今日はジェット気流に伴ってできる雲を紹介します。ジェット気流とは、上空を吹いている偏西風と呼ばれるに西風がもっとも強く吹いているところです。春・秋には高度10~13kmほどの高さを吹いていることが多いです。ジェット機が飛んでいる高度ですね。風は温度差によって発生するので、風が強いところは上空の温度差が大きいことを意味しています。また、密度差が大きいところも多く、その場合、雲がさまざまな形に変化します。したがって、ジェット気流が上空にあるときは、面白い雲ができることが多いのです。
上下にある2つの写真のAがジェット気流に伴う雲です。いずれも巻雲と呼ばれる氷の結晶でできている、上空もっとも高いところにできる雲です。この図の左が北東、右が南西の方向ですのえ、上の写真は北から南方向へ、下の写真は北西から南東方向へ雲が流れており、蒸発しながら消えています(猪熊隆之の観天望気21を参照)。したがって、いずれも晴れ巻雲です。ジェット気流は、上空高いところを吹いているので、巻雲がさまざまな形に変化することが多くなります。また、波状雲と言って、空気が乱れていると、波を打ったような美しい雲ができます。下の写真は雲が幾筋にも並んでいて波状雲になりかかっている感じです。
ただ、Bの雲を見ると、雲はAとは違った方向へ流れており、この雲はより低いところにある中層の雲なので、中層では東よりの風が吹いていることがわかります。Cを見ても南アルプス(写真右奥)や甲府盆地側(写真奥)に低い雲がかかっており、上の写真のCを見ると、南東方向から雲が侵入して八ヶ岳にぶつかって上昇していることがわかります。したがって、下層でも東から湿った空気が入ってきていることが分かります。このように上層と下層とで風向が違うことを雲のケンカといい、低気圧や台風が接近してきているときによく起きるので、悪天の兆しと言われてきました。
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