風の雑記帳

平凡でもかけがえのない毎日が過ぎていく。
風景や触れ合い、心の断片を切り貼りして綴ってみる。

長野県 23/47

2024年11月10日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第23弾は、長野県大町市。

JR大糸線、信濃常盤駅から徒歩15分、老舗ギターメーカー「フジゲン」さんを訪ねた。

ショップでもあればと伺ったが無く、見学も限られた日のみで、外から写真だけ撮らせて頂いた。


 

こちらでは、自社ブランドの「FUJIGEN」や「FGN」の開発・製造の他

世界的なブランドのOEM供給も手掛けるフジゲンのメインファクトリーである。

 

創業当初はクラシックギターを生産していたが、間もなくエレキギターにシフト。

現在は、エレキギター、ベース、ウクレレの生産を展開しているという。

 


 

電車からも見えるが広い工場敷地、エレキギターの製造は3つの工程に分かれるという。

木材の加工、塗装、最終的に部品つけて命を吹き込むアッセンブルの作業と。

大町工場で一日に作られるエレキギターは約80本、同じ型のものばかりではなく

様々なモデルのギターが同時に作られることを考えると、その数は少なくはない。

 

世界中から良い木材を買い付け、木の乾燥に3か月もかける、良い楽器を作るための

徹底ぶりがそれぞれの工程にあって、単純作業というものが殆ど無く手間暇かけている。

私はギターに縁はないけれど、そんな物作りの現場を見学出来たら良かったのに、残念。

 

   

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福井県 22/47

2024年10月22日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第22弾は、福井県鯖江市。

眼鏡フレームの国内生産95%のシェアを超える、眼鏡の産地であり聖地の鯖江市で

1984年創業の、眼鏡フレーム企画デザイン会社「ボストンクラブ」さんを訪ねた。




JR敦賀駅から市電ハピラインふくい線に乗り換え武生駅下車、更に少し歩き、たけふ新駅から

福井鉄道福武線に乗り換え神明駅下車、徒歩5分の所に「ボストンクラブ」さんはあった。

    

 

鯖江は昔貧しい村で、元々繊維産業はあったが、当時の村長だった方が冬に家の中でも

出来る軽作業という事で、眼鏡作りを始めたとのこと。

 

世界3大眼鏡産地と呼ばれる中でも、イタリアはデザインとブランド力、中国は安さ

鯖江は圧倒的に品質の高さで知られており、チタンの加工もあるレベル以上のものは

今でも鯖江でしか作れなく、国内外からアイウェアに関する相談が舞い込むという。

 

 

映画「マトリックス」のキアヌ・リーブスがつけていたと同じサングラスも見せて頂いた。

「マトリックス」に関しては、監督からの依頼で全役者用の眼鏡をデザインしたという。

 

 

2000年ぐらいまでは右肩上がりで成長したが、それ程の技術力があっても

リーマンショック、円高、震災などの影響もあって現在は全盛期の半分ぐらいになったと。

これからは、まだ鯖江の眼鏡作りの技術を知らない人にも発信して行くプロジェクトを立ち上げ

2018年には、行政との取り組みでその年の市内の新成人全員に鯖江で作った眼鏡を贈呈。

 

  

 

伝統的な高い技術力だけではなく、スマートグラスという眼鏡型ウエアラブ端末の開発も進み

眼鏡部分に着脱可能なデバイスをつけられる構造にし、片目で映像を見られる製品だという。

 

「ボストンクラブ」さんのビルの側には公園があり自然豊か、メガネ型のベンチもあった。

 

   

 

記念に、フレーム用アセテートという生地で作った「県」のキーホルダーを買ってきた。

恐竜の町福井なので、可愛い恐竜のキーホルダーもゲット、付いてる小さな眼鏡も可愛い。

  

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滋賀県 21/47

2024年10月14日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第21弾は、滋賀県高島市。

110年以上にもわたり和ろうそくを作り続けている「大與(だいよ)」さんを訪ねた。

琵琶湖の西を走るJR湖西線、近江今津駅から徒歩5分、老舗ろうそく店さんはあった。

 


 

 

