の温かみを感じる。
そして次の停車駅は、最大のサプライズとなった二ツ井。
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碇ヶ関といい二ツ井といい、これは泣かない方が無理。
「あけぼの」が青森・秋田の、比較的小さな町の方々の生活にまでいかに根付いていたかがよくわかる。
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東能代。ここ10年間毎年来ていた夏の八郎潟釣行。
いつも「あけぼの」を東能代で下車し、鹿渡~井川さくらまでを釣り歩いた。
臨時がいつまで走るかもわからないし、もう夏に「あけぼの」で釣りに行けることもないか。
ここで、突然大きな声が聞こえてきた。
「長い間ご苦労様!さようなら!」
総出でお見送りして下さった駅員さんの声。
発車時にEF81の汽笛を聞くだけでもウルウルくるのに、また涙腺直撃弾。
もうここまで泣くのは生まれて初めての領域。
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八郎潟。
列車は数分遅れたまま、秋田に近付いてきた。
ワンセグを見ると、なんと秋田駅に進入する「あけぼの」がNHKで生中継されている!
自分が乗っている列車がテレビ中継されているのは不思議な感覚。
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間もなく秋田。人の数が凄そう…。
つづく