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政局はどう動くのか。統一地方選後に解散?

2011-02-27 | 政治、経済

 

この都心マラソンの提唱者であり、4月の知事選に4選をかけて去就が注目されている石原慎太郎氏は、都庁前で号砲を放つ直前にフジTVの「報道2001」に生出演して、政局について語っていた。立候補はしないという最近のメディアの観測が真実味を帯びる受け答えであったが、中央の政局の展開を見極めながら(亀井静香のいう救国内閣などの動きに同調?知事はクーデターが起これば片棒は担ぐと言っていたが)、3月10日頃までに最終決断をする腹のようだ。 「日本は戦後何一つ自分で決めてこなかった、日本のユニークな歴史や文明に誇りを持ち、自立しなければどうしようもない」という主張は理解できるが、そこに核武装もありうるなどという挑発的な言葉が加わるから、これまでも勘違いされてきたのだろう。 しかし、豊かな経験と文学者としての教養に裏打ちされた氏の言葉が、霞ヶ関の官僚や永田町の政治家のそれよりもはるかに意趣に富み、いわゆるコミュニケーションというものの本質を感得させるのは間違いない。

 

いずれにしても、管政権は袋小路に入った。予算関連法案の採決の見通しが立たず、遅くとも6月までには解散という見通しが、毎日規定路線のように語られている。民主党政権の無力ぶりがここまで露呈し、管政権を退陣させても後の目処が立たない以上、選挙にならざるを得ないのだろう。 選挙になれば、国民は入れる政党がなく、どの党も過半数に及ばず、大連立か政界再編に進み、本当の意味でガラガラポンが起こるのかもしれない。それも致し方あるまいと思われる。 この国に今必要な処方箋は何か、というアジェンダを明確に打ち出せるリーダーを中心にまとまった救国内閣のようなものが必要な段階に来ていると思えるし、既存政党間で足の引っ張り合いをしている場合ではない、とそろそろ国民も本気で思い始めているはずだ。

 

管首相は少子高齢化社会に抜本的に対応するために、消費税アップを含む税制改革法案を6月以降策定するというが、財務省主導では所詮増税ありきの議論になり、実際消費税を上げれば景気は間違いなく落ち込む。 今後増大していく社会福祉関係(医療、年金)の給付を抑制し、増税を最小限に抑えながら、中央集権から地方自治に大胆に国の機構を改革して、肥大した中央や地方の議会、行政を縮小して、民間の活力を生かして経済成長するしか道はあるまい。 下の世代に機会と希望を与えるためには、逃げ切り世代は、所得の移転や給付の抑制もある程度甘んじるしかない。 医療費もいつの間にか本人も3割負担になっているが、老人医療の自己負担も1割などとはいっておられないはずだ(もちろん、所得に応じて貧困層には医療が受けられるようなセーフティネットは必要。)

 

年金についても、その給付額は下がっていくのは目に見えているから、年金だけで老後を生きていけるという認識は、何も20代の若者に聞かずとも、もう少し上の現役世代でも十分認識されているはずだ。それを架空の経済成長率や運用利率を並べ立てて、未だに達成可能であるかのように見せるのは、全く不正直な政治であり、いまやその現実を国民全員と共有するべきではないか。 最近の大阪や名古屋などで、地方から行政区の再編(大阪都構想)や減税、地方議会議員削減などの改革の動きが支持を得ているのもうなずける。 筆者の住む横浜市でも市議会に90人、神奈川県議で100人以上もいる。 情報と交通が飛躍的に進歩した時代に、こんな人数のフルタイムの議員が必要とは到底思えない。 筆者の実家の地方都市(10万人)でも、30名近い市議がおり、4選かなった現市長は、それを半減すると公約して当選したようだが、鹿児島阿久根市長の件をみても、その実現は容易ではないし、名古屋の河村市長なども民衆の空気に上手く媚びた人気取りで終わる危惧もある。 要は実行力が問われる。

 

政府に期待できない、そんな政府に税金は払いたくない、というのが国民の実感であろう。 政府に頼らないなら、基本は自分で自分の面倒をみるしかない、大きな流れは、北欧的な重税の社会民主的国家ではなく、民主的自由経済を基本に、世界経済の中でトップ5くらいの力を維持しながら、活力ある社会を目指すのが日本ではないか。  人口が減るといっても、今の1.27の出生率で行っても2050年に8千万(今のドイツくらい)の人口であり、この狭い国土で1億2千万以上の人口を食べさせていけるだけの国家を作り上げた実力はあるのだ。 ドイツ人を見ても思うが、日本人は基本的に勤勉で真面目で、調和的な人格を持った世界でも尊敬されるべき文化と資質を持っている。 石原氏が言いたいのはそういうことであり、それが今の政治の不全や国民の無力感によって意欲をそがれていることが、歯がゆいのであろう。 しかし、そう遠からぬ将来、平成の維新が訪れる予感が強まっているのは私だけだろうか。

 

追記: 2月に読んだ本

「不機嫌な太陽(The chilling stars)」 by H. Svensmark and N. Calder

昨秋、ある方に紹介された本書をようやく読んだが、これは、例の二酸化炭素地球温暖化説に異議を唱えるスウェーデンの学者(Svensmark)が2008年に上梓した決定版ともいうべきもの。 20世紀に太陽の磁場の強さがほぼ倍になり、宇宙線の減少→雲の現象→太陽放射を遮る面積が減って温暖化、というこの人の学説を詳細に説明したもの。地球史的に見れば、現在は間氷期の終わりごろにあり、今後は17世紀にあった小氷河期(マウンダー極小期 - mounder minimum)のような寒冷化が訪れることの方がむしろ深刻な影響を及ぼす、と著者は言う。

 

羽生善治の「大局観」。 将棋は、「読み」と(直感と)「大局観」のゲーム。 「一睨み二千手(坂田三吉)」といわれた「読み」は若いころの方が上だが、年齢を重ねるにつれ「大局観」をつけることで、そんなに沢山の手を読まなくて良くなる、という。 史上初の永世7冠にあと竜王タイトルもう一回に迫っている稀代に棋士の最近の心境を述べたもの。

 

 

 

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