今年は日本海側は記録的な大雪になっている。埼玉も今朝は氷点下だった。
今回は、7年前、2015年の1月に行った陣馬山から景信山のことを書く。
この日もからだに突き刺さってくるような冷え込みの日だった。
陣馬高原下でバスをおりると、そこにはまだ太陽の日差しは届いていなかった。
お正月のなごりなのか、常緑の木の枝を束ねて大きな柱がしつらえてあった。
見上げると山の斜面には日が届いているが、谷底は冷え切った空気がよどんでいる。
小流れにそそぐ水のしぶきが白く凍り付いていた。日陰に氷を見ると寒さがなおさらしみてくる。
登山口の茶屋も正月らしく酒樽などが飾ってあった。
モノトーンの世界にここだけ華やぎがある。
谷底の道を陣馬山へむかって歩き出すと、石灯籠と並んで不動明王を掘った石柱が立っていた。
陣馬山。関東では高尾山についで人気の山だが、実は、私はこの日まで登ったことがなかった。
この機会にと思い立って出かけてきたのだ。
舗装の道をしばらく歩いてから沢に降りて山道にはいる。
大勢の人が訪れる山なので道はしっかりと踏まれていた。
樹林はよく手入れされていて、冬の日差しがななめに差し込んでくる。
平日とはいえ、前後に人影が絶えることはない。
山頂間近の山道は溶けた霜柱で道がぬかるんでいた。
そこを山の茶屋の人が、刈り取った茅を敷いて手入れをしてくれていた。
ちょっと立ち話をした。
陣馬山の斜面には、農家の屋根の茅葺に使った茅をとる茅場があるそうだが、今は茅葺の農家そのものがなくなってしまったそうだ。
山道の手入れに礼をいって山頂にむかった。
855mの陣馬山の山頂は360度の展望台だった。これは人気の山になるはずだ。
これまで来なくてなんだか損をしていた気分。
冷え込んだ冬の日らしく、澄み切った空気のかなたに白い峰の連なりが見えていた。
南アルプスだ。手前の山は扇山。しっかりと名は体を表していた。
扇山の右には滝子山。頂上のつんととがった感じが私は好きだ。
そしてなんといっても富士山の展望。
探すまでもない。低い山波の向こうに大きくどっしりとすがたをみせていた。
丹沢山地の左の山間に光るものが見えた。海だろうか。
それほど高いわけではない陣馬山から山越しに海が見えるものだろうか。
でもこのまっすぐなラインは水平線に違いない。
冷え込んではいても風がないので、みなさんのんびりと休んで食事を楽しんでいた。
さて、この日は陣馬山から景信山まで歩いて、小仏のバス停から高尾に戻る計画だ。
首都圏自然歩道に指定されている道は、しっかりとしていてしかも幅も十分に広い。
尾根のコブにはちゃんと巻道がある。らくちんだ。
途中の明王峠。少し広くなっていてベンチなどもあった。
ここから南にむかえば相模湖に出られる。
その後も堂所山などのコブはあるものの、ほぼ650m内外の尾根道が続いて景信山へと導いてくれる。
落ち葉の中をうろうろ路を探す楽しみはないが、その分、安心して景色を楽しんでいられる。
景信山、727mに到着。関東平野が一望だ。
すぐ下には、前の週にハイキングの会で出かけた八王子城跡の山が。
ここでもみんなのんびり休んでいる。
寒いのでしっかり着込んではいてもなんとなくのどかな感じ。
景信山の山頂は一部に樹木があるが、広い山頂を回り込むとこんどは南が見渡せる。
この山も富士山のビューポイントだ。場所を移動すれば眺める景色もかわる。
高尾から小仏にむかうバスは、駅ではいつも長い行列ができているが、帰りはそんなことはない。
本数も多いのであまり待つこともない。
このコースは楽に歩けて、とっておきのビューポイントをつなぐコースになっている。
景信山など高尾周辺はなんども歩いていたのに、なぜか陣馬山だけ行きそびれていた。
とても気に入った。実際この年は、4月に中央線の藤野から陣馬山を往復した。
その時のことは次の機会に書いてみたい。
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