寿岳章子著 岩波書店 1979年初版。寿岳章子氏は1924年生まれだから この本を出したときは54歳。昭和54年か・・初版本で新書なので頁をとめる糊が劣化してて 数ページ外れそうなところがあるがまあ読める。うちの図書館は結構しょぼいので 書庫のキャパが狭いのか 需要の無くなった・・というか誰も借りない本はスペースの都合で公民館で保管してるらしくシールがある。まあ それ以前に表紙の裏に貸出カードが貼ってる・・ということは まだ貸出や検索が電子化される前の本てことで 最新にあたしの貸出日付が21年8月16日とあるが その前は2001年4月11日w もう20年も誰も借りなかった本てことになる。道理で劣化してるわけだ。当時寿岳章子氏は京都府立大文学部の教授で まあフィールドワークの一環で調査したものを書籍化したっぽい。1.女らしさとことば 2.日本語と女の暮らしとのかかわり に大きく別れてるのだが 2の第一章のうたの中の女・・て 当時の邦楽 主に演歌・歌謡曲を中心に 女に関わる言葉を拾い出して統計を取ってる。寿岳氏って文学部なのに なんでまた社会統計学みたいなことをしてんのか?と思う。まあ 歌は世相を表すというけれど こんなことしてていいのか? 京都府立大文学部って学生に手伝わせてこんなことやってたのか・・と思うと 目の付け所は面白いのだがうーむだ。そもそも専門は中世の日本語なので 専門領域の古典から拾った女性の立ち位置みたいなものの考察は面白い。個人的に農村女性のフィールドワークもしてるから そういう記述が出てくるのも理解できるのだけど 初版は1979年だ。まあ書きためたものを書籍化したのだとは思うが いったいいつの話?とか思ってしまう。これが1969年出版ならありえるかも知れないのだが。内容の一部が後で出た単行本にも引用されてるので読んではいるのだけど あまりにも古すぎる。こういう歴史の上に今の我々はいるのだな・・という意味はあると思うが今更買う本ではない。amazonのマケプレで送料入れて360円くらいで買えるのだけど 裏表紙を見ると当時の価格が320円と印刷されてるw まあ一度読んだのでもういい。これも図書館にあればいい本だ。でも もう分解しかけてるし 次に何年後か何十年後かに誰が借りるのかは知らんが その時は崩壊してるだろう。
寿岳章子著 海竜社刊 1991年初版 これは失敗。100円くらいなんでポチったんだが 図書館検索したらあったので借りてきたんだが 中身が薄い。お題目をあげて それについて色々考えるところを書いてるんだが まずハードカバーなのにページの文字数が少ない時点でアウト。文字が大きいのだ。ハードカバーにするなら もっと密度が濃くなくてはいけないのだけど 本書それがない。貸出のメモがついてるが あたしの前に借り出したのは1年半以上前だ。まあ ベストセラーにもならない国語学者の本で古いとなればこんなもんだが。普段の生活というか自分の生き方からテーマを決めて書いてるのだけど薄い。後付けを見たら雑誌に掲載されたものを安直にまとめたもの。寿岳章子の本は京都がらみでない限り外れが多すぎる。ただ随筆集で今読んでる 思いは深くは まだ初めだが結構良い。寿岳章子の京都本以外を買おうと思われる方は 一度図書館を検索してみてからのほうがいいと思う。amazonで送料込み357円だったのであんまり文句は言いたくないけどやっぱり失敗は失敗。これも図書館にあればいい本だ。
岸防衛相が靖国神社を参拝した。靖国には色々祭られているのだけど ほとんどが動員されたただの国民。それに対して中国が「強烈な不満と断固反対を表明する」と反発してるが まあA級戦犯も合祀されてるから 靖国=戦争の犠牲者・・と簡単に割り切れないのは事実だけど 日本が香港・新疆ウィグル自治区の人権侵害を非難したときに 中国は内政問題に口を出すな・・と反発したんだから日本も正式に 内政問題に口を出すな・・と言えばいいのでは?と思ったりもする。靖国に祭られてるのは日本人だけなんだしね。
