ジェット気流とは、ジェット機が飛ぶような高い空を吹いている強風帯のことです。風は南北で温度差が大きい所で吹くので、ジェット気流は、夏と秋の境目や、秋と冬/冬と春/春と夏など、季節の境目に現れることが多くなります。
今回、信州から名古屋へ向かう特急「しなの」の車窓からこの雲が見られました(写真1)。放射状に列を成して空に延びていて、鳥の羽根のような、なんとも美しい雲ですね。こういう雲を見かけると、「どうしてできたんだろう?」と山岳気象予報士としてはツイツイ調べたくなります。
写真1 車窓からジェット気流に伴う巻雲(けんうん)が見られた。
さて、ジェット気流の存在は、200hPa面(高度約11,500m)や300hPa(高度約9,300m)の天気図で見ることができます。今回は、300hPa面の天気図で見てみましょう。
図1 300hPa面の天気図
上図で、紫色の網かけの中で、色が濃い所がジェット気流がある所です。日本付近で2本に分かれており、ひとつは山東半島から朝鮮半島、日本海北部へと西から東に流れており、もうひとつは対馬海峡付近から瀬戸内海、名古屋方面へと流れています。暖かい空気は冷たい空気の上を緩やかに上昇していくため、赤い等温線を横切るように、気温が高い所から低い所へ風が吹いている場所では、上昇気流によって雲ができやすくなっています。特に、ジェット気流付近のように気温差や密度差が大きい所では、気流が乱れるので、色々な形の雲が見られやすいんです。ジェット気流によってできる雲をジェット巻雲と言います。
そんなエリアを飛行機が飛んでいるときは、飛行機が揺れます。客室乗務員が「気流が乱れているところを飛んでいますので、シートベルトをお締めください。」などというときがそれですね。飛行機が揺れるときは、窓から雲を見ると、面白い雲が見られるかもしれませんよ。
山の天気予報は、ヤマテンで。