山の天気予報

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猪熊隆之の観天望気講座154

2020-06-24 20:25:54 | 観天望気

~雨が降る直前の雲~

雨が降る気配というのは、何となくわかるときがありますね。ジメットした空気やひんやりとした空気を感じたりすると、その後にザーっと降ってきたりすることがあります。空に暗い雲が広がってきたりすると、雨が降りそうだなと思います。その暗い雲が広がっているときに、あることが起きると雨はもう間もなく降りだします。その”あること”を紹介しましょう。

ひとつ目はちぎれ雲です。正式には断片積雲(だんぺんせきうん)とか断片層雲(だんぺんそううん)などと呼びます。文字通り、雲がちぎれたように浮かんでいる雲のことです。

写真1 ちぎれ雲

厚い高層雲(こうそううん、別名おぼろ雲)などの暗い感じの雲に覆われているとき、その雲の下にちぎれたような雲が現れることがあります。上の写真で赤い線で囲んである雲です。この雲は、下層(地面に近いところ)に湿った空気が入ってきて、その空気が山の斜面などで上昇してできる雲です。雨が近くなると、地面に近い所の空気も湿ってくるため、このような雲が現れやすくなります。

写真2 ちぎれ雲が上へ延びていく

ちぎれ雲が写真2の赤色の線で囲んだ雲のように、上の方に延びていくことがあります。これは上昇気流が強いことを示していて、普通の雨が降るのではなく、落雷や強雨、降雹などの激しい気象現象をもたらす可能性があります。より注意が必要な雲です。

写真3 雲の底から下へ尾のようなものが現れる

また、写真3の緑色の線のカコミ部分のように、厚い雲の底から下に延びる尾のようなものが現れることがあります。これは雲粒同士が合体してどんどん大きくなり、重くなった雲粒が下に落ち始めていることを示しています。雲の中は上昇気流が起きているのですが、雲粒が成長して大きくなると、上昇気流に逆らって落ちていくようになります。これが地面に到達すると、雨になりますので、雨になる直前の現象ということになります。写真3の雲は真っ暗ですね。こんなまっくろくろすけの雲に覆われたら、落雷や激しい雨、突風、ひょうなどの気象現象が起きる可能性がありますので、すぐに安全な場所に避難しましょう。

文、写真:猪熊隆之(株式会社ヤマテン)

※図、写真、文章の無断転載、転用、複写は禁じる。

 


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