存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く キャロライン・クリアド=ペレス著 河出書房新社 2020年初版。厚さ3センチもあるような分厚い本なんでソフトカバーにもかかわらず2700円もする。先に22ページまで読んで難渋してると書いたが全部で419ページもある。ただ363ページからがデータの引用元が英文で書いてあるだけなんで 実質362ページ 354ページからは著者謝辞と訳者神崎朗子氏なのだが これは読まないといけない。手っ取り早く内容の概略を知りたければ カバー表紙裏の ”人類の半数を考慮しないとどうなるかを描いた物語 そしてジェンダー・ギャップが日常生活の中で常識としてまかりとおり、女性にどのような害を与えてきたかを暴露する本・・・中略・・・万が一のとき男性のデータに基づいて構築されたこの世界で、女性たちがどんな目にあっているかについて論じ・・・中略・・・存在しない女たちの真髄は変化の呼びかけでもある・・とある。全部読んで うまく要約してあるな・・と思った。全体的には世界で公表されたレポートをエビデンスというか数値で見える化した本と思えば まあ大体あってる。フェミニストの為の本というより 本書が2019年の王立協会科学図書賞(著者は英国人)ビジネスブック・オブ・ザ・イヤーだったりするので ポジションとしては微妙なところ。日本で受け入れられるか?と言えば ブレイディみかこのぼくはイエローでホワイトで・・が図書館で132人待ちだったのに比べて こちらはたったの3人待ちだったことからもわかるように 物好きにしか知られてないだろう。あたしはこれ某男性週刊誌の短い書評で知ったので まあ幸運だったし うちの市って文教都市だから図書館が買ってくれてたのがラッキーだった・・と言うしかない。個人で新本でこれを買うか?と言われたらまず買わないだろう。読んだ後でも欲しいとは思わないw 全体は6つの章に分かれていて 1.日常生活 2.職場 3.設計 4.医療 5.市民生活 6.災害が起こった時だ。 著者はイントロダクションで 男性が基準?と もう男性全般に喧嘩をふっかけてるわけだが 1の日常生活においては指摘は納得できるが これは男性・女性に限ったことではない。トイレの問題は女性用個室は男性用の小便器を含めた数の2倍でもいいと思うので これはわかる。性的ハラスメントの問題もわかる。2の職場においては同意できない。まあ男性より女性の方が無償労働時間が長い・・というのはある意味事実ではあるけれど うちでは等分でやってるし あたしも嫁はん(こういう言い方は家をひきずる封建的な呼び方なんだろうがまあ 関西人だということで許してもらいたい)も 職場に恵まれたのか 能力で仕事を割り振られるような技術職なので 他を知らないからああ 世間てそういうもんか・・としか思えない。まあ妊娠・出産という避けられないハンデが女性にはあるのだけど うちみたいに産まない選択をすればそれはない。それがいいかどうか まあ子供が減少して急速に高齢化に向かってる日本としては国賊なのかも知れないが お互い好きなことをするためにそういう結果になっただけ。実力主義の神話と著者は言うけど いい職場だったので それでいいと思うし あたしから見ても嫁はんはあたしより能力があると思うし だからどうだ?と思ったことはない。まああたしは死にかけて早期退職になっちゃったが 嫁はんは請われての選択で フリーランスで仕事するようになったんで やっぱりあたしより何倍もすごい。同じ職場だったからわかるが 性差別するような上司がいなかったので この項に関しては否定的。プログラミングは男の仕事?と著者は疑問を投げるが その現場にいたあたしからすれば 優秀な女性はいっぱいいたし 同じ仕事なのでコードを見ればそれが能力の数値になって見えるので これはない。女性の体をめぐるデータ・ギャップと著者は言うけど これはそれなりのギャップを埋める努力をしない上や生産者が悪いのであって性別とは関係ない。労働環境についても同様。3の設計にしても なんらかの基準モデルを想定しなければ何もできないわけで 性別ごとに設計を変えるのは非効率的ですらある。まあ車のシートベルトは その最たるものだが 女性用にシートベルトをデザインできるのか?という疑問はある。