18きっぷで会いに行く『日本製』 第6弾は、山形県西置賜郡小国町。
JR米坂線(代行バス)小国駅から徒歩30分、米沢牛の畜産農家を訪ねた。
米沢を出るときは晴天だったのに、途中から雨が降り始め、強い雨の中歩いた。
しかし、畜産農家の遠藤さん宅に着くと、今までの雨が急に止み青空になった。
玄関前にはネコさんが数匹、急な訪問にも関わらず、遠藤さん親子が対応して下さった。
神戸、松坂、近江と並んで4大和牛の一つに数えられる米沢牛。
米沢牛というブランドは、厳格な条件を全てクリアして初めて名乗ることが出来る。
置賜地方に居住し、「米沢牛銘柄推進協議会」が認定した生産者であること、
登録された牛舎で、18か月以上継続して飼育されていること、
生後32か月以上であるというのも条件の一つという。
畜産農家には、仔牛を購入して飼育し主に食肉として出荷する「肥育農家」と
母牛を肥育し交配させて産ませた仔牛を販売する「繁殖農家」があるが、
震災以降仔牛の値段が上がっており、遠藤家ではその両方を行っているという。
多い時で月に14~15頭の仔牛産まれる、出産だけでも大仕事だ。
他所の地域で産まれた子牛でも、置賜地方で規定の年月育てば米沢牛と呼ばれるが
「そうではなくここで生まれ育った米沢牛を生産したい」というのが息子さんの夢。
牛の良し悪しの差は、各農家で違う餌の調合の差でもあるという。
遠藤家ではくず米を煮たものに蒸した大豆と麦、トウモロコシも加え、
穀類は消化を助けるために一晩かけて煮る、こういう餌を食べて育った牛は、
脂の美味さに明確な差が出るから、手間がかかっても餌を変えるつもりはないと。
そんな米沢牛は何処で買えるのか聞いてみたが、山形の方とのこと。
「体温で溶けるような融点の低い脂で、口飽きせずにいくらでも食べられる肉」
遠藤畜産が理想とする肉を、一度でいいから食べる機会が訪れる事を願う。
小国は車でも行ける距離でもあるし、去年の豪雨で米坂線の今泉―坂町間は
代行バスが出ている状況の中、敢えて18きっぷに拘り出かけてみた。
三浦春馬氏も「いい人で良かった」と初対面の感想を書かれているが、
本当に優しい人柄のお二人で、私も雨の中歩いて行った甲斐があった。