主に四国や九州で生育するウルシ科落葉小高木の”櫨”100㌫が原料の和ろうそく。

下のザルの中にあるのが櫨(はぜ)の実で、この実からろうを搾り取るという。

櫨のろうそくは匂いも無くススが出にくく、燃焼の際に垂れるろうが少ないのが特徴。

 

 

私達が普段使っているろうそくは、石油由来のパラフィンを原料とする洋ロウソクとのこと。

ロウソクは火の熱で溶けたろうを芯が吸い上げて燃焼するが、洋ロウソクは浸透力が高く木綿の糸

でも吸い上げられるが、浸透力の低い植物由来の和ろうそくは、太い芯でないと吸い上げられない。

しかしその分空気をよく含み、和ろうそく特有のしっかりとした少々の風では消えない炎になるという。

 

4代目大西社長さんの代からは、米ぬかのろうそくにも力を入れる様になったという。

米ぬかのろうは燃焼の質もよく勿論純植物性で、希少性が高く高価な櫨のろうに比べて

入手しやすく比較的安価に抑えられるため、和ろうそくの入門編にはうってつけという。

その名も「お米のろうそく」は、2011年グッドデザイン賞及び中小企業庁長官賞を受賞。

また和ろうそくの基本色は白と赤だが、4代目からはカラフルなものも作るようになったと。

 

    

 

私も一日の始まりには必ずろうそくを灯しお線香をあげる日々、亡き人へ手を合わせ祈る時、

こんな自然の恵みを生かしたろうそくを灯し手を合わせ祈ることが出来たらと、自宅用に購入。

私が購入した豆サイズのほかにも、現代風に素敵なパッケージや色やサイズの商品が並んでいた。

 

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山梨県 20/47

2024年10月11日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第20弾は、山梨県都留市。

富士山の湧水で完全無農薬でわさびを育てている「菊地わさび園」さんを訪ねた。

 

 

JR中央本線大月駅から市電富士急行線に乗り換え、東桂駅から徒歩14分、

住宅地を過ぎ、未舗装の道を下って行くと菊地わさび園さんはあった。

    

 

この土地で、100年前からわさび園を営む3代目菊地さんが案内して下さった。

富士の湧水でわさびを育てているところは他にもあるが、完全無農薬はここだけとのこと。

無農薬に切り替えたのは26年位前、初めは青虫が大量発生して難儀したとのこと。

そのうち生態系が変化して、益虫が害虫からわさびを守ってくれるようになったという。

 

この場所から少し山に登れば、水の湧き出るところに種が舞って野生のわさびが育っていて、

何もしないのに青々と元気に育っていることが、自然農法に切り替える手本になったという。

 

 

およそ10キロの所に富士山があって、噴火から10~15年かけて此処に水が湧きだしたという。

暑さには弱いので日よけの寒冷紗をかけているが、水温は一年を通して常に12℃に保たれる為、

多年生草木のわさびは一年中の栽培が可能で、真冬でも水は凍らず雪は降ってもすぐ融けるという。

 

   

 

わさび棚は勿論、道路脇の斜面からも富士山からの湧水が流れ出ていて、水の豊かさが分かる。

 

   

そのわさびを使って無添加で作られたわさび漬け、これは美味しい!やみつきになる!

また山梨なので、ほうとう御膳も頂いて来た、これまた美味しかった。また行きたい。

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富山県 19/47

2024年10月06日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第19弾は、富山県。

私のずっと憧れでもあった日本最大級のダム、黒部ダムに行ってきた。

JR長野駅からバスで1時間45分扇沢駅到着、そこから電気バスで16分、黒部ダムへ。

 

 

その日は朝から雨で、長野駅東口25番乗り場には雨にもめげず大勢の人が並んでいた。

全てネットでの予約が必要だったが、一台では足りず急遽もう一台追加での出発となった。

 

 

扇沢駅に着いても雨は止まず、雨の中の観光を覚悟する。

  

 

黒部ダムは、長野県側と富山県側から行くことが出来る。

富山県側からは、鉄道、ケーブルカー、高原バス、トロリーバス、

ロープウェイ、更にケーブルカーと乗り継がないとたどり着けない。

その点長野側ルートは、自力で扇沢駅まで車で行くこともできるし便利である。

 

1955年当時、関西では工場で週2回、一般家庭でも週3回は停電していて、

関西に電力を安定供給するという強い使命からダム建設は決断されたという。

 

