今日は先日見られた雲について解説します。この日は冬型の気圧配置となり、佐渡沖にある低気圧が弱まりながら南下している状況でした(下図参照)。
この低気圧は上層に寒気を伴っており、日中は地面付近で気温が上昇したため、大気が不安定になりました。
大気が不安定なときに現れる雲は、積雲、積乱雲です。
上の写真で緑色の囲みが雄大積雲です。冬の場合は、雄大積雲や積乱雲の高度が夏に比べて低いのが特徴です。高度が低くても、気温が低い冬場は雲の中に氷晶や過冷却水滴(0℃以下でも凍らない水滴)があり、これらが雪やあられの形成に大きく寄与します。この雲は発達すると、雲底が濃い灰色になっていきます(青い囲み)。
緑の囲みや青の囲みからは赤い囲みの中に見られるカーテンのような白っぽい部分が見られます。これは落ちている雪です。この程度の雲の高さでも雪を降らせることができます。
続きまして、下の写真では、灰色の雲が列になって並んでいるのが見られます。これはロール状対流といって、地面付近と上空の気温差が大きく、風が強いときにできる雲です。最初は単体の積雲だったものが、風に流されて列のようになっています。この雲は山岳地帯では地形の影響でできにくいのですが、ちょうどこの雲の下は諏訪湖があり、比較的平らなことから、ロール状の雲ができたと見られます。
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文責:猪熊隆之