この情報は2020年5月23日に発表したものを一部修正しています。
平素より「山の天気予報」をご利用いただき、まことにありがとうございます。
この度、新型コロナウイルス感染症(COVID-19、以下新型コロナ)に罹患された方々には謹んでお見舞い申し上げますとともに、一日も早い回復と事態終息をお祈りいたします。 また、医療関係者など新型コロナ対策に尽力していただいている皆様に心より感謝申し上げます。
皆様が外出自粛にご尽力いただいた結果、新型コロナ感染者は減少傾向にあります。そのため、緊急事態宣言は5月14日(木)に39県で、5月21日(木)に関西3府県で、5月25日(月)に首都圏と北海道で解除されました。これを受けて、登山活動の自粛を要請していた山岳四団体は、緊急事態宣言が解除された府県においては、「県を横断する山岳スポーツ活動についても、多人数での登山を控えるなどの慎重な行動をお願いいたします。」という条件付きで登山活動を認める方針に変更しています。ヤマテンとしてもこの方針を支持します。詳しくは下記URLをご参照ください。
https://jac1.or.jp/event-list/event-guide/202005188094.html
しかしながら、新型コロナがなくなった訳ではなく、感染リスクがあることには変わりありません。登山活動はそもそも、色々なリスクを包括する行為でもあります。今後は、従来からあるこれらのリスクに加えて、新型コロナの感染リスクについても考える必要があります。そこで、ヤマテンでは、登山の再開にあたって、「人に感染させない」、「人から感染しない」ための以下のご提案をさせていただきます。
登山再開にあたってのご提案
1.少しでも体調に不安を感じるときは登山をしない
発熱があるときや、咳が出るなど体調に少しでも不安を感じるときは、登山を中止しましょう。
2.県をまたぐ登山はしばらくの間、自粛しよう
少なくとも緊急事態宣言が全都道府県で解除されるまでは、県をまたぐ移動は自粛しましょう。身近な場所にある山や自然を知る良い機会です。解除後は、それぞれの都道府県の方針に従っていただくよう、ご協力をお願いします。
3.軽めの登山から開始しよう、混雑する山や日程は避けよう
長期間、登山をおこなっていなかった方も多いと思います。いきなり、体力的、技術的に厳しい山に挑戦するのは危険です。軽めの山から徐々に再開しましょう。また、混雑する山や連休中などは飛沫感染やエアロゾル感染のリスクが増すため、できるだけ人混みの少ない山や日程を選ぶようにしましょう。
4.少人数での登山を心がけよう
密を作らないため、ソーシャルディスタンスを守るために、少人数での登山を心がけましょう。
5.安全登山を心がけよう
これは新型コロナに関わらず、いつも心がけなければならないことですが、新型コロナへの対応などで尽力している医療関係者の方に迷惑をかけないためにも、救助を求めることで救助隊の皆様に感染のリスクを負わせないためにも、これまでに増して山での怪我や事故に対しては私たちの予報も活用していただきつつ十分な注意を行い、安易な救助要請も控えるようにお願いします。
6.マスクの持参、手洗い、アルコール消毒をしよう
山小屋の中など閉鎖された空間では、マスクを必ず着用しましょう。また、咳やくしゃみをしたくなったとき、登山者とすれ違うときは必ず、着用するようにしましょう。登山中は熱中症のリスクが高まるため、ソーシャルディスタンスを保てる場合には外すようにしましょう。
水場や沢など手が洗える環境がある所では必ず、手洗いをしましょう。また、手が洗えない環境も多いと思います。必ず、アルコールジェル(60%以上)を持参して、手が洗えない環境ではそれで消毒をおこないましょう。
7. ソーシャルディスタンスを守ろう
友人同士でも必ず守りましょう。また、山小屋や避難小屋、テント内で密を作らないようにしましょう。山小屋は個室対応や消毒、換気をおこなっているなど感染症対策をしっかりとおこなっている所を選びましょう。テントはなるべく他のテントとの距離を空けて設営しましょう(営業していない山小屋や、設営が許可されていないテント指定地は沢山あります。必ず事前にご確認ください)。
8. 移動中の密に注意しよう
電車の中では必ずマスクをし、席を選べるタイプの座席を予約し、なるべく他の予約者から遠い席を取ることをおすすめします(ただし、直前に予約が入る可能性もあります)。また、マイカーの場合には、車の中でもマスクを着用し、大声での会話はなるべく控えましょう。途中で、パーキングエリアやコンビニに立ち寄る際もマスクや手洗いをするなど感染対策を徹底させましょう。
9. 山小屋や交通機関などの営業情報の確認をおこなおう
山小屋や地域によって、営業再開の時期が異なります。必ず山小屋の営業や交通機関の運行状況を確認していきましょう。山小屋が営業されていない場合、テントの設営もできない所が多いです。テント泊を予定されている方も必ず、山小屋のホームページで確認していただき、許可されていない場所に張らないようにお願いします。また、駐車場が閉鎖されている所もありますので、その確認も必要です。温泉施設も営業をおこなっていない所や時間短縮で営業をおこなっている施設、県内(市内)居住者限定の施設もありますのでご注意ください。
10. 山小屋のルールに従いましょう
山小屋は密になりやすい空間ですので、山小屋の方で感染症対策のルールを作っています。また、宿泊者を制限するために、完全予約制になっている所が多いです。事前に必ず、山小屋へ確認するようにお願いします。
なお、国際山岳医の大城和恵先生が代表を務める山岳医療救助機構が「登山再開に受けた知識(計画と準備編)」及び、「登山実践編」についてまとめています。以下のURLでご確認いただけます。
計画と準備編 https://sangakui.jp/data/wp-content/uploads/tozan_knowledge_covid19_prepplan_ver.1URLQR.pdf
登山実践編 https://sangakui.jp/information/post-1698/
Team KOIでも登山再開に向けての指針を発表しています。 https://www.yamakei-online.com/yama-ya/detail.php?id=1046
長野県では入山注意情報が発令中です。下記情報を必ずお読みください。
https://www.pref.nagano.lg.jp/kankoki/sangaku/index.html
新型コロナを新たなリスクとして考えなければならない中で、人に感染しない、させないための登山活動をおこなうことが大切です。ご協力をお願いします。
株式会社ヤマテン
代表取締役社長
猪熊隆之