ダムの資材輸送路として作られた関電トンネルは、今はダム見学の電気バスの通り道。

 

トンネルを掘り進めて間もなく、大量の地下水を溜め込んだ軟弱な地層「破砕帯」とぶつかり

大量の土砂と約4℃の冷たい地下水が噴き出し、僅か80m掘り進めるのに7か月もかかり

困難を極めたという。破砕帯がなければ10日で掘り進められる距離であったという。

破砕帯の場所は、トンネル内でブルーライトに照らされ分かるようになっているが、

一瞬であり自分のカメラでは上手く撮れなかったので、絵葉書を載せておく。

 

1956年6月のくろよん建設開始から7年、513億円の費用、延べ1000万人の人手

171名の尊い犠牲を払い1963年に黒部ダムと黒部川第4発電所が完成し電力供給開始。

 

電気バスを降りると、ルートは二通り。右は220段の階段、左はスロープで5分。

 

勿論私は右側へ。途中、破砕帯の湧水を飲みながら、階段を駆け上がる。

     

 

いよいよ地上へ!!

驚いたことに、あれほど降っていた雨が止んでいるではないか!!

もう、見るものすべてが絶景!感動!

      

 

 

コンクリート運搬用バゲットと滑車、直径100ミリのケーブル。

ダムの両側から張り渡されたケーブルにバケットを吊り下げて

延べ17万8千回もコンクリートを運んだという。

 

 

 

ダム見学は奇跡のように雨が止んで、急な階段も心配なく降り観終えることが出来た。

いよいよレストハウスでお昼ご飯。

勿論、クリーンカレーとロースカツセット。

 

 

ご飯を食べているうちに、また雨が降りだした。扇沢駅はまた雨の中。

 

扇沢駅でバス待ちをしている間に、名物駅員さんが何気に宣伝していた駅弁を買ってみた。

ダムの観光放水は、6月下旬から10月中旬までとのこと、いつか紅葉の頃に再訪したい。

ダムレストハウスでソフトクリーム食べてくるの忘れたし、くろにょんにも会いたいし。

   

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新潟県 18/47

2024年10月04日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第18弾は、新潟県。

今回訪ねたのは、アウトドアメーカー「snow peak」と同社が運営するキャンプ場。

 

JR弥彦線 燕三条駅から出る「燕三条・下田アウトドアライナー」に乗り45分。

小高い丘の上に広がるキャンプ場、木とコンクリートの斬新な社屋が待っていた。




  

 

世界有数の金属加工産業の地として有名な燕三条市であるが、

snow peakの製品は燕三条の技術力がなければ作れなかったものも多いという。

全面ガラス張りのストア、管理棟には、その製品も所狭しと並ぶ。

道具も今やお洒落で高機能。200年は変わらないものを作るのが夢という。

 

   

 

またここは、キャンプ用品を持たずとも、身一つで訪れても過ごせるスパや

コテージ等もあり、用品の貸出、管理整備等も充実しているキャンプ場である。

 

 

昔、子供が小さかった頃、友達家族とよくキャンプに出かけたことを思い出した。

山登り、アウトドアしかり、スノーピークの担当者曰く「自然の中で生活していると、

精神的に強く、自分をコントロールする力や判断力も付くようになる」という。

今回私は短時間の見学だけだったが、いつかバンガローでも借りて過ごすのも有りかも。

 

 

 

このsnow peakを訪れる前に、『裏・日本製』で紹介された燕三条市の物産館を訪ねた。

 

金属加工製品が所狭しと並んでいて、見ていても飽きない。

手ごろなものから高価なものまで揃っていて、私も記念になるものを探した。

 

   

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京都府 17/47

2024年05月01日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第17弾は京都府。

伝統工芸を継承する6人によるプロジェクトユニット『GO ON(ゴーオン)』。

その中から今回は、金網つじ、朝日焼、開花堂の3工房とKaikado Cafeを訪ねた。

 

JR京都駅から、京都タワー、東本願寺を横目に徒歩10分、まずはKaikado Cafeへ。

市電の車庫兼事務所だった建物をリノベーションしたというカフェ。

『GO ON』の6名の作品が、実際のカフェで使われている場所でもある。

今回訪ねる工房の他「中川木工芸の木工品」「公長齋小菅の竹かご」「細尾のカーテン」等。

 

