さて、マニアックな話で疲れたと思いますので、観天望気に戻りましょう(笑)。
南岸低気圧の空の変化についてです。
南岸低気圧の接近時には、巻雲→巻層雲→(巻積雲)→高層雲→乱層雲(雨、雪降り出す)という雲の変化が一般的ですが、
今回は巻雲→高層雲は夜間に変化してしまったので、高層雲に覆われたときの状態から見ていきます。
高層雲に覆われても、それが一時的な上層の谷の通過に伴うものだったり、はるか南海上にある前線に伴うものだったときは天気が崩れません。
例えば、第82回(下記URL)は南海上を離れて南岸低気圧が通過したパターンです。このときは、天気が崩れませんでした。
http://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/6c6d0340165e14e1ca22d56973bb3f38
写真1 高層雲に覆われた八ヶ岳山麓
上図を見てみましょう。写真奥(八ヶ岳の方向)は東の方角です。右は南~南東になります。
空は高層雲が一面に覆っているものの、太陽がおぼろげに見えてまだ明るい感じです。
この状態から天気が悪化するのは
1.下層に別の雲がどんどん湧いてくる。
2.おぼろげに見えていた太陽が完全に隠れる
この2つの特徴が見られたら、雨や雪は近いと思ってください。
1.の下層に雲が湧いてくるのは、地面に近い所に湿った空気が流れ込み、それが山に上昇することによって雲ができるからです。
今回のように南岸低気圧が接近すると、南東風が八ヶ岳山麓では吹きます。南東側には甲府盆地があり、甲府盆地は太平洋からの湿った空気が富士川に沿って入り込んできます。その湿った空気が八ヶ岳にぶつかって上昇していくと、この雲ができます。この雲は八ヶ岳やその周辺で天気が崩れていくひとつのサインです。
この低い雲がどこにできるのかは山によって異なります。海からの湿った空気が入ってくる方向なりますので、その山と海との位置関係を地図から、天気図から風向をチェックしましょう。
写真2 太陽が完全に隠れた高層雲とちぎれた低い雲
2.の太陽が隠れていくのは高層雲が厚くなって乱層雲に変わっていくときの特徴です。次第に暗い感じの雲になっていくのですぐにわかるでしょう。太陽が見えているか、見えていないのかで雲の厚みが分かります。さらに、山に関係のない場所でちぎれた雲が出来てくると雨近しです。
写真3 山では雪が降り、厚い雲に覆われる
写真4 里でも雪が降り出す
このように、高層雲の変化と下層の雲のでき方から今後、雨が降るのか降らないのか予想してみましょう。
ご参考までに2014年の甲信・関東内陸の記録的豪雪時の雲変化は下記のURLでご確認いただけます。
http://blog.goo.ne.jp/yamatenwcn/e/d0b6e2d7009263454b561a0b61b61f6c
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写真、文責:猪熊隆之