台風から温帯低気圧に変わり、低気圧および、そこから延びる温暖前線が接近してくるときの雲の変化を見ていきましょう。春、秋に多く見られる悪天のパターンです。
上の写真は朝7時頃の八ヶ岳西側から見た八ヶ岳の写真です。まだ、晴れていますが、上空には巻積雲(写真の中の①)が見られており、上空の大気が乱れていることがわかります。これは遠く黄海付近にある台風から変わった低気圧の影響です。水面に石を落とすとその波紋が広がるように、低気圧によって乱された空気の波紋が遠く八ヶ岳上空まで達したのでしょう。
また、②の雲は巻層雲です。この雲が全天を覆うようになると、あるいは高層雲というより低い灰色がかった雲に隠されるようになると、悪天の前触れです。
さらに、巻積雲や巻層雲が広がっているときに、③のような、低い雲(層雲)が現れると天気が下り坂になることが多いです。下層(高度2km以下)で、湿った空気が入りこんでいるときに、このような雲はできるからです。
下の写真は、上の写真の2時間後(9時頃)の写真です。空全体が薄い雲に覆われ、所々、灰色の高層雲が広がっていることがわかります。また、八ヶ岳山腹に見られた雲はさらに上昇して厚みを増しています。温暖前線が確実に近づいている証拠で、このようになると、雨が降り出すのは数時間後になります。
さらに、数時間後(14時頃)になると、高層雲は乱層雲に変わり(下の写真)、八ヶ岳の稜線を覆うようになります。雨が降り出しました。
温暖前線の構造を見てみると、前線から遠いところから巻雲、巻層雲(巻積雲)、高層雲、乱層雲となっております。まさに、この日の雲の変化そのものです。このように、雲の変化を見ていくことで、低気圧や温暖前線の接近を知ることができます。上層だけでなく、下層の雲の広がり具合もポイントとなります。
参考までにこの日の9時の天気図を掲載しておきます。
観天望気27にも同じような天気変化を記載しておりますのでご参考までに。http://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/d0b6e2d7009263454b561a0b61b61f6c?fm=rss
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文責:猪熊隆之