中川ワニさん監修で焙煎された珈琲が本当に美味しかった。ブルーのカップも素敵。

   

 

 

 

カフェから徒歩7分の所に、茶筒で有名な「開花堂」さんがある。

茶筒のつなぎ目を合わせて外蓋を被せると、スーと滑り落ちる様に蓋が閉まる。

世界最大規模の家具の見本市「ミラノサローネ」では、100年前の茶筒を先頭に

100個の同じ茶筒を並べたという。案の定、海外でも多くのファンを獲得していると。

 

 

 

 

更に、開花堂から徒歩30分弱、高台寺一年坂の「金網つじ」を訪ねた。

金網を、「手編み、網の加工、曲げ」で作る伝統的な京金網の店は、

大量生産が可能で安価な工業製品に押され、今では数件しか残っていないという。

   

 

京金網は、主に京料理の調理道具として使われてきたが、網の真ん中に菊出しという菊の模様を

編み込んで”影で花を添える”とし、脇役の道具の中にも磨き上げられた職人技が凝縮されている。

 

 

 

京都駅に戻り、JR奈良線で宇治駅に移動。宇治駅から徒歩15分、朝日焼を訪ねた。

  

宇治川の畔に建つ「朝日焼」は、400年にわたり作陶を続けているという古い窯元。

朝日焼では、陶器用の土は自分達で掘るのが習わしで、その土を50年寝かすという。

今使っているのは50年前の土で、寝かした土は柔らかくなり使いやすいという。

 

工房の奥には、一四世築窯の「玄窯(げんよう)」と名前の頂いた登り窯がある。

  

窯は神聖な場所で、焚く前は蝋燭を灯し皆で祈り、その火を窯に入れるという。

400年も続く窯元を守り続けるという事は、そいう些細な事を疎かにしない事

「GOON]を通して、変えてはいけないものが何なのかを考えるようになったという。

この貴重な登り窯を、思いがけなく見学させて頂けた私は幸運で、感謝でしかない。

 

数年前に出来たというショップ&ギャラリーには、茶室や朝日焼の作品がずらり。

縁側で、大きな宇治川を眺めながら、暫し物思いにふけれる癒しの空間でもあった。

   

「日本製」の47番目を飾った京都で、伝統工芸を伝承しつつ海外にも挑戦する

皆の姿にたくさんの刺激を貰いながら、自分も受け継いだものを伝えたいと感じ、

連載開始直後からの夢がかなった濃密な一日だったと三浦氏は感想を書いている。

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大阪府 16/47

2024年04月21日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第16弾は、大阪府大阪市。

JR大阪環状線、新今宮駅から徒歩10分、「えべっさん」と呼ばれ、

地元では、商売繁盛の神様で親しまれている今宮戎神社を訪ねた。

 

 

毎年1月9日から11日にかけて開催され、七福神の一柱でもあるえびす様に

商売繁盛を祈願するお祭り、「十日戎(とおかえびす)」で有名な今宮戎神社。

 

えびすの”え”は入江の江、”び”は昔の言葉で神様、”す”はそこにおられるという意味で、

「海の近くにおられる神様」というのがえびす、だから手に釣り竿と鯛を持っておられると。

今でこそ高層ビルに囲まれているが、昔は社務所の裏手は海だったのだという。

 

 

十日戎の時は、地面に敷かれている砂利や木の鉢は全部取り払い、何もない状態にするという。

何故なら、大勢の参拝客が、全部外に砂利を引きずって行ってしまうからだという。

 

 

 

しめ縄がかけられているこちらは、本殿の裏手。

えびす様は耳が遠いので、正面からだけでは聞いてもらえないかもしれないという事で

念押しで裏からもお詣りするという風習があり、裏からも参拝できるようになっているという。

 

 

七福神は、えびす、大黒天、布袋、寿老人、福禄寿、弁財天、毘沙門天で、

えびすだけが日本の神様で、”天”が付くのはインドの神様、他は中国の神様という。

 

 

えびす様には、海に流されて遠くに行き苦労して立派な人になって帰って来たという言い伝えがある。

きっと中国に渡って、中国から帰ってくるときに他の国の神様と一緒に宝船に乗って来たのではないかと。

 

 

「今日一番心に刺さったのは、えびす様が外国に流されたというお話で、

ほかの国を見てほかの国の人と触れ合うことは絶対にやるべきだなと。

だから僕もいつの日か・・・流されようと思います!

