さて、大変お待たせしましたが、観天望気講座71の答えと解説を発表させていただきます。
問題は、上の赤い囲み線の中にある雲がどうしてできたのか、ということでした。
そのときの天気図が上図です。日本海に高気圧があります。このようなとき、高気圧の南側では、高気圧から吹き出す北東の風が吹きます。
ところが、中部山岳では地形の影響により、風向きが変わります。ひとつは、千曲川沿いに長野方面から松本、さらに諏訪方面へ抜けていく風。もう一つは、関東山地を越えて甲府盆地から南東に吹いてくる風です。八ヶ岳西麓ではこの二つの風がぶつかり合って上昇気流が発生し、写真のような帯状の雲ができました。
この時間帯のアメダス(上図)を見ると、赤丸で囲った部分、左側の諏訪では北西風が吹いているのに対し、右側の原村では南東風が吹いています。この間で風が収束し(ぶつかり合い)、上昇気流が発生したことが分かります。この風がぶつかり合う場所がどこになるかによって、雲の発生する場所が異なり、大気が不安定なときは、雷雲が発生する場所を決めるひとつの要因となるのです。
※天気図、アメダスは気象庁ホームページより
※図、文章、写真の無断転載、転用、複写は禁じる。 文責:猪熊隆之