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横山秀夫の警察小説

2005-09-24 | 読書(芸術、文学、歴史)
横山秀夫の「半落ち」が文庫版になったの買ってみた。3年ほど前の「ベストミステリー」とかに選ばれていたし、映画化もされた話題作なので読んだ人も多いと思うが、結構嵌ってしまった。 「半落ち」は、複数の登場人物が、章ごとにそれぞれの視点で物語を語りながら展開する手法をとっている。 警察という組織の中にいて、何十年も模範的な警視だった主人公が「妻殺し」を犯し、絶望の淵に追いやられてなお生きようとする秘密は何なのかが最後まで明かされない。 「半落ち」だった主人公の秘密が最後についに明らかにされるがこの「落ち」が意外?もしくは物足りない?という手合いもあるかもしれないが、ミステリーに明るくない自分は素直に泣かされた。 「動機」という文春文庫の中短編集も読んだ見たが、刑事や新聞記者という「使命感」を持った職にある人間が、組織の圧力や人間のエゴの中で壁に突き当たり、限界や絶望を感じながらも人生を有意義に生きようと懸命にに苦闘する様が、一昔前の価値観を持つ「オヤジ」の弱いところをジャストヒットする。 40代半ば以降(特に男性?)の読者の支持を得ているのではないかと思った。 しおれる「オヤジ」にカタルシスをくれる、というか「自己肯定」を授けてくれるというと自虐的に過ぎるかもしれないが、他の作品も読みたい誘惑に駆られることも確かである。

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コメント
 
 
 
読みました (イツロー)
2005-09-26 21:54:56
この週末、私も暇つぶしで読みました。

終盤、明白に泣かされはするのですが・・・



刑事と刑務官以外の人の落とし前はどうする

とか、裁判を盛り上げるべきだとか、結構穴

は多いですよね。泣きに来る客を泣かせる、

って事なのかな?著者の思い入れとパワーで

押し込む小説ですね。
 
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