本当にいいインスピレーションをもらいました!」三浦氏

 

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千葉県 15/47

2024年01月31日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第15弾は、千葉県香取市。

JR成田線小見川駅からバスで18分、バス停から徒歩1分弱。

160年以上の歴史を持ち生産量全国一位の千葉県の「ちば醤油」さんを訪ねた。

 

工業団地内にある「ちば醤油」さん、残念ながら工場見学は出来ず、外見だけの見学となった。

 

  

 

醤油の製造過程は、大きく四つの工程があるという。                      

① 製麹(せいさく)。麹室という部屋で蒸した大豆と炒って細かく砕いた小麦に麹菌を混ぜて「麹」を作る。

部屋は湿度100%、温度30℃に保たれており、二日ほどで麹が出来上がるという。       

      

② 仕込み。古い木桶が並ぶ仕込み蔵で、麹室で作られた麹と塩水を混ぜて諸味を作る。          

深さ2.5m、円周約10m、容量は約8000ℓもある巨大な桶は、創業当時から使われているもの。

この木の桶は”下総醤油”というブランドの諸味で、大豆、塩、小麦厳選した国産の材料が使われている。

諸味を発酵させるために酵母などは入れておらず、桶の縁に元々棲み着いている菌が自然と発酵を促す。

通常は半年ほどだが、この”下総醤油”は、一年以上かけてじっくりと熟成させているという。     

 

③ 搾り。布を広げて諸味を満遍なく充填、それを積み重ねてプレス機にかけて搾り出す。         

諸味で1万リッターをプレスすると9000リッターの醤油、一割が醤油かすになるという。    

 

④ 火入れ。プレス機から流れて集られた醤油は、火入れという工程を経て完成する。           

熱を加えることで殺菌する目的もあるが、熱を加えると独特の香り成分が生まれるという。     

 

   

  

 

外にある金属のタンクも諸味が入っている。

建物の壁や屋根まで黒くカビが生えていて、菌が棲み着いて増殖している。

 

下総醤油は、この旅では買うことが出来なかったため「ちば醤油」さんから取り寄せてみた。

 

通常の醤油よりも厳選された材料を使い、倍以上も熟成されて出来た”下総醤油。

刺身や冷奴で食べると味の違いが分かるというので、鮪切り落としで食べ比べ。

 

色にそう違いはなく、私的には「塩分控えめ」の醤油が一番旨みを感じた。

今度は冷奴で試してみよう。

 

JR小見川駅から出るバスもまた、何処まで行っても300円也、バスが大活躍だった。

    

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茨城県 14/47

2024年01月21日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第14弾は、茨城県つくば市。

JR常磐線牛久駅から、つくバス茎崎シャトルで50分弱、バス停から徒歩5分。

全国花火競技大会で、何度も最高の賞に輝く「山﨑煙火製造所」さんを訪ねた。

 

 

中を見学することは出来ず入口までだが、すぐ脇の空き地からフェンス沿いに見学。

   

 

花火は大きく4つの工程に分かれているという。

① 薬品を調合する「配合」。配合した火薬を丸い形状にしたものを「星」と呼ぶ。

② 火薬に添加物を加え成形する「星掛け」                  

③ 完成した星を半球の玉皮に込め、二つの玉皮を一つに合わせる「玉込め」   

④ 仕込みを終えた玉にクラフト紙を貼る「玉張り」              

 

玉張りは貼っては乾燥させる工程を繰り返し、10号玉で50~60枚も貼ると言う。

大きいものは火薬が大量に詰まっているので、沢山貼って強度をつけることで、

反発力を利用して大きく開かせることが出来るからという。

 

今は、「点火器」と言ってコンピューターで遠隔操作出来、昔より楽になったと。

1000発でも10000発でも、ボタン一つで打ち上げられるという。

 