乳房を避けて肩ベルトが回せるのか?あるいは妊婦の為の圧迫しない腰ベルトが開発できるのか?仮にできたとしてもそれは男性にとって優しいのか?という問題を生むからもうどうしようもない。ある程度の規格化は必要だし それを性別で分ける必要があるのか?とは思う。一部の外車は肩ベルトの取り付け位置を上下できるようになってるけど それ以上どうしろと?不満を提起するのは結構だが 解決につながる提案を何もしてないのはどうかと思う。薬の問題にしてはこれは性別に関係なく起こりえることで あたしは心臓系と精神の薬を10種類ぐらい飲んでいるのだけど これとて合わないがあって医者にリクエストしてほぼ全てを試した上での選択だ。まあホルモンや体組織の関係から 効く効かない問題が出るのは仕方ないが これは治験のやり方を変えればいいだけの話だ。5の市民生活で費用のかからない労働力・・と言うが うちは等分で分割してるのでそれはない。しいて言えば あたしがいつ死ぬかわからん爆弾を抱えてるから 負荷は軽くなってるのは事実。これを費用のかからない労働力と言いたいのならそれで結構。性差を考慮しないと著者は言うが 多くの税金を払ってるのは稼ぎのいい嫁はんの方だし 家計を握ってるのも嫁はんなので他はどうであれうちは違う。子供も老人もはいない核家族だから これによって生じる問題もない。政治やジェンダー・ニュートラルの問題も当事者同士でちゃんと話せば解決する問題。最後の災害が起こった時・・って これこそ性差なんか関係ないんじゃないか?と思う。総じて本書 ある程度は納得できる部分もあるけれど うちでは違う・・という部分がかなりあって まあビジネス書だな・・という感じが濃厚。ただ これまで数値化されてなかった部分をある程度数値化してエビデンスにした点はすごいと思う。速読のあたしでも 必死で読んで3日かかったから一文一句じっくり読む人だと2週間では無理だろう。ちょっと読んで気に入ったら買えばいいと思う。ただし これは女性側からの苦情の集大成なので 本書を読むべき人は男性だと言える。面白かったけどもう一度読もうとは思わない。当然本棚は無しである。
寿岳章子著 彌生書房刊 1984年初版。著者60歳のころの本。先に亡くなった母の闘病日記と思い出 そして父と母の仕事 子供時代の思い出をまとめたもの。タイトルは父である寿岳文章氏がつけたもの。若い時 南禅寺裏に住んでた時代に冬に水道が凍って 生活用水を山の湧き水から汲んでたことからつけられたらしい。後から出た本にかなりの部分が引用されてるので 1/3くらいはああ これどこかで読んだ・・と思うだろう。寿岳章子氏は結局結婚しなかったので母親との関係性は濃密なものだったと想像され その部分に関しては母に対する追悼文みたいなもんで 母に捧げる本だ。まあ 寿岳章子の他の本を読んでいると 今更買わなくてもいいな・・と思う。これは図書館から借りてきた本。書架でなくて書庫とシールが貼ってあるから あまり借りる人もいないのだろう。まあ37年前の本だし そもそも寿岳章子?誰それ?という人がほとんどだろうから無理もないか。で 本書一応amazonのカートには入ってたんだが これは抜く。寿岳章子の本で必読なのは 京都町なかの暮らし と 京に暮すよろこび 暮らしの京ことば・・あたりがお薦めできると思ってる。暮らしの京ことばは古いんでamazonでも結構な値段がついてるので 手ごろな価格で見つけたらポチることをお薦め。先の2冊は100円以下で出てるので ハードカバーをポチというのは前に書いた通り。さて まだ読んでないのが 存在しない女たち: 男性優位の世界にひそむ見せかけのファクトを暴く キャロライン・クリアド=ペレス著だが これ誰?ってレベルである。amazonの内容説明には 公共トイレ、オフィスの温度、交通機関、税金、医療、災害現場…世界の見方がひっくり返る!王立協会科学図書賞受賞、マッキンゼー/FTベストビジネスブックオブ・ザ・イヤー ・・と書かれてるので難儀しそうではあるが。 と22ページ読んだところで既にうんざりしてるw 活字中毒だし2700円も出す気は毛頭ないので最後まで読むだろうが あかんもんはやっぱりあかんのだ。