18きっぷで会いに行く『日本製』第17弾は京都府。
伝統工芸を継承する6人によるプロジェクトユニット『GO ON(ゴーオン)』。
その中から今回は、金網つじ、朝日焼、開花堂の3工房とKaikado Cafeを訪ねた。
JR京都駅から、京都タワー、東本願寺を横目に徒歩10分、まずはKaikado Cafeへ。
市電の車庫兼事務所だった建物をリノベーションしたというカフェ。
『GO ON』の6名の作品が、実際のカフェで使われている場所でもある。
今回訪ねる工房の他「中川木工芸の木工品」「公長齋小菅の竹かご」「細尾のカーテン」等。
中川ワニさん監修で焙煎された珈琲が本当に美味しかった。ブルーのカップも素敵。
カフェから徒歩7分の所に、茶筒で有名な「開花堂」さんがある。
茶筒のつなぎ目を合わせて外蓋を被せると、スーと滑り落ちる様に蓋が閉まる。
世界最大規模の家具の見本市「ミラノサローネ」では、100年前の茶筒を先頭に
100個の同じ茶筒を並べたという。案の定、海外でも多くのファンを獲得していると。
更に、開花堂から徒歩30分弱、高台寺一年坂の「金網つじ」を訪ねた。
金網を、「手編み、網の加工、曲げ」で作る伝統的な京金網の店は、
大量生産が可能で安価な工業製品に押され、今では数件しか残っていないという。
京金網は、主に京料理の調理道具として使われてきたが、網の真ん中に菊出しという菊の模様を
編み込んで”影で花を添える”とし、脇役の道具の中にも磨き上げられた職人技が凝縮されている。
京都駅に戻り、JR奈良線で宇治駅に移動。宇治駅から徒歩15分、朝日焼を訪ねた。
宇治川の畔に建つ「朝日焼」は、400年にわたり作陶を続けているという古い窯元。
朝日焼では、陶器用の土は自分達で掘るのが習わしで、その土を50年寝かすという。
今使っているのは50年前の土で、寝かした土は柔らかくなり使いやすいという。
工房の奥には、一四世築窯の「玄窯(げんよう)」と名前の頂いた登り窯がある。
窯は神聖な場所で、焚く前は蝋燭を灯し皆で祈り、その火を窯に入れるという。
400年も続く窯元を守り続けるという事は、そいう些細な事を疎かにしない事
「GOON]を通して、変えてはいけないものが何なのかを考えるようになったという。
この貴重な登り窯を、思いがけなく見学させて頂けた私は幸運で、感謝でしかない。
数年前に出来たというショップ&ギャラリーには、茶室や朝日焼の作品がずらり。
縁側で、大きな宇治川を眺めながら、暫し物思いにふけれる癒しの空間でもあった。
「日本製」の47番目を飾った京都で、伝統工芸を伝承しつつ海外にも挑戦する
皆の姿にたくさんの刺激を貰いながら、自分も受け継いだものを伝えたいと感じ、
連載開始直後からの夢がかなった濃密な一日だったと三浦氏は感想を書いている。