また、今は音楽がつくので、打ち上げ担当者が流れを決めてプログラムして行く

ショ一を一本作って演出するようなものなので、その準備の方が大変だという。

 

11月に土浦市で開かれる「土浦全国花火競技大会」、一度は生で観てみたいもの。

山﨑煙火製造所さんのXでその様子が観られるので、是非覗いてみて下さい。

山﨑煙火製造所(@yamazaki_enka)さん / X (twitter.com)

 

 

 

牛久沼の畔に建つ山﨑煙火製造所さん、バスを降りてからすぐに電柱に矢印があった。

のどかな畑や竹林を通り抜けると、ひっそりと静かな製造所が出迎えてくれた。

     

   

    

成田空港が近いので、空には飛行機を何度も見ることができた。

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埼玉県 13/47

2024年01月15日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第13弾は、埼玉県秩父郡小鹿野町。

JR東飯能駅乗り換え、西武秩父線 西武秩父駅からバスで約40分。

2百数十年前の江戸時代から続く、小鹿野町歌舞伎の里を訪ねた。

 

 

「小鹿野町歌舞伎さろん」は小鹿野文化センター内にあり、資料や衣装などが展示されている。

 

伝統の歌舞伎は我が県内にもあるが、なぜこの小さな町で220年以上も続いて来たのか。

それは、町内の6地域の神社のお祭りで、氏子が奉納する形で歌舞伎が演じられるからという。

 

 

一生懸命稽古した歌舞伎を奉納して神様に喜んでいただき、自分たちも楽しむ形が継承され

地域の中で歌舞伎への愛着や、伝えて行かなければという使命感が深まって行った結果だと。

 

    

 

小鹿野には、女性だけの歌舞伎、子供だけ、高齢者だけ、おまわりさん歌舞伎とか、

色々なものが沢山あって、”地芝居のデパート”と言われるほどという。

 

さらに役者だけではなく、大道具、小道具、衣装、鬘、義太夫、下座までフルセットで揃い、

まさに、町じゅうが歌舞伎一座だという。

 

実際の歌舞伎は中々観に来れないが、「小鹿野歌舞伎さろん」では録画を観ることもできる。

 

 

三浦氏がふと気にしたことは、この舞台にかけてある短冊「花掛け」のこと。

ご祝儀「ものすごい金額だと思われますよね?」と、説明する役場の方。

これは、お返しが出来ないのでお礼の意味で金額を10倍で書いているという。

一万円なら壱拾萬円、二万円なら弐拾萬円、三万円なら参拾萬円という風に。

「芝居」=「4倍」という所もあり、運営費や経費、慰労会費になるという。

 

 

 

山の中の小さな駅かと思っていたら、西武秩父駅はライトアップされていてまるでお祭りの様だった。

 

 

 

駅前のバス乗り場で待っていると、町営バスがやって来た。

小鹿野町まではひと山越える感覚でヘアピンカーブが続く道だが、バスの運転手は若い女性で驚いた。

何処まで乗っても500円也。バスが大活躍していた。

 

  

 

 

日本製『COLUMN』より抜粋。

「一年に一度のお祭りのためにみんなが集まり、歌舞伎を作る。

お金のためではなく、ただ好きだから、楽しんでもらいたいから、地域を盛り上げたいから、未来に繋げたいからという一心で稽古を重ね、技を磨く。

とても尊く、僕も頑張らなければとシンプルに思いました。本当に学ばせてもらいました、いつか必ず観に行かせてもらうつもりです。」

 

地元中学校でも力を入れているようです。

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静岡県 12/47

2024年01月06日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第12弾は、静岡県伊豆市修繕寺。

JR三島駅乗り換え、伊豆箱根鉄道駿豆線 修善寺駅から徒歩14分。

町づくり、町おこしがテーマの「ドットツリープロジェクト」を訪ねた。





NPO法人サプライズさんの「新しい地方の暮らし方」を提案するこの場所は、

住居とオフィスをセットで貸し出している賃貸物件で、一業種一社限定が条件。

NPO法人代表者ご自身もこの場所に住み、入居者の広報アドバイスや

ビジネスマッチングなどのサポートを行い、広場でランチミーティングや

休日にはバーべキューをしたりして情報交換や懇親を図っているという。

 

  

 

