バタバタしておりまして、すっかりご無沙汰してしまいました。今日は冬に、八ヶ岳周辺で現れる雲についてです。冬は、冬型の気圧配置と呼ばれる、シベリアやモンゴル方面に高気圧、千島列島近海に低気圧という西が高く、東が低い「西高東低型」という気圧配置が多くなります。冬型になると、日本海側は雪や雨、太平洋側は晴れという対照的な天気となり、「八ヶ岳=内陸、太平洋側だから晴れ」というイメージを持つ人が多いようです。ただ、決してそのようなことはなく、冬型の強弱や上層の寒気、谷の動向によって天気が大きく変わります。以下、冬型時に典型的な雲のパターンについて見ていきましょう。
上の写真は冬型の時に八ヶ岳を覆う雲です。冬型初日など冬型がやや強く、上層の寒気がそれほど強くないときにできます。上層の寒気があまり強くないときは、雲のてっぺんの高度が写真のように平らになり、高度が一定です。この上に安定層があります。山ではガスに覆われ、稜線では風が強くなります。ふぶく時間もありますが、降雪量はあまり多くなりません。
冬型が弱まってくると、上の写真のように、雲がまばらになり、積雲が主体となってきます。
寒冷前線が近づいてくるときや、冬型のときに、上層に強い寒気を伴った谷が接近すると、上の写真のように積乱雲が発生し、山麓でも降雪があり、稜線では暴風雪となります。稀に雷を伴うこともあります。
上の写真も同じように上層の寒気が強く、上層を谷が通過するときにできる雲です。このような雲が近づいてきたら、森林限界より下まですぐに逃げましょう。稜線では激しくふぶかれます。
文責:猪熊隆之 ※禁無断転載、無断転用