4月29日には、4人で奥多摩の高水三山を歩いたが、連休中にもう一度一人で出かけようと思っていた。
最初は、笹子から本社ヶ丸へと考えたが、朝5時半の出発がちょっと億劫だったのと、腰に痛みが残っていることを考慮して、猿橋から権現山にいくことにした。
権現山は、中央線の上野原と大月の間にある扇山の北にある山だ。
一度、上野原からバスで初戸に行き、雨降山、権現山、浅川峠、浅川へと歩いたことがある。
しかし、上野原からのバスは連休中は非常に混雑する。
そこで今回は、猿橋からバスで浅川に行き、浅川峠、権現山へ。下りは西へとまだ歩いたことのない尾根をたどって葛野川流域の吉平に下る計画にした。
6時台の電車で高尾に向かい小淵沢行きに乗り換えてみると車内の席は埋まっていた。さすが連休だ。
四方津駅で特急の通過待ち。まどの外にはツバメが飛び交っていた。
そういえば、私の住む埼玉や東京ではツバメは見かけなくなったなぁ。
猿橋では3分の待ち合わせで浅川行きのバスがくる。
写真の奥に見える山は扇山。
バスには私を含めて6人。藤野や上野原からのバスとは大違いですいていた。
途中で登山者でない一人がおり、戸並入り口で百蔵山に行くらしい女性が下りた。
あとの4人は浅川まで行く。
バスの窓からもツバメがたくさん飛び交う姿がみえた。
終点の浅川で降りるとまず少しもどって滝子山の姿を写真におさめた。
浅川は、北を権現山、南は扇山に囲まれた谷のどんづまりの集落だ。
民家の庭には藤棚。甘いような香りがただよってくる。
そして野フジも満開だった。
バス停に戻る。バスはすぐに折り返して出発した。早くも下山してきたらしい若い男性が一人乗り込んで帰っていった。
9時ちょうど、バス停から林道に入り、終点まで歩いて行く。
久しぶりの一人歩きなのでついつい張り切ってペースが速くなり、汗ばんできた。
シジュウカラやウグイスの声が聞こえてくる。
林道が曲がる地点で振り仰ぐとこれからめざす権現山が新緑におおわれた姿を見せていた。
林道終点から浅川峠へと山道を登って行った。
周囲は落葉広葉樹の新緑の森。足元にはたっぷりの落ち葉。
途中暑くなったのでシャツを一枚脱いで、ついでに水分も補給。
浅川峠には9時40分。40分ののぼりだ。
扇山から権現山へとつらなる尾根は幅も広く広葉樹に覆われている。
500mほどはゆったりと波うつ尾根道をのんびりと歩き、それからいよいよ権現ののぼりにさしかかる。
でも尾根がやせてはいないので道はジグザグをきって登っていく。だから息の切れるような急登はない。
途中で振り返ると、新緑の木の枝の隙間から富士山らしい姿がチラチラ見えている。
1200mくらいだろうあたりで、一部樹林にすきまがあった。
たぶん大きな木が倒れたあとなのだろう。
ちょっと道をそれてそちらにむかうとその隙間から富士山が見えた。
それを機会に腰をおろして小休止。水分を補給し、塩レモンの飴をなめた。
尾根の傾斜がゆるくなり、主稜線が近づいた感じだが、そうなると道は尾根に沿ってまっすぐに登りだすので道自体の斜度はゆるくはならない。
やがて正面に主稜線の標識が見えてきた。
そこから右へと巻道が伸びていたのでそれをたどって権現の山頂をめざす。
山頂に到着するとまず正面に奥秩父方面の山なみが目に飛び込んできた。
振り返ると富士山。
少し雲がまとわりついているが、ほぼ全身をあらわしていた。
ベンチなどはないので山頂のヘリの斜面に腰をおろしておにぎりを食べた。
同じバスだった同年輩の男性が、少し先について休んでいたので写真を撮ってもらった。
場所を移すと富士の右手には三つ峠も見えていた。
残念ながら南アルプスの方向は木にさえぎられている。
この山は、落葉広葉樹が豊かな山なのだが、すでに葉を広げ始めたこの時期だからか、足元の花はほとんど見られないしツツジも少なくて、あってもほとんどが花を終えていた。
これは山頂で見たミツバツツジの咲き残り。
食事を終え、20分ほどで出発。
同じバスできた人は用竹の方に向かうらしく、バスの時刻表をひろげてまだ休んでいた。
登りの途中でみえた主稜線の分岐の標識。
あとはゆっくりと100mほど高度を下げていく。
主稜線も幅がたっぷりとあるのでのどかな雰囲気の森の道だ。
しかし、1200m台までさがるとあとはうねるようにアップダウンを繰り返す。
1252mの標高点が近づくと山の北側がカラマツでおおわれて雰囲気が変わってきた。
その標高点付近の木には「オクノ沢ノ嶺」という標識がつけられていた。
そこからゆったりともう一山こえてくだりはじめる。
その下りの途中の岩に赤さびた鉄の観音像が安置されていた。
先のとがった岩の形が仏像の後背を思わせる。
単調な尾根道では目立つ岩なので、ここに仏像をと考えたのだろう。
そろそろ山頂から1時間ほどたったので、長尾根への分岐が近いはずだと注意して歩いていると小ピークの立ち木に赤いテープがまいてあった。
足元を見るとかすかだが踏み跡もあるようだ。
ほかにそれらしいところはないのでここで間違いないだろうと推測したが、念のため先に見えるピークに登ってみた。
3分ほどで麻生山の標識を見つけた。
これで先ほどの赤テープが分岐に間違いないことが確認できた。
また暑くなったので、下りでは着ていたシャツをまた脱いで分岐へと戻る。
赤テープの小ピークに戻って分岐の尾根へと踏み込む。
山と高原地図では麻生山から10分ほど先にいった尾名手峠から折り返すようになっているが、それだとかなり回り道になるのだ。
少し急ではあるが危ないところもない普通の尾根道をくだる。
ふと見ると壊れた標識があった。
振り返ると左へと巻道がある。この道が尾根名手峠からの道だろう。
あとはこれまでの主稜線と同じような幅広の尾根を下っていく。
斜面が急になって道がジグザグに下りだした。
道のわきに枯れ枝を立てにそろえておいてあった。
炭焼きでもするのだろうか。
ジグザグの別の折り返し点には石が積み上げられていた。
なんの目的なのか検討がつかない。遊びで積むには大きいし、それほどたくさんの人が通る道でもないのだが。
ジグザグが終わって、ふたたび尾根歩きとなった。
長尾根というだけに長い尾根だが、登り返しがほとんどないので楽に下れた。
写真は駒宮への分岐点。丸太も置いてあるし、木陰ですずしい場所なのでここで休憩すればよかったと後になって思った。
でも私はその先にある天神峠という名に、なんとなくそこを最後の休憩地点にと決めていた。
バスの時刻までまっすぐ下ると50分ぐらい待ちが生じるので、そこでコーヒーを入れるつもりだった。
ところが分岐をすぎて天神峠へとむかうと笹薮があらわれた。
下草刈がされていないで道が笹におおわれていた。
そして天神峠についてみれば少しも峠の雰囲気がしないし、笹が間近に迫っていて休憩する雰囲気ではなかった。
もう里は近いのでそのまま下山を続け、吉平の集落がみえるところに出た。
急に日当たりが強くなり、暑い。
ふと足元にイカリソウを見つけた。
今回の山は花の少ない山歩きとなったので貴重な出会いだった。
とうとう里に飛び出した。けど休める日陰が見つからない。
結局、休憩場所が見つからぬまま吉平のバス停についてしまった。
バスの時間まで50分近くあるので、バス停の近くの道端で下の畑へと降りるための石段に腰を下ろしてコーヒーを入れた。
そこから見上げる山は、麻生山からのもう一つの下山ルート、鋸尾根らしい。
見たところ私が歩いた長尾根と違ってかなりアップダウンがある。
そちらのコースも検討していたので長尾根にしてよかったと思った。
このコースは、要所要所に標識もあり、いいコースなのだが、展望がない。
だからだろうか、山頂を出てからは一人とも出会わなかった。
3時10分のバスは7分ほど遅れてやってきた。7~8人の登山帰りの人が乗っていた。
猿橋へは3分おくれで到着。さっそく冷たいコーヒーを買ってのどを潤した。
そして帰りの電車も席は埋まっていたが、となりの鳥沢で2人が下りたので席にありつくことができた。
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