募集当初は、数倍を超える入居希望者があったというが、現在はひっそりとしていた。

 

 

ここには、プロジェクト内や修善寺に住む子供たちが作っている雑誌「KURURA」

があるというので手に入るか期待して行ったが、手に入れることは出来なかった。

「KURURA」kurura (izukurura.com)

 

小学5年生から中学2年生までの子供たちが、手書きの絵なども入れて作っている小冊子。

基本的には子供たちがみんなで取材先を決め、アポイントを取り、インタビューから

原稿の執筆、写真の撮影、編集までやり、大人たちがそれをサポートしているという。

 

また高校生は、ゴミ拾いをしているという。

活動2016 - NPOサプライズ 伊豆サテライトオフィス (surprizu2012.jp)

「清掃甲子園」と書かれたユニフォームは、裾のジッパーを閉めるとエコバックになるという。

 

 

伊豆は広いけれど人口は減り始めていて、東京ドームの観客席数にも満たないという。

今までは若者に「外に出ないで、行かないで」とやっていたが、問題はそこではなくて

活動を通して伊豆を知ったうえで、どんどん出て行きなさいと言う風に変わったという。

 

伊豆箱根鉄道駿豆線から見える富士山は、とてもかっこよくて感動的だった。

修善寺には何もないなんて、まずこの風景が宝ではないかと羨ましくなった。

 

NPOサプライズの代表者さんが仰るには、「全てはトライ&エラー

色々な事にトライして、その知見をみんなに渡して行ければ良い。

だから、失敗するのが僕らの仕事です」って、柔軟な考えが素敵だなと思った。

 

来るときは町の中を歩いてきたが、帰りは土手沿いを歩いて帰った。

ねこが、土手で待ち伏せ。「よく来たね!!」って言われた気がした。

 

   

 

   

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青森県 11/47

2023年12月16日 | 18きっぷで行く『日本製』

『日本製』第11弾は、JR青森駅から徒歩5分、「ねぶた屋」さんを訪ねた。

東北三大祭りに数えられる青森ねぶた祭、若手ねぶた師による活動拠点「ねぶた屋」。

 

駅で頂いた駅前マップには、確かに「ねぶた屋」さんの位置が書いてあるが

何度もその前を行き来し、やっとこの小さな看板を見つけて、中を見せて頂いた。

 

一歩中に入ると、圧倒される程の大きなねぶたの頭が幾つも飾られていた。

青森ねぶたは、1980年に重要無形民俗文化財に指定され、

毎年300万人の来場者を誇る、日本を代表する夏祭りのひとつ。

最初に絵を起こし、それをもとに手や顔などの細かいパーツを針金で作り

角材で支柱を立て針金で全体の形を作って、そこに電球を配線していく。

ねぶたそのものは、幅9m、高さ5m、奥行き7mの範囲内で作っているという。

昔はろうそくで明かりを灯していたが、今は全部LED、燃えにくい丈夫な和紙を使用。



ねぶた師は、スポンサーから声がかかることで初めてデビュー出来る。

何年修業したからとかではなくて、毎年依頼が来る保証があるとは限らないと。

 

ねぶた師はそれぞれライバルであるが、いざデビュー出来てもねぶた師だけでは

生計を立てるのは難しく、ねぶた師同士が交流を持ち、技術を交換することで

ねぶた界全体が向上して行くことが大事と考え、流派の垣根を越えてチームとして

活動するために、若手ねぶた師のによるプロジェクト活動拠点「ねぶた屋」を立ち上げたと。

 

 

青森駅から徒歩2分の所に、「ねぶたの家  ワ・ラッセ」がある。

こちらには、今年のねぶたの受賞作が多数飾られてあった。その中でも、

「ねぶた屋」の北村春一さん作のねぶたは、優秀製作者賞・市長賞を受賞されていた。

   

ねぶたの仕組みが分かる展示。

   

こうやって伝統を守り発展継承させる集団がいて、毎年8月2日~7日、

「ラッセラー」の掛け声とともに踊る跳人たちや勇壮に練り歩くねぶたは

さぞ活気にあふれ煌びやかで、私も一度は生で観てみたいと思った。

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北海道 10/47

2023年12月15日 | 18きっぷで行く『日本製』

今回は、初歩的な自分のミスで、18きっぷでの旅が出来なかった。

が、休暇が勿体ないので、ならば遠いところへ行こうと、ガチ新幹線で北海道へ。

 北海道新幹線新函館北斗駅から江差行きバスで約1時間半、「江差追分会館」を訪ねた。

  

