山の天気予報

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2月14日~15日の甲信地方の記録的大雪につきまして

2014-02-16 19:40:22 | おしらせ
今回の記録的大雪について考察しておきます。甲府市で120年間で最大だった1998年の49cmを2倍以上上回る114cmの記録的大雪となった今回の大雪。通常はこれほどの降水をもたらす活発な積乱雲、乱層雲が形成されるときは、ある程度の暖気の流入がなければならない訳で、標高の高い茅野や松本・軽井沢はともかく、甲府や飯田で雨に変わらずに、これほどの大雪になったのは、極めて異例のことでした。これは、低気圧の進路が大きく影響しています。通常は四国沖から八丈島付近へ東北東に進む場合が、関東甲信地方で大雪になるパターンです。これだと、降水量は長野と山梨・関東であまり差が出ず、より気温の低い、長野県中部で降雪量が多くなります。しかし、今回は、低気圧が四国のはるか沖合から、静岡県沿岸に急速に北上し、そこから関東南部沿岸へと東北東に進んだために、低気圧前面の発達した雲が山梨~関東地方に長時間かかり続けたことがこの方面の降水量を多くし、関東地方各地と山梨県で2月としては記録的な降水となりました。また、冬型に伴って南下した下層寒気が残り、甲信地方が地形的に滞留しやすかったこと、その寒気が残ったまま、低気圧が静岡県まで北上した後、東寄りに向きを変えたことにより、低気圧通過後に北風に変わって、数値予報で予想されていた南風にならなかったことなどが甲府盆地で雨に変わらなかった理由だと、私は思います。
 
それでは、気象庁や民間気象会社の予想を超える大雪になぜなったのか?
数値予報モデルでは、静岡県に低気圧が上陸後、甲信地方に抜けるという予想だったため(これは、さすがにありえないでしょう)、それに気象庁や民間気象会社の発表する気温予想値が引っ張られたことも、予想が外れた理由のひとつだと思います。また、低気圧が発達しながら東海沖を進むときに、低気圧に吹き込む冷たい北東気流、および関東内陸部の寒気滞留などを軽視していたこともあるかもしれません。予想は難しく、結果論としてはなんとでもいえますので、言いたいことを言わせていただいております。
 
地形的な影響で面白かったのは、諏訪と茅野・富士見とで雪の量が大きく異なったこと。諏訪では大雪にはなりましたが、52cmと特に異常な大雪ではありませんでした。東風が強かったため、長野県では山の東面で上昇流が強化されたことや、南岸低気圧からの発達した雪雲がかかった山の東斜面や南部で降雪量が多くなりました。軽井沢99cm、飯田81cm、松本75cm(史上1位にあと1cmの2位)などがそれを現しています。また、上層の明瞭なトラフ前面に入ったことから、低気圧が発達し、低気圧の東側(暖気側)では強い暖気の流入に伴って、関東から山梨・静岡県で降水量が多くなりました。このうち、関東では東部や南部ほど低気圧や海からの暖気の影響を受けて雨に変わる時間が早くなり、降雪量が減少、逆に雨に変わるのが遅かった群馬・埼玉県で降雪量が多く、観測史上最大の積雪、降雪となりました。また、最後まで雨に変わらなかった山梨県では、河口湖143cm、甲府114cmなど今回もっとも降雪量が多くなりました。一方で諏訪は52cmと東風が吹き下りる下降流場になったことや、南からの湿った空気が入りにくかったことなどから降雪量は他の地域に比べると少なくなりました。茅野市街で70cm、郊外80cm、原村では105cm、富士見で約120cmなど東へ行くほど積雪量が多かったのは、諏訪と原村のアメダスの降水量の比を見てもわかります。
※この文の無断転載・転用を禁じます。
 
文責:猪熊隆之
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今朝の八ヶ岳、甲斐駒

2014-02-16 08:07:32 | 日記

今朝は山麓では晴れていますが、山は雲に覆われています。新雪は1mを超えていると思われます。雪崩に厳重な警戒が必要です。

また、特急「あずさ」「スーパーあずさ」は終日運休が決まっており、JR中央線、中央高速道路もストップしたままです。

●赤岳天望荘(2722m) 西風強い 霧

最低気温-12℃ 昨日の最高-5℃ 7時現在-10℃

●八ヶ岳山荘(1502m) 晴れ

最低気温-6℃ 昨日の最高0℃ 7時現在-5℃

 

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