ニシン漁とその加工品の交易で繁栄した江差町で歌い継がれている「江差追分」。

昔は江差にもアイヌの人々が多く暮らしていて、追分踊りで着る着物や楽器に名残がある。

江差追分は、前唄、本唄、後唄で一本通すと8分の長い歌となっている。

本唄の「かもめの なく音に ふと目を さまし あれが 蝦夷地の やまかいな」の7節は、

正調江差追分と呼ばれ、「かもめ ええええ えのお・・」とノーブレスで2分半かけて歌い切る。

 

江差追分会は、国内に145、海外にも5の150の支部に3000人強の会員を持つという。

毎年開催される「江差追分全国大会」は2018年56回を数え、地区予選会には千人が参加。

また、江差追分大会は、参加者全員が同じ長い約2分半の本唄を歌って競うと言う。

 

 

ニシン漁で栄えた江差の港を守る堤防の役割を果たしていたのが「かもめ島」。

江差フェリーターミナルの先にある小島で、かもめが羽根を広げているように見える。

天然の防波堤、防風壁として北前船が停泊するのに好都合だった島の役割は大きかったと。

島の入り口に立つ「瓶子岩」は海の守り神であり、老婆が塀の水を海にそそぐと

ニシンが群来したという伝説があり、今でも大切に祭られている。

 

 

島へ続く階段を進むと、遊歩道のある広く平らな展望台になっていた。

眼下には波の浸食で作られた千畳敷と、その向こうにはそうそうたる日本海が広がっている。

    

 

「江差会館」の方のお薦めの手打ちそば「和味」さんで、にしんそばを食べることが出来た。

帰路は、かもめ島と瓶子岩の最中を食べながら、立派なバス停でひたすらバスを待った。

    

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岩手県 9/47

2023年09月26日 | 18きっぷで行く『日本製』

18きっぷで会いに行く『日本製』第9弾は、岩手県二戸市浄法寺町。

JR盛岡駅~いわて銀河鉄道線二戸駅~JRバス東北 天台寺バス停より徒歩10分。

漆の原材料が採れる日本一の産地で、工房兼販売施設の「滴生舎」さんを訪ねた。

 

 

日本で使われている漆は97~98%が中国産で、国産は2~3%でその7割が浄法寺産という。

更に、一本の木から採れる漆は、たった200cc牛乳瓶一本位とのこと。

外国産の漆は器にためておくため雨水や虫などの不純物も入ってしまうが、浄法寺産は

一滴づつ人が丁寧に掻きとっていくため、殆ど不純物は混ざらないという。

 

漆の木が育つまで15年。6月上旬に最初の傷をつけ、4日後にその上に次の傷をつける。

更に4日後又4日後にと傷をつけ、傷から滲み出た樹液をヘラで丁寧に掻きとっていく。

そうやって集まった樹液は、杉材の漆樽専用の樽に入れられ保存される、一樽100万と。

 

 

滴生舎の器は浄法寺漆100%、丁寧に塗って研ぐを繰り返す塗り重ねの手法。

国産漆の希少さを知れば、それがどれだけ贅沢な漆器か分かることが出来る。

 

 

3か月かけて作られる漆器は、まだちゃんとした漆の硬さにはならないので、

買ったら仕舞って置かないで、日々使って湿度を与えて少しづつ育てると良いと。

漆の木を植え育て、漆掻き、漆塗り、道具、漆樽職人、皆揃って仕上がる漆器。

使うごとに生まれる艶や光沢、抗菌作用もあるという漆器は実は実用的だと知った。

 

   

 

JR盛岡駅より先は、18きっぷ使用者には不便な地となってしまった。

JR盛岡駅からいわて銀河鉄道線二戸駅まで、2000円也。

日帰りは叶わなかったが、しかしどうせならと酒田、秋田経由で二戸入りした。

さらに、今回も、二戸駅からバスが出ていて本当に良かった。730円。